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2017年9月26日火曜日

Guitar circuit grade up and P/U change

GAMPS project #3

Gibson Les Paul Faded 2017の回路をグレードアップした上で、
ピックアップ交換し、サウンドの短所の改善をしましょう。

今回のProject のテーマは
①ギターの音質を汚く感じるのはプリント基板配線のせいなのか
②ハンバッキングでもノイズが多い現状、シングルコイルに変更して
  ノイズのレベルを低くできるのか

です。
Before and after
 
【現状のサウンドの短所】
・ピックアップ 490R , 490T が歪みやすく、歪み音が汚い(私的に)
・ノイズが多い(ハンバッキングとは思えないぐらいうるさい)

まずコントロールキャビティーを覗いてびっくり。

・なんだこれは ?  こりゃー基板だー!!!
上等なアンプにつないだのに基板の音がした原因はギターのプリント基板でしたか。

ボリュームポットx2 とトーンポットx2 とコンデンサーがプリント基板化されています。
ピックアップ線とスイッチを往復する線はコネクター付きです。
コネクターをつなぐだけで配線が完了。
つまり、ギター本体の木工部が完成したら、
電気回路はハンダ付不要でコネクターつなぐだけでギター完成
という「製造工程の短縮化」がねらいの設計です。

1983年製のギブソン・レスポール・スタンダードのコントロールキャビの中を見て以降、その後レスポールのコントロールキャビティーの中身がこんなに変わったのを知りませんでした。

83年当時でさえ、ポットはきちんとハンドワイアードでした。
 
・キャビティーに一切耐ノイズシールドが無い
 なんだーこれはー !!!
 ノイズが多くてあたりまえ。

   シールド無し = 工程簡略化 = 人件費削減 = メーカーの利益
Control cabity
しかし、
プリント基板 x シールド無し= 工程簡略化 = 大量生産 = 低価格販売
という側面もあり、安い値段で Gibson が買える理由でもあります。

私の場合は、ギター回路は全てリフレッシュするつもりで買ったため、文句はありません。

【パーツの取り外し】
ジャック配線、ピックアップ配線、スイッチ配線の3種の配線と基板を繋ぐコネクターを外し、ポットとコンデンサーの付いたプリント基板を取り外します。
Removing PCB of pots

次にジャックを取り外します。なんとジャックもスイッチクラフトではなく、プリント基板の付いたジャックでした。
Removing Jack

ピックアップ切り替えスイッチを外し、ピックアップも取り外します。
Removing switch

ギターから全ての電装部品を取り外しました。
All electrical psrts removed

【考察】

1. ノイズ対策を施し、現状よりも低ノイズにする

2. 2個付いているトーンコントロールを1個にし、
 空いた場所にピックアップ切り替えスイッチを付ける。

下の写真に描いた線は Gibson オリジナルの配線のときの配線材を表しています。
ピックアップの信号は一旦各々のボリュームポットに入ります。(青色と黄色)
トーンコントロールで音色調整します。(黄緑)
ボリュームポットからネックの根本にあるスイッチに行きます。(青色と黄)
スイッチを通過した信号は後戻りしてジャックに向かいます(白色)

このようにギターの中を行ったり来たりすることにより配線の総全長は長くなっています。
配線の長さが長いと、ノイズを拾いやすくなると同時にシールド線の分布容量によりギター信号がたくさん削られ、私が汚いと感じる音になります。
Gibson Original wiring

トーンコントロールを一個にし、取り外したトーンコントロールの場所にスイッチを移植するMOD をすると、下の写真のような配線材となります。
ピックアップの信号は各々のボリュームポットに入り、その後スイッチに向かいます。(青色と黄色)
スイッチの出力でトーンコントロールします。(黄緑)
スイッチからジャックに向かいます。(白色)
ギターの中をいったりきたりする配線の長さを短くすることができます。全部で約1m20cm ほど。

配線を短縮できる分、ノイズを拾いにくくなると同時にシールド線の分布容量も減り、ギター信号の削られる量を少なくできます。
Improved wiring by relocating P/U Switch


【スイッチ取り付けのための加工】
トーンコントロールの一か所をスイッチに変更します。そのためには取り付けの穴の部分の板厚を少し薄くします。このモデルのボリュームポットとトーンポットはロングシャフト用を使うため、取り付け穴の板厚も厚くなっています。
一方でスイッチのシャフトはポットのショートシャフトと同じ長さしかありません。そこでスイッチを取り付ける場所の穴の周りだけ板厚を薄くします。
Control Cabity

20mm 径のドーナツ型のスペーサーを作成します。下の写真。
スペーサーの作成

作成したスペーサーを両面テープで貼り付けてドリルが動かないようにして20mm径の穴をざぐります。
スペーサーに沿わせてドリルで板厚調整

写真の右下の穴だけ板厚を薄くし、スイッチ取り付け可能となりました。
スイッチ取り付け用の穴

【キャビティーのノイズシールド】
アルミのシートを切り、穴開けをしてコントロールキャビネットに貼り付けます。またキャビティーの蓋の裏側にもアルミのシートを貼り、蓋を閉めたとき、回路部分がアルミで覆われるようにします。
導電塗料はどんなに優秀なものでも抵抗値があるためシールドが不充分となります。今回はサンハヤトの高周波シールド用のアルミ箔テープ使いました。

