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2021年8月4日水曜日

Crate VC508 single ended guitar amp

 Crate VC 508

さあてと、次の仕事にとりかかろうと思った矢先、「私自身がギターを練習するための、アンプが一台も無い !!!」ということに気づきました。

6月20日に Fender Super Champ をブログ掲載しました。
アンプのプリアンプ感度設定が良く、オーバードライブ機能を使わずともストラトやテレキャス等のシングルコイルギターでも簡単にクランチ・サウンドが出せ、いつまでも弾いていたくなり、練習用アンプとしては最適でした。しばらくは手元にいてくれることを願いながら丹念に1か月半の月日を費やして製作しました。ところが願いもむなしく、早々に売れてしまい、手元にはありません。中古在庫も無し。

Fender vibro champ を mod しPrinceton の回路に改造した Champrinも手元に残っていません。(中古在庫にあと一台 Vibro Champは有る。今ではなく将来製作予定)

Browny G3 も SingleJingle も自分の練習にも使える設計をしたはずなのに手元にはもうありません。(新品キャビネットの在庫無し、トランス在庫も無し)

新しいオリジナルアンプ2510の製作に専念するにあたり、作業のかたわら、休憩時間にギター演奏してリフレッシュすることが私の精神衛生上大切です。そのための練習用アンプが必要です。

在庫しているヴィンテージアンプ置き場をしばらく眺めることに。数台の Fender シルバーフェースに混じってひっそりと隠れている小さなアンプを見っけ。これこれ。こいつならキャビネットが小さく、仕事場で場所をとらない。自分が練習に使うという目的に合いそうです。ただし元々のサウンドは貧弱。大幅なレストアとMOD が必要です。

front view of Crate VC508 amplifier

90年代後半に買った Crate VC508 
オールチューブのシングルアンプという宣伝文句と値段の安さが売りのアンプだったと記憶しています。
何故かエフェクターの歪みサウンドが支配的な音でした。ゲインを最小にしても歪んでおり、オールチューブというにはあまりにお粗末なクリーン音です。チープ( Cheap 安っぽい)としか表現しようのない音質に購入後3日ほどで飽き、20年以上埃をかぶって寝ていたアンプです。

Crate VC508 Schematic diagram, marked up
回路図を見ると、
ギター信号入力直後にオペアンプICで構成される回路、いわゆるエフェクターのオーバードライブ回路(回路図の赤い囲い) があり、ここで歪み音を作りゲインのつまみを経てから、 12AX7(回路図の緑の囲い) に信号が送られ、トーンコントロールとボリュームの後にEL84 パワーアンプヘ行き、OT を介してスピーカー出力している。
つまりアンプの中にオーバードライブ・エフェクター( オペアンプ )を内臓しているアンプということがわかります。
注: オペアンプとはトランジスターを使った増幅素子が2個内臓された IC のこと
input jack, gain, tone, volume
コントロールパネルは左から
Input, Gain, Tone, Volume, Line out, Pilot lamp, Power Switch

Back panel removed to expose internal circuit
バックパネル を外すと、当然のごとく PCB プリントサーキット基板が使われています。よく観察してみると
・基板へのシャーシー取り付け
・基板直付けの真空管ソケットのハンダ付け
・配線の太さ
・使われている抵抗とコンデンサーの品質
は、アンプの新品価格の安さにしては意外としっかりとしています。少なくとも もっと価格の高いMesaBoogie よりは信頼性が高そうでFender のリイシューシリーズや Twin Amp よりは少しだけ劣るかもという感じの基板が付いています。少し驚きました。

しかし、プリントサーキット(PCB) の音の特性から逃れることはできず、ハンドワイアード回路の音の繊細さや音の太さとダイナミックさは出せるわけもありません。低価格なアンプゆえ当然といえば当然です。

このプリント基板のままオーバーホールして使うことは選択肢としてはあり得ません。
ハンドワイアード化が必要です。
オールチューブの持つ美しいクリーンが出てくれないと楽しく練習できません。
エフェクターの歪みは、早いパッセージが楽に弾け、かっこいい感じはするけど誰が弾いても同じ音がしてしまうところが嫌なのです。

単純にハンドワイアードにするだけではなく、新しく回路設計をやり直し、新たなレイアウト設計も同時に行い配線をする必要があります。
close up of the inner parts

セレッションの 8 インチスピーカーはこのまま流用します。完成後に試奏してあまりにもお粗末な音であれば手持ちのストックと交換します。
8 inch Celestion Speaker is mounted