アルミ箔は弦アース(テールピースのスタッド金属と繋がっているアース線) と導通を取る必要があります。今回は弦アースの線をラグ端子につなぎ、ラグ端子をアルミの上からネジ留めしこのポイントを一点接地の要とすることでシールドを完成させます。キャビティーをシールド化するだけで、弦アースとの接合を怠ると、ノイズは逆に増えるので要注意です。
コントロールキャビティーのノイズ対策シールド

【 CTS Custom ポット】
ポットは全て CTS Custom ポットのロングシャフトを使います。
フロントピックアップのボリュームはスイッチなし。
ブリッジピックアップのボリュームはスイッチ付きにし、ハンバックとシングルを切り替えます。
トーンコントロールはスイッチ付きにして、2種類のコンデンサーを切り替えられるようにします。
CTS custom pots
【使うコンデンサー】
オイル・ペーパー・コンデンサー
 .022μF 1000V Vitamin Q(Toichi)
 .015μF 400V Cornell Dublier
の2つをスイッチ付きポットで切り替えられるようにします。

当初は .022 だけにする予定でした。しかし、Jason Lollar 氏のお勧めが .015 ということを Lollar のサイトで知り、ならばと .022 と .015 で切り替えられるようにしたものです。
オイルペーパーコンデンサーは、「いつかギターの回路を触る日が来る」という思いから随分昔に買いためておいた秘蔵っこです。
Two Oil Paper cap

Cornel Dublier は Outer Foil のマーキングが無いため、Outer Foil の端子を計測により割り出しておきます。
注)Outer Foil とは、当ブログのフィルム・コンデンサーの向きについて
を参照ください。
Outer Foil checking

【ポットとスイッチの取り付け】
Volume ポット x2 、Tone ポット、スイッチを取り付けます。
Pots and switch installation


【ブリッジ・ピックアップ】
 Dimarzio の DP163 Bluesbacker にします。
ハンバック 構造ながら音はシングルコイルという触れ込みに乗っかりました。
Seymour Duncanの SPH-90 Phat Cat も検討したものの、わざとらしさの少ない素直な音作りの印象の強い Dimarzio にしました。

15年ほど前、エフェクターをつないで演奏していた頃の私は、ブリッジピックアップばかりで演奏していました。しかし、最近は、アンプ直で、ネックピックアップしか使わないので、まあなんでも良いといえばよいのです。
万一、ハンバック特有の音の遅さが気になることがあればシングルに切り替えられるようにスイッチ付きボリュームを使い配線しておきます。
Dimarzio DP163 Bluesbacker

【ネックピックアップ】
Lollar の Single coil for Hambacker にします。
P-90 をハンバッカーサイズにしたピックアップです。
参考にしたサイトで Rating 5 と最も評価が高く、入手が比較的容易ということでこれにしました。
リンディーフラーレンの P-92 も検討しました。しかし、参考にしたサイトでは Rating 4.5 だったのと、ストラトみたいな音という印象があり、Lollar にしました。

参照サイトhumbucker sized p-90 review page4

Lollar  single coil for hambacker

【配線】
ピックアップの配線とボリューム・ポット、ボリュームポットからスイッチへ、スイッチとトーンポット、スイッチとジャックの配線を済ませました。

下の写真の中央のラグ端子にグラウンドを全てつなぎ一点接地にし、ノイズ対策しています。一点接地につなぐものは以下の6つ
1) 弦アース
2) 各 Volume ポットのグラウンド
3) スイッチのグラウンド
4) Tone ポットのグラウンド
5) シールドのグラウンド
6) コントロール・キャビティーのアルミシールド

Wiring completed

コントロールキャビティーの蓋の裏側にもシールドを貼り付け、キャビティー側のシールドと接触させて回路全体を包み込む形にしました。
Cover of Control cabity

下の写真は電装系が完了した状態
Circuit Modify completed

Volume 、 Tone 、 Pickup selector は下のような配置です。

Volume, Tone, Selector Switch layout

トーンポットのスイッチ切り替えによるコンデンサー.002 と .015の音の差は大きくはありません。
微妙な出音の差は感じられます。
 .015 の方がより自然な音、.022 は少し加工したような音に私は感じられました。
まあ敢えて 2つの差を意識しての表現です。
Jason Lollar が .015 を好む理由はよく分かりました。

Stetsbar Tremolo を取り付けて完了
ピックガードとトラスロッドカバーもついでにプラスチックから木製に交換しました。
この見た目の部分の変更は音に関係なし。
Stetsbar reinstallation

交換したパーツと MOD 前後のギター
Before and after with changed parts
【 MOD した結果】
・汚い歪みはなくなりました
・アンプ直で使える音が出始めました
・シングルコイル特有のレスポンスの速い音です
・太さとブライトさを持ち合わせていて元気のある音
・音の芯があり、インストルメンタルでも使えます

以下の3つが総合的に効果を発揮したものと思います。
1) プリント基板をハンドワイアードに変更した効果
2) シングルコイルピックアップへの変更
3) スイッチ場所変更による配線材の総全長短縮の効果

また、
・ノイズが大幅に削減されました
・ピックアップがシングルコイルになったのに以前よりもノイズが少ない

シングルコイルにしたにもかかわず、ハンバックのときよりノイズが下がったのには正直われながらびっくりしています。以下の3つが複合的にノイズ低減に貢献していると思われます。
A) ラグ端子を使い、一点接地方式にした効果
B) コントロール・キャビティーのシールドの効果
C) スイッチの位置変更に伴う配線材の総全長短縮の効果

参考:
Gamps Project #2,#3 にかかった部品コスト
(銀行振込手数料と送料、配線材を省いた値段)

23,000円Pick up  Lollar single coil for hambackers
 8,000円Pick up DiMarzio Blues Backer
 3,200円 Pots CTS x3
  2,200円 Switch Switchcraft x1
  4,000円 Oil Paper Capacitors x2
24,000円 Stetsbar
     400円 Alminum sheet

計 64,800円也

ギター本体と同じぐらいの部品コストがかかりました。
しかし、
自分の理想のギターをオーダー製作するよりは遥かに安くついたと思います。

アンプのお仕事の予約がかなり先まで埋まっていて、
次はいつになるか分からないけれど、
ボディー、ネックだけをオーダーして後は自分で組み上げる
コンポーネント・ギターを作れたらいいなと思います。
木工は不得意で、一からギター製作はできないし、やろうとも思いません。
ひとさまの専門分野に踏み込むつもりもさらさらございません。

ただひとつ言えるのは電気回路はたとえギター回路でもきちんとハンドワイアードで真面目に作ったほうが音が良いということです。これは今回のプロジェクトで得られた貴重な体験です。

2017年9月25日月曜日

Stetsbar Tremolo

GAMPS project #2

GAMPS project #2 は、
Gibson LesPaul Faded 2017 にトレモロを付けることです。

Stetsbar Tremolo before and after

【トレモロの候補選択】
Les Paul のボディーに付けるトレモロとして最もポピュラーなのは Bigsby でしょう。
Stop Tail piece の部分にバネ式の機構を取り付け、弦を揺らします。 Tune O matic ブリッジはそのまま使うという構造上、ブリッジのスタッド部分と支柱の間に摩擦が生じブリッジがぐらついてくるという懸念があります。Bigsby そのもののの重量は重く、ギターが重くなります。
この重量増加によるサウンドの変化が好みの方もおられます。

Dusenberg のトレモロはストップテールピースをバネで動くタイプに交換するものです。
原理は Bigsby と同じです。重量も大きく増えないので、これにするか悩みました。可動部がベアリングでないことと、既存ブリッジへの負担がありそうなので、断念しました。

ジャズマスターのフローティングトレモロも Bigsby と同じくブリッジへの負担が大きくなることと、新たな取り付け穴とザグリが必要なことから除外。

ストラトのようなシンクロナイズドトレモロはバネを張るための大きなザグリ穴をボディー裏に開ける必要があります。あのザグリによってギターの音が随分とスポイルされてしまうと考えています。
よってこれも除外

はじめは Kahller のロックナット無しのタイプも検討していました。しかし、ボディーに少しだけれどザグリが必要なことが判明し除外しました。

シャーラーの Tune O Matic ブリッジの代わりに可動式ブリッジを取り付けるタイプもあります。値段も安く、簡単な構造のため、はじめはこれにしようかと迷いました。しかし、可動部がベアリングではなく、バネ式のため、やめにしました。

色々悩みつつもネット検索をして、ついに見つけました。
Stetsbar トレモロです。

【 Stetsbar トレモロに決定】
金属板の上にテイルピースとブリッジが一体化したトレモロです。ブリッジは Tune-O-Matic と同じ形状のものが乗っています。トレモロはブリッジをスライドさせることで実現します。ブリッジの可動部は水平のベアリングに乗っかっている構造でブリッジ本体が前後にスムースに動きます。
アームとブリッジの関係

取り付けには、ギターのボディー加工が一切不要です。穴あけもザグリも不要と書いてあります。
内心、本当だろうか思いつつ、万一木工加工が必要なら、すればいい、とにかくやってみようと思いました。

取り付け後のサウンドを YouTubeで確認すると、なんともなめらかなトレモロサウンドです。
トレモロ後のチューニングの狂いも極小とのこと。(ナット部のすべりを良くすることは必須)

日本ではいくつか取り扱いがあるものの、品切れの店が多い。
海外直送ながら、クレジットカードを使わず、日本の銀行口座への振り込みで対応してくれる T.C.T ギターパーツさんから購入することに決定し、さっそくオーダーしました。