キャビネットに付いているハンドルは柔らかく、持つとグニュッとスポンジーな感触がします。細かい部分ながら、この違和感がとても嫌いです。普通のハンドルは中に金属の板を入れ、剛性と耐久性を高めているものです。このハンドルは中に金属板が入っておらず、ゴムだけなのでグニャグニャです。もっと剛性感のあるしっかりと持てるハンドル(在庫)と交換しておきます。
Replaced with more stable one


シャーシーの外観、搭載パーツは左から 
PT ( 電源トランス ) , EL84 power Tube, 
12AX7 pre tube, OT ( 出力トランス )

トランスはこのまま流用します。
どうしても音にならないときにだけ交換します。

プリ・アンプのゲインを上げるため12AX7 を一本追加する必要があり、それに伴い、真空管レイアウトも変更します。
From left to right,  PT, EL84, 12AX7, OT

1. シャーシーから基板を外して
removing Printed Circuit Board

2. 新しく回路設計をします
元の回路とは全く異なる新規の回路図を製作します。
(トランスは流用)
designing new all tube circuit for VC508

3. 回路図を元にレイアウト設計
新規に作図した回路図を元に、適正な部品配置の検討を何度も重ねレイアウト設計を実施
designing parts layout based on the new circuit diagram

4. 回路部品を載せるボードを製作
レイアウト設計に基づきボードを製作し、
a) アイレット用の穴あけ
b) アイレットの打ち込み
c) グラウンド母線の製作と取り付け
d) 真空管ソケットの取り付け
を行いました。

VC508 のキャビネットは限界ギリギリまで小さく、余裕がありません。シャーシー上の真空管を取り付ける空間も限られています。シャーシー上の好きなところに真空管を取り付けることはできません。元の真空管取り付け場所を踏襲し、回路ボードに真空管ソケットを取り付けています。
eyelet hole, ground bass and tube socket has been installed

5. 回路ボードにパワーアンプ周りの部品搭載
installing cathode bias and drivers energy cap

6. パワーアンプ・ドライバー回路の部品搭載
installing power amp driver elements

7. プリアンプ回路の部品搭載とハンドワイアード
installing pre amp elements

8. 回路ボードをシャーシーにマウントし、各種ポットとハンドワイアードする
Hand wired circuit board has been mounted on chassis and hand wired to several pots

9. 電源回路ボードのシャーシーマウントとハンドワイアード
写真の上部、大きめのアルミ電解コンデンサーが載ったボードが電源回路ボード
Rectifier Board has been monted

作業前と後の比較

真空管のレイアウト変更
コントロール・ノブの変更
amp chassis before and after the rework

これで完成です。
写真は取り外した基板と完成したアンプの内部回路
new circuit board and removed P.C.B

新しくなったアンプのコントロールパネル
左から
Input , Gain, Tone, Middle, Master
from left to right, input, gain, tone, middle and master

Gain :プリアンプ初段のボリューム
Tone :2連ポットでTrebleとBassを連動させています。
センター(12時の位置)で Treble =5, Bass =5の状態、
そこから右に回すと Treble 増、Bass 減、
左に回すと Treble 減、Bass 増。
Middle だけ独立させ、操作性を向上。
Master は 10 の位置でマスター無しと同じ音圧。

使いやすいアンプに仕上がりました。

2021年6月20日日曜日

Fender Super Champ 販売

Fender Super Champ 

70年代半ば、メサブギーの歪むアンプを意識し、ポール・リベラ が設計したアンプ。

キャビネットの大きさは Champ と同じ。

スピーカーは Champ の8インチよりも大きい10インチ径。

パワーアンプはChamp の 6V6GT 一本のシングル・エンデドではなく、 6V6GT 二本のプッシュプル。

回路構成は Princeton Reverb によく似ているもののコンデンサーの値が異なり 、Master Volume が追加され、スイッチ切り替えする Leadモードを搭載している 。

サウンドは Princeton Reverb よりも元気でやんちゃな感じ。

クリーンの状態で、Master を下げ Volume を上げるとクランチする。

リード・モードはよく歪むものの、耳に痛くない上品さもある。

Super Champ front view


Super Champ rear view

内部回路と直接繋がっていたスピーカーケーブルをフォンジャックタイプに変更。ノイズ低減のためにライン出力端子を削除
音圧の向上と使い勝手の向上を両立。( 下の写真 )
Super Champ rear left view