振り込み完了し、ちょうど7日後に US から Stets bar が到着しました。
Stetsbar arrived from T.C.T guitar parts

きちんと衝撃吸収材の入ったパッケージで、輸送中ダメージの心配は無し。
Stetsbar Package

【Stetsbar の取り付け】
 Gibson LesPaul Faded 2017 に取り付けます。
Before the installation

弦を緩めて取り外した後に、
ストップテールピースを取り外します。
Removing stop tail piece

ストップテールピースのボルトを外します。
ブリッジとブリッジの高さ調整ボルトを外します。
Removed bridge

パッケージから Stetsbar を取り出し、ボディーに載せます。
Mounting stetsbar

Stetsbar に付属しているボルトとプラスチックナットで Stetsbar を固定します。
ストップテールピースのネジ穴をそのまま利用して支給されたボルトを締めるだけです。

( Stetsbar にはインチネジとミリネジの両方のボルトが付属しており、取り付けるギターによってボルトを選びます。Gibson にはインチネジのボルトを使います)

Attaching bolts

付属のレンチでボルトを締めます。きつく締める必要はなく、指で動かない程度( Finger tighten )に締めます。

Tightening bolts

取り付けはここまでで完了。

次は調整です。

【弦を張り、ブリッジを調整】

まずはそのまま弦を張ります。
Stringing

弦を張り、弦高調整とオクターブ調整を済ませます。
普通のギブソンのブリッジと同じものが付いていますから、弦高調整もオクターブ調整も普通どおりにできます。


【Stetsbar の Zero Point 調整】
この調整が Stetsbar を安定して稼働させるためのキモです。

テンション・アジャスターという2本のビスを 6角レンチで少しずつ締めていき、
Tension adjust
下図のようにテールピース下部のラインとアーム可動部のラインが平衡になるまで調整します。
この平行の状態を Zero point と呼んでいます。
Zero point

再度チューニングして
Re-tuning

完了です。
Installation completed

なんとも滑らかでスムーズなアームタッチです。
大胆な揺れも繊細な揺れも自在。

アーミング後のチューニングの狂いも少ない。
シンクロナイズドトレモロやモズライト・トレモロよりも優秀と感じました。

やはりそのスムースさの秘訣はこのトレモロの構造だと思います。
ベアリングの上に載っているブリッジそのものが前後する構造です。

ブリッジそのものが前後する構造

現状のセットアップではアームダウンとアームアップの両方ができます。
この状態で弦が一本切れるとギター全体のチューニングは変わります。

アーム・アップをやめるように設定するには下の写真の矢印のスクリューを締めてアームが付いている可動部を後ろに後退しないようにします。

ダウンオンリーになる代わり、弦が切れてもチューニングは保持されます。
後退防止ネジ

今まで抱いていた疑問
「レスポールのようなストップテールピースタイプのギターに私が良いと思うトレモロはどれなのか?」
について「恐らく Stetsbar ではないだろうか」という想像でしかなかったことの答が今回、明らかとなりました。

Stetsbar は素晴らしいと思いました。
動作がスムースなことに加え、ギターの木部に一切の加工は不要というところも魅力です。

さあトレモロが付きました。次は回路の改善・補強とピックアップ交換です。


2017年9月24日日曜日

Gibson Les Paul Faded 2017 New

GAMPS project  #1

Gamps Project とは、日頃わたくしが想像していること、疑問に思ったこと、推測の域を出ない仮説等を、実際に製作したり、改造したりして確かめるプロジェクトです。

今回はエレキギター本体についてです。実験的に改造します。

まずはプロジェクトに使用するギターの紹介です。

2017年 8月に入手した Gibson Les Paul Faded 2017 です。新品です。

レスポールが欲しいというよりも、
1) Medium スケール (628mm) で、
2) 抱えやすく、軽めのボディーで、
3) 値段が手ごろであること。
4)  国産もしくは米国産であること。

この4つの条件に見合うギターをあちらこちら探し回ったところ、このギターが条件にぴったりでした。もちろん中古も探しました。 ネットで、これはという固体を見つけ神戸の Qsic という中古専門店にでかけました。既に売り切れ。三木楽器アメリカ村に置いてあり、前から目をつけていた固体もいざ買うぞというときには売り切れでした。良質な中古はすぐに売れてしまうようです。
新品では、Fujigen の JFL や Tokai も候補でした。しかし、はるかにこの Gibson が安く買えました。

Gibson LesPaul Faded 2017
 キャンペーン中ということもあり、上の写真のギターの後ろに見えるセミハードケース付きでした。


Body

Rear View
 付属品もシールド、ストラップ、ギターケア用品といたれりつくせり付いていました。
付属品
このギターをこのままで使うつもりは全くありません。

MOD ( 改造 ) をしてはじめて私の望む形になります。

MOD する前の、このギターの長所と短所を列記しておきます。

【長所】
・スリムテーパーのネックにしては比較的厚みのある
 形状のネックで、中・低域が普通に出る。
 ネックが薄くなると、中低域も薄くなる傾向があると思います。
 (ギターの音色の本質はネックの太さで決まる)

・レスポールの中では比較的ボディーが軽量で、
 抱えていて心地良い
 ( 重いギターはどんなに音が良くてもパスです。歳のせいです。)

・ボディートップの木目がプレーンな材を使っている。
 阪神タイガースファンです。
 しかし、美しいタイガーストライプのギターを見ると
 逆に安っぽく感じます。私はかなりのヘソまがりです。
 理由は、ギターとしての基本に手を抜き、木目だけで
 高いお金をむしりとろうとしているように見えてしまうから。
( 見た目の要素)
 
握りやすいネックでミディアムスケールであるところ。
 私の指は短い。
 ストラトの 25-1/2インチのネックは1F から5F までが弾きずらい
 近年の平べったい形状のネックは親指がすぐ痛くなる。
 音は置いておいて操作性の観点から、
 レスポールのネックは握りやすいです。
(操作性の観点)

【短所】
・ピックアップ ( 490Rと490T) が歪みやすく、歪んだ音も汚い
 基板アンプのような高域の Harsh さが耳につきます。
  今のままではアンプ直での音は使えない感じです。
 ( あくまで私個人の感想、こういう音が好みの人もいます)

ノイズが多い
 ハンバッキングのギターとは思えないノイズの多さです。

・良いトレモロが欲しい
 このギターの将来の位置づけは、ジャズもロックもブルースも、
 そしてベンチャーズも1本でできてしまうこと。
 それにはトレモロは必須です。
 ( Pigsby は構造と重量が好みではありません)

では、これからこのギターをベースに自分好みに MOD していきます。
Gamps Prohect #2 と #3 はこのギターをベースに作業しています。

2017年9月22日金曜日

Super Reverb Overhauling ( '66 スーパーリバーブ お客さまの声)

当ブログでご紹介した
'66 スーパーリバーブのオーバーホールのお客さまから、ギターアンプのオーバーホールに対するご感想と動画が届きました。


【お客様のご感想】
お世話になります。神戸のIです。

その後のSuper Reverbですが、毎日、絶好調で
楽しいギターライフを過ごさせて頂いています。

V1、V2ともにGE 12AX7を入れて、大変安定しています。

先日、スタジオにSuper Reverbを持ち込んだ際に
手持ちのiPhoneで録画した試奏の様子です。

ギターはこれも、最近うちに来た、
Fender 1968のテレキャスターです。
Super Reverbとの相性がすばらしいです。

録音音質は、iPhoneのため、原音は伝えられませんが、
雰囲気だけでもとおもい、お耳汚しに。

実際は、倍音が七色に煌く様にはじけます。大変気持がいいです。
もちろん「ギター、シールド、アンプ」のみです。
ギターのボリュームを上げれば、ライオンのように咆哮します。

改めまして、いいアンプをありがとうございました。
そして、今後とも何卒よろしく願いいたします。


【撮っていただいた動画】


なんとも楽しそう。

音を楽しんでいらっしゃるのがよく伝わってきます。

文字通り 音 楽 ですね。

良いアンプに仕上げると、お客さまのギターライフが楽しくなる。

そう思うと、作業に費やした集中力と汗の疲れが吹っ飛びました。

何よりもうれしいお便りを頂戴しました。

この仕事をしていて良かったと思える瞬間です。

……良きギターライフを

2017年9月14日木曜日

Super Reverb Overhauling( '66 スーバーリバーブ のオーバーホール )

神戸にお住まいの I さまご所有のアンプです。
1年前にご予約賜りました。

昨年、中古で入手なさり、音は出るものの、
音圧が少し足らないとのことです。ご要望は、
・太い音に戻してほしい
・過去に回路が修理されているが正しく直されているのか不安
・安心して長く使いたい


受け入れ検査で見つかった不具合のいくつかをご紹介しましょう。

【受け入れ検査】
Super Reverb Blackface 受け入れ時

Circuit Before restoring レストア前の回路

ヴィブラート(トレモロ)回路は過去に修理されているものの、
オプトカプラー(発振信号を光の点滅に変換した後、抵抗値の変化として取り出す) は Fender アンプ用に再生産されたものとは異なるものが付けられています。
Vibrato Circuit Modified 過去に修理されたヴィブラート回路

セラミックコンデンサーのハンダ付けが不十分で端子が浮いてしまっています。
Poor soldering ハンダ不十分で浮いた端子

ノイズレベルが高かったのかシャーシーグラウンドの補強のために配線材が使われています。しかし、これでは不十分で役に立ちません。
またフィルターキャップのオーバーホールをさぼって、対処療法として後付けでアルミ電解コンデンサーが回路側に付けられています。フィルターキャップのオーバーホールをきちんとすれば不要です。
Poor reworking  グランド配線と後付コンデンサーのまずい処理