ノイズ低減のためフットスイッチ端子2個を削除。
接触不良防止のためにリバーブケーブルを新規交換。(下の写真)
Super Champ rear right view

金属プレートやネジは錆びもなく美しい。
トーレックスにも傷や汚れはない。
Super Champ top right view

Super Champ top left

グリルクロスは汚れやほつれがなく、クリーニングすると美しく光沢。
Super Champ front grill

コントロールパネルは傷やベントは無い。
Super Champ control panel, left side

Super Champ control panel center

Super Champ control panel right side

サイドのトーレックスも美しい。
Super Champ left side view

Super Champ right view

この固体はトーレックスの破れもなく、グリルクロスもきれい。
金具の錆びなくきれい。前オウナーさまの保管状況が良かった。

実施したオーバーホールと MOD の内容

6C10 真空管を 12AX7真空管 2本 に置き換え

Super Champ で使われている真空管の種類は以下の4種類
 12AX7、12AT7、6C10、6V6GT 
Picture of 12AX7 tube and 6C10 tube
6C10真空管は、ガラス管の中に3個の増幅素子が入っている、めずらしい真空管。ピンは12本あり、形状も丸々とした太いガラス管が印象的なプリ管である。
(通常プリ管というと増幅素子が2個入った9ピンが主流である)
6C10 は、ヴィンテージ真空管を扱うお店でさえも売り切れている。
SOVTEK や Electro Harmonics 等のメーカーでも生産はされていない。
GAMPS にも在庫は中古管がたった1本残っているだけである。

真空管は昔の電球と同じくフィラメントが内部にあり、電気を熱に変えて光っている。使えば使うほど劣化する。将来必ず交換する日がやってくる。在庫も無く、生産もされていない 6C10 のままでアンプを使い続けるのには無理がある。

ここで朗報がひとつ。プリ管の12AX7は現行メーカーも生産を続けている。
しかも、 増幅素子の増幅率が6C10と同じ100である。
違いはガラス管の中に増幅素子が2個しか入っていないことである。
comparison chart of 12AX7 and 6C10

ヒーター消費電流は 6C10 が600mA、
12AX7 はその半分の300mAである。
つまり、6C10 一本の代わりに 12AX7 二本を使っても、全く問題無し。
消費電流は 600mA で変わらず。増幅素子の数は一個増えて4個になる。
余った一個の増幅素子はノイズの出ないようにキルしておけばよい。 

6C10 用の12ピンソケットを取り除き、
リバーブ・トランスの向きを変更し、
空いたスペースに12AX7 用の9ピンソケットを2個取り付け、
ソケットと回路の配線をやり直せば良い。
Super Champ digging a hole for 12AX7 to replace with 6C10

内部回路のオーバーホールとレストア

Super Champ  original circuit parts and wiring
作業前のオリジナルの回路 コンデンサーや抵抗は劣化が進み変色している

Super champ removed parts
オーバーホールとレストアのために取り外した部品
新しい部品に交換することにより
 ① 素晴らしいサウンドを取り戻すことができる
 ② 配線方法と部品配置を調整することでノイズを極限まで減らせる
 ③ これから先、軽いメンテだけで故障知らずでの信頼性を得られる

Super Champ after overhauling and restoring
オーバーホールとレストア実施後の回路

スピーカーケーブル

GAMPS ( ギャンプス ) では、もはやこれが定番のスピーカーケーブル。
WEそのもの、もしくは WE復刻版のスピーカーケーブル線材を2本使い、適正な撚りを施し、感電防止のためのプラスチック外被のジャックと3M製ファストン端子でスピーカーケーブルを製作した。
GAMPS original speaker cable

真空管の選定

真空管は全て新品にし、信頼性を高めておく。
GAMPS では、全ての真空管を同じメーカーの同じ型番に統一することはほとんど無く、適材適所に色々なメーカーの色々なタイプを使っている。
但しパワー管だけは必ずマッチドペアでないといけない。
all new tube installed

パワーチューブは Electro Harmonics の 6V6GTのマッチドペア 

プリチューブは写真右から
 V1(トーン・シェイピング) : Tungsol Reissue 製 12AX7
 V2( リバーブ・ドライバ)   : JJ 製 ECC81 ( 12AT7)
 V3( リバーブ・リカバリ)   : JJ 製 ECC83S ( 12AX7 低ノイズ管)
 V4( フェーズ・インバータ): JJ 製 ECC83MG ( 12AX7 Mid Gain管)