フィルターキャップとして機能する 5本のアルミ電解コンデンサーのうち 3本が過去に交換されているものの、それらも既に液漏れして寿命がきています。
液漏れしているアルミ電解コンデンサー
以上が受け入れ検査の概略です。

お客さまの不安は見事に的中しました。

過去の修理は対処療法的に問題を回避する修理だけがされており、大元の原因が取り除かれてはいません。ハンダ付けも慎重さに欠ける仕事です。
(作業を進めていくうちにもいくつも不具合がみつかりました)

では作業開始。


【作業1. 電源回路の問題点の修正】

電源回路には以下の安全上の問題とノイズの問題がありました。

a)  電源コード(過去修理)が長すぎてノイズ源となっています。
b)  修理交換されたGround スイッチがパワーチューブ・ソケットの
  真上に張り出しソケット配線とショートする危険性があります。
c) 配線材の絶縁が低下し、ショートしやすくなっています。
d) 電源トランスの配線に絶縁テープが巻かれています。
   何やら潜在的な問題を隠しています。

e) 修理交換されたスタンバイスイッチのトグルが長すぎます。
  (電源スイッチと間違えて操作してしまうとのこと)

電源回路の問題点

a) まずは電源コードの配線をやり直しました。
・グラウンドスイッチを取り外し、感電防止をしました。
b) 真空管ソケットのショートも同時に防ぎます。
c) 配線材はベルデンの1000V 耐圧線を使い絶縁性能向上しました。
・なるべくノイズを発生させないレイアウトにしました。下写真
電源コードの配線をやり直したところ

d) 電源トランス配線に巻かれていた絶縁テープを外してみました。

ヒーターのCT ( センタータップ線 ) は、本来あるべきはずの絶縁被膜が全て焼けてなくなっています。
+B の CT は被膜は残っているものの焼けただれている部分と黒く炭化している部分があります。
絶縁テープを剥いだところ、絶縁被膜が完全に消失していた

ヒーター CT 線と +B CT 線に絶縁被膜を取り付けました。
絶縁被膜はポリマー樹脂の筒で包んだ後、グラスファイバーの筒を被せて2重構造にし、絶縁性能を確保してあります。
焼けて被膜の取れた配線材に絶縁被膜を取り付け

ヒーター線(緑色)の絶縁テープを取り去ると、根本で焦げているのが見つかりました。
根本で焦げているヒーター線

ヒーター線も2重被膜の絶縁を根本の部分を中心に施しました。
ヒーター線の絶縁被膜補強
過大な電流が電源回路に流れた場合、普通であれば電源トランスの絶縁被膜が焼けるよりも先にヒューズが飛びます。

もしかして、「このアンプの定格よりも大きなヒューズがいれられているかもしれない」という考えが頭をよぎりました。ヒューズを調べてみると、案の定、本来 2A のところに3A のヒューズがいれられていました。
過去に交換されているヒューズ

正規の定格の 2A Slow Blow に戻しました。
左: つけられていたヒューズ / 右:本来の仕様のヒューズ

2A slowblow を取り付け

スタンバイスイッチを正規の Carling のスイッチに交換しました。
スタンバイスイッチを Carling 製に交換
お客さまが訴えておられたトグルの高さの不一致はなくなり、電源スイッチとスタンバイスイッチの高さが同じになりました。
トグル部分が電源スイッチと同じ高さになった

下が作業1.の作業後の写真です。
電源回路の改善


【作業2. グラウンド母線の敷設によるノイズ低減】

以前の修理時に配線材を使いシャーシー・グラウンドが補強されています。
シャーシー・グラウンドとは、あちらこちらの回路のマイナス(グラウンド) を各々の回路の近くのシャーシー金属に直にハンダ付けすることを言います。
シャーシーはひとつの鉄の塊であるため、シャーシーのどこでもゼロ・ボルトであるとみなすことが出来るという概念です。しかし、理論通りにいかないのが世の常。

ある回路のグラウンドと、そこから離れた場所の異なる回路のグラウンドの間に電位差が生まれることがあります。つまり理論的に 0V であるはずの 2点のA点では0V であるもののB点では0.2V であるというようなことが起きるのです。
その原因はシャーシーグラウンドのハンダ付の劣化や腐食です。つまり完全に導通していると思い込んでいる回路のマイナスとシャーシーグラウンドの接合部分に抵抗値が生じてしまい、その抵抗の分電位が上がってしまいます。特に電流を多く流す回路のグラウンドの電位が上がりやすくなります。

その弊害は、ノイズです。 60HZ や 120HZ のハムノイズ( ワンワンワンワンという周期音)が大きくなってきたり、発振と同じように不快な音がギター音に混ざってきたりします。

対策としてはシャーシーのハンダ付のやり直しをするか、シャーシーの各所に散らばっているグラウンドポイントの間を新しい配線で繋いで補強してやることです。

このアンプは下の写真のように茶色いビニール被膜の配線を使いグラウンドの補強をしようとしています。残念ながらビニルの配線材を使うと、新たな問題が起きます。

被膜付きの配線材でシャーシーグラウンドを補強すると、グラウンドループという新たな問題が出ます。グラウンドのA点とB点の間にはシャーシー本体で繋がれている回路と被膜付きの配線材で繋がれる回路の2本の回路が平衡して走ることになり、この2つの回路の中で電流がぐるぐると回ることをいいます。
A 点 から配線材を伝ってB点に行き、B点からシャーシーを伝ってA点に行くというループです。
このループ(輪っか) によってノイズが大きくなってしまうのです。

ビニール被膜の配線材を使ったグラウンドの補強

グラウンドループを作らずにグラウンドを補強する最適な方法は、グラウンド母線という考えです。被膜の付いていない裸の導体をシャーシーにしっかりと密着させて配線します。そうすることで、電流が迷走するループを作らず、弱くなったシャーシーグラウンドの補強もできます。


まずはグラウンド母線を敷設する場所のシャーシーの汚れをクリーニングします。
シャーシーのクレーニング、埃取り

頑固にこびりついた埃はスクレーパーを使い削りとります。
スクレーパーを使いこびりついた汚れを削り取る

グラウンド母線を密着させる部分のクリーニングが完了。
シャーシーのクリーニング完了

そこへ、厚さ 2nn 幅10mm の銅の平棒をグラウンド母線として敷設します。
グラウンド母線と回路との接続は、歯付ワッシャーへのハンダ付けで行います。
グラウンド母線の敷設


【作業3. プリ真空管ソケットに付着した接点復活材の除去】
このアンプもご多聞に漏れず接点復活材が噴射されています。特に真空管ソケットには多量に噴射されており、端子間の絶縁性能が低下しています。絶縁低下すると、ギター信号が削られて音が小さくなったり、漏電して配線を焼損したりします。
確証はないものの、作業1. で見つけた電源トランス配線のヒーター配線の焼けの原因はこの接点復活材の悪影響かもしれません。
接点復活材で汚れた真空管ソケット

接点復活材が埃を吸い込み、こべりついています。この汚れを取るために歯ブラシにアルコールを付けてこすりとります。
アルコールを付けた歯ブラシでこする

歯ブラシで浮かせた汚れを綿棒できれいに取り去ります。
歯ブラシで浮かせた汚れを綿棒でふき取る

下の写真のようにきれいになりました。
きれいになった真空管ソケット

真空管ソケットの表側もクリーニングします。
真空管ソケットの表側のクリーニング

絶縁部のクリーニングの後で端子そのもののクリーニングをします。
ここは真空管の端子がささる部分です。ここに埃があると接触不良となるため、綿棒の糸くずが残らないように慎重に作業します。
端子部分のクリーニング

プリ管用のソケット 6本すべてに同じ作業を行いました。
真空管ソケットの表側のクリーニング完了


【作業4. パワー真空管ソケットの交換】
パワーチューブ用のソケットはコネクターが緩くなっています。加えて絶縁部の絶縁性能も低下しています。クリーニングでは対処できません。新品と交換しました。新しいソケットの絶縁部は白いセラミック製を使いました。絶縁性能は抜群です。
パワーチューブ用のソケット

新しいパワーチューブソケット
通常のオーバーホールメニューに入るまでにこんなにかかってしまいました。

安心して長くお使いいただくには作業1.~4.までは手間がかかっても省くことはできません。

ようやくアンプの回路の作業です。


【作業5.フィルターキャップのオーバーホール】
液漏れしていたため、フィルターキャップは5本とも交換します。
デカップリング抵抗x2本も交換します。
フィルターキャップは高い電圧がかかるため、絶縁被膜が汚れている配線材も9本すべて交換します。

フィルターキャップ、抵抗、配線材

アルミ電解コンデンサーは Sprague ATOM と JJ の組み合わせ。
デカップリング抵抗は Ohmite のセラミック・コンポジション抵抗。
配線材はベルデン製1000V 耐圧線。
フィルターキャップのオーバーホール済


【作業6. バイアス電源回路のオーバーホール】
マイナスのバイアス電圧を作り出す回路は 1W 抵抗と Diode とアルミ電解コンデンサーで構成されています。オリジナルのアルミ電解コンデンサーはとっくに寿命が過ぎています。抵抗は経年劣化により抵抗値が大きくなっています。
このアンプのようにバイアス回路が放置されたままのヴィンテージアンプが世の中にはまだまだあるようです。放置すると、パワーチューブのバイアス電圧が不安定となり、何度もバイアス調整しないと音質が落ちつかなかったり、真空管の寿命が通常よりも短くなったりします。

3個の部品とも新しくしました。
バイアス電源回路、オーバーホール前

バイアス電源回路オーバーホール後


【作業7. メインの回路のオーバーホール】
メインの回路ボードの状態は悪く以下の状態です。
・過去の修理で部品・配線共に廉価なものが使われている
・修理痕跡が汚い
・配線が汚れて絶縁被膜が劣化している