スピーカーの選定

搭載する10インチスピーカーを2つの候補から選ぶことにした。
ひとつは JENSEN JCH10/70 Made in Italy で 12年前にストックしておいた。試奏すると中低域が豊かでいながら艶と張りのある音がした。イタリア製Jensen のセラミックマグネットを使ったいわゆるよく出会うFender らしい音がした。
Lead チャンネルの音は低域が前に出る分、少しくもった感じがした。
Jensen JCH10/70 tested

もうひとつは Fender の交換用ブルーアルニコの036457。
これはEminence の Legend 1028K と同等品である。
高域がたくさん出て、元気な音。鈴なりが多く、ストラトで弾くとトーンコントロールを絞り気味にしても使える音が出た。
Lead チャンネルの音も明るく元気な音である。

Lead チャンネルにも相性が良いことから、036457 に決定した。
Fender 036457 speaker tested


今回販売するSuper Champの特徴

オリジナルの電源トランスは日本向け100V 仕様が付いている。
オリジナルの出力トランスもまだまだ現役で使える。
小柄であるにも関わらずとても大きな音圧と迫力が得られるのが特徴。
キャビネット全体の痛みの少なさ、錆びの少なさも含め、この固体を手にできる人はとてもラッキーだと思います。
100V PT is originally installed

3p power code
新しい3P電源ケーブル 真ん中のグラウンド端子は安全上折ってはいけない

セッティング例

① クリーン
Clean setting
クリーン時はMaster大きめ、Volume絞り気味にする

②クランチ
Crunch setting
Volumeを上げていくとクランチしだす。音のが大きすぎる場合 Masterを絞る

③ Lead mode 1
Lead mode
Volume ノブをプルすると Lead Mode 。右から2番目の Level が機能する

④ Lead Mode 2
Lead Mode 2
Leadモードの歪みは Volume, Level, Master のツマミで色々変化する

ギャンプス在庫の ヴィンテージ Fender Super Champ の販売

今回の Super Champ のお値段は \ SOLD  円です。
完成するやいなや、関東平野方面に旅立ってしまいました。

「完成してしばらくの間は手元に置き、自分の楽しみで弾きたかった」
「色々なところに持っていって、ああでもない、こうでもないと話のネタにしたかった」というのが本音。色々な音が出せて遊べるアンプである上にノイズ・レベルは極小に仕上がった。

しかし、長い間アンプ置き場で手つかずで眠らせていたのも事実。
可愛がってもらえるお客さまがいらっしゃるのであれば、リーズナブルな値段設定で、早くもらわれることで、このうっとおしいコロナ禍に何らかのお役に立てればと思う次第です。


追伸: 
以前から宣言しておりました通り、Super Champ のオーバーホール・レストアと MOD の仕事はこれにて打ち止め終了です。手間と時間かかりすぎて、やってらんないのです。

では、早速次の仕事に取り掛かります。
GAMPS ( ギャンプス ) オリジナルアンプ 2510 かな ? 3512かな?
Fender Vibro Champ を PP アンプにMOD した ChamPrin かな?
それとも……

2020年1月2日木曜日

2020 January

2020年 1月  お知らせ

本年1月、以下の 3点のお知らせがあります。

1.  ギャンプスのウェブサイト更新しました。

PC ソフトウェアの都合により、しばらくアップデートされていなかったコンテンツを更新し、ギャンプスの実業務をサイトに反映し、使いやすくしました。




2. Fender ヴィンテージアンプ (主に良質なシルバーフェース)

Fender アンプをいくつか在庫いたしております。 

それらにギャンプスのオーバーホールを行い、

必要な MOD も加え、

即戦力となる、使えるアンプにレストアしています。

ご案内の準備が整いましたら、当ブログでお知らせします。


Fender Bassman 50 Head
Fander Bassman 50

Grill cloth changed, Circuit is AA864
グリルクロス交換、AA864回路(ブラックフェース)にMOD

Filter cap was overhauled and Ground bus bar has been applied
フィルターキャップ交換、グラウンドバスを設置し低ノイズ化



Fender Vibro Champ front view
Fender Vibro Champ

That's why bias checkerr is required
Fender Vibro Champ の中身は実は Princeton

SE has been modified to PP and the speaker was upgraded
シングルアンプはプッシュプルPP となり、スピーカーは10インチセレッションに