配線材は全て交換が必要です。
回路ボードをアンプから外し、ボード上の全ての部品を取り外し、ボードをきれいにした上で新しい部品と配線材を作りこんでいくことにしました。
メイン回路

回路ボードをシャーシーから取り外したところ
Dismounted Circuit BD

電気部品と配線すべてを回路ボードから取り外したところ。回路ボードは汚れています。
Removed parts and wires

回路ボードをきれいにクリーニングしました
Cleaned the board

新しい部品と配線を回路ボードにハンダ付けしている最中
Mounting parts and wires

全ての部品と配線材を回路ボードに取り付け、ボードをシャーシーに取り付けたところ
Circuit board mounted on chassis


【作業8. インプット・ジャック】
インプットジャックの絶縁部には接点復活材がしみ込んでいます。
インプットジャックにはチャンネル当たり 3個の抵抗が付いています。
Input jacks

経年変化によりカーボン・コンポジット抵抗の抵抗値も高くなっています。
resistor's resistance measurement


接点復活材のしみ込んだジャックに新しい抵抗を付けるだけでは正しく機能しません。
新しいスイッチクラフトのジャック 4個を使い、インプットジャックを組みなおす必要がありました。
Replaced with new Jacks, all are switch craft.


【9. MODs】
このアンプには2つの MOD を入れています。

1 ) Both Channel Reverb
Normal と Vibrato の両チャンネルにリバーブとトレモロが効くようにする MOD です。
この MOD は2つのチャンネルの信号がトーンスタックに送られ、戻ってきたときの増幅段で Tweed Mixer と呼ぶ回路を構成して信号をミックスし、Vibrato チャンネルのリバーブ・ドライバーに乗せます。そのため、Vibrato チャンネルの音も、Normal チャンネルの音も相手方の増幅段に信号を吸い取られることがありません。
つまり、よく巷で行われている、 Normal チャンネルの V1 真空管を抜いて Vibrato チャンネルのゲインを良くするという改善が盛り込まれた形になっています。

 
もうひとつの MOD は

2 ) Tremolo disconnect MOD 
'64 Vibroverb Custom で採用されている MOD です。
 Vibrato の Intensity ポットは常にギター信号を少しだけ削っています。そこで Vibrato を作動させていないときだけ、 Intensity ポットを回路から外し、音が削られるのを防ぎゲインを稼ぐという MOD です。

Intensity ポットにスイッチ付きポットを使います。
トレモロを使うときは Intensity を 1以上にします。
するとスイッチがオンとなりIntensityポットが効きます。
トレモロを使わないときは Intensity を 1以下にしておきます。
スイッチが切れて Intensity ポットは回路から切り離されゲインを削りません。

トレモロのオン・オフそのものは通常どおり、フットスイッチで行います。
ある曲の途中でトレモロを使う場合、Intensity はその曲調に合わせた値にセットしておいて、フットスイッチで・オン・オフします。
トレモロを使わない曲のときは Intensity を 1以下にしておいて、ゲインを稼ぐという仕組みです。

お客さまはギターとシールドだけで演奏されます。アンプ側のゲインと倍音が豊であるほどギターのボリューム・トーンの操作とピッキングの強弱だけで多彩な音色を作ることが可能となります。
それがこの MOD の追加を希望なさった理由です。
Tremolo disconnect MOD using switch pot at intensity
上記 1) と 2) の MOD の取り付けは、オーバーホールをなさる方だけに提供します。さらに MOD の追加料金はありません。

(オーバーホール同時適用限定の理由)
きちんとオーバーホールしたアンプに適用して初めて MOD の効果が表れます。当方でオーバーホールをしていないアンプへの MOD 単体での適用は効果が見込めないというのが理由です。

(無料提供の理由)
これらの MOD を入れたからといって作業量は極端に増えません。オーバーホールの一連の作業の中で抵抗やポットの種類を変えるだけで済みます。ギャンプスのオーバーホール料金は手間賃としていただいています。手間が増えず、部品代金もそんなに変わらないのであれば無料提供すべきという考えです。


【10. バイアス調整とテスト試奏】

バイアス調整を行った後、初試奏しました。

ほぼ全ての回路動作は安定し、 Super Reverb の音色 にプラスして、以前より少しハイゲインとなり元気のある音になりました。

Bias adjust and sound test

Vibrato チャンネルの Volume ポットはクリーニングしてもとれないガリが出ていました。新しい CTS ポットに交換しました。
Volume pot replaced

Vibrato ( トレモロ ) の揺れが少し元気がありません。 V5 の 12AX7 が劣化していたため、新しい12AX7 に交換しました。

V4-12AX7 replaced


【11. 最終テスト】
不具合が全てなくなり、最終テスト、試奏を行いました。

Fender のアンプの中でもアンプダイレクトつなぎで多彩な音が出るアンプとして人気の高い Super Reverb らしい太いサウンドが蘇りました。

お客さまも大変お喜びになりました。
作業開始まで一年間もの間お待ちいただて申し訳ありませんでした。


Overhauling completed

【お客様のご感想】

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