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2022年1月19日水曜日

A Happy New Year 2022 January 19th

 本年もどうぞよろしくお願いします

みなさま、明けましておめでとうございます。
新年のごあいつが遅れ申し訳ありません。
ひとえに私の不徳といたすところでございます。

何事も思い通りにいかない常日頃でございます。
しかし、
回り道しても「やったー大発見やー」と
視点を変えれば勉強につながることも多いのも事実です。

今年も新しいギターアンプの製作を中心に楽しい情報をお届けしてまいります
どうぞよろしくお願いいたします。
トレモロ強化パーツを装着したムスタング
トレモロ使用後のチューニング狂いを抑えるためスプリング強化したムスタング



2019年8月28日水曜日

Fender Super Champ

Fender Super Champ のオーバーホールを行いました。

届いたアンプの状態を一言で表すと「ノイズの山」
×  電源を入れしばらくすると必ず「ジーッ」と大きなノイズ
×  少しでも外部からの振動が加わると衝撃ノイズが「バリバリッ」

当ブログの以前の記事をお読みになったお客さまのご要望で、
オーバーホールに加え、
「6C10 の真空管を 12AX7 に置き換える」MOD も同時適用しました。
Front view of the amplifier
Fender Super Champ フロントビュー

6C10 tube's socket is removed and two 9pin socket is installed
6C10 真空管を止めて 12AX7に変更 

Circuit view inside the chassis
パーツをグレードアップし、サウンド向上

 Super Champ の 6C10を 12AX7 に置き換える MODを
お客さまのアンプに実施するのは、今回でおしまい。
在庫の中古 Super Champ の販売が終了したら、
実施しません。実質、このフログのアンプが最後です。

MOD するには、既存の 6C10 真空管のソケット穴を埋め、
12AX7 用 ソケット穴を 2個設ける必要があります。
穴あけはシャーシーパンチというツールで鉄を押し切りします。
かなりの握力が必要で、高齢の身にはきつく、手の骨の痛みが
一週間は続くようになりました。
今より少し若かった頃には楽々行えていた作業。
自問自答してみると、
「やってられない」から「やりたくないと」いう結論になりました。
( 鉄では無く、アルミのシャーシーなら、穴あけはもっと楽ですよ )

 今後ギャンプスではお受けしない作業。
ならば、自分で作業なさりたいという人がおられるかも
しれませんね。そういうお方のため、なるべく詳しい資料を
掲載することにしました。
質問しなくても理解できるし、作業の自信があるというお方は、
ご参考になさってください。

但し、
異なるサイト、他のブログ、ツイッター、インスタグラム等への
無断掲載、転写、転載は固くお断りします。

以上よろしくお願いします。

では解説スタート

受け入れ検査の結果

 ×  過去に一度もアルミ電解コンデンサー交換がされていません。
      ⇒ ノイズ問題が起こって当然です、オーバーホール必要

×  パワーチューブは過去に交換されています。しかし、
     ⇒ 不揃いな見た目の2本が使われている
      マッチドペアの新品に交換必要かも、これは後で判断

△  スピーカー端子のプラスとマイナスが逆に繋がれています。
  ⇒ おそらく過去に、よく理解してない誰かが、入れ替えた ?
      正しく繋ぎなおす。 スピーカーケーブルも作り直すかな ?
Sound test found Noise problem, Visual inspection found a lot.
T1. T2. Receiving Inspection

1. 6C10 真空管の代わりに二本の 12AX7を代用する  

6C10 用のソケットを取り去り、12AX7 用のソケット穴を2ヶ所作り
ソケットを付け、ソケットと回路の配線を実施します。

作業を言葉にするといとも簡単、上記の 2行で済みます。


その MOD が必要な理由は、、、
a)   6C10 真空管はどこのメーカーも再生産していない、
b)   6C10 の NOS も今では在庫切れで購入不可能

万一 6C10 が故障したら、他が故障していなくとも、
Super Champの使用継続が困難となる。

6C10 の代わりに12AX7 にしておけば、
いつまでもSuperChamp を使い続けることができるのです。

before and after
1. Modifocation of installing two 12AX7 instead of 6C10 tube

6C10 と 12AX7 の違い

6C10 は 中に 3個 の増幅素子を持っています。
またピンの数は 12ピン です。

12AX7 はガラス管の中に 2個 の増幅素子を持っています。
ピンの数は 9ピン です。

増幅素子の特性、増幅する度合やミューは
12AX7 と 6C10 では全く同じです。つまり、
6C10 を 12AX7 に置き換えても 6C10 の音質と同じ。

一般的なプリ管の増幅素子は 3極管です。
増幅素子ひとつにつき3端子 ( プレート、グリッド、カソード)です。
それに加えてヒーター用の端子が 2つもしくは 3つで構成されます。

6C10の 12ピンのうち
9本は増幅素子 x 3 個分の端子
2本はヒーター
1本は空き端子

12AX7 の9ピンのうち
6本は増幅素子 x 2 個分の端子
3本はヒーター

6C10 と 12AX7 とで端子配列は異なっています。
(下図参照)
この端子の整合性を頭の中で合わせて、回路部品と配線します。

12AX7 を2本使用すると、本来は3つで十分な増幅素子が4つあり、
ひとつ余ります。余った素子の端子は
a) 何もつながない
b) もしくは発振防止のため3本ともにグラウンドに落とす
のどちらにしても結構です。
ギャンプスはグラウンドに落とし発振予防。

最後にヒーターで消費する電流量についての解説です。

6C10 のヒーターで消費される電流は 0.6A ( 600mA )
12AX7 のヒーター消費電流は 0.3A ( 300mA)

都合の良いことに6C10一本の代わりに 12AX7を2本使っても
ヒーター消費電流は 0.6A( 600mA) で変化はなく、
トランスの負担は増えず全く問題はありません。
つまり電源トランスの交換は不要ということです。

この事実に反した記述がネットに転がっています。
注意してください。


参照:  6C10 と 12AX7 のスペックの一部切り取り。下図

6C10 pin layout and basic spec.
6C10 Specification 

12AX7 pin layout and a partial spec.
12AX7 specification


オーバーホールの方針

6C10 用ソケットを取り外し、12AX7 用のソケット2個を取り付けたら
オーバーホールを行います。

以下の3つの方針に基づいてオーバーホールをし、
回路を健全に戻し、故障の連鎖を断ち切ります。

a) 既に劣化した部品と高電圧により劣化しやすい部品の交換
b) 全てのハンダ付部は再ハンダを実施し、ハンダクラックを根絶
c) 配線材の絶縁強化を行い、劣化による漏電を防止

2. フェーズインバーターのオーバーホール

カーボン・コンポジット抵抗x 9
フィルムコンデンサー x4
アルミ電解コンデンサー x3
配線材 x3
交換しない部品の接点も含め全ての接点の再ハンダ
( 下図 JPEG 参照 )

3. バイアス回路のオーバーホール

 カーボン・コンポジット抵抗x 5
アルミ電解コンデンサー x1
 交換しない部品のも含め全ての接点の再ハンダ
( 下図 JPEG 参照 )
Before and after the overhauling
2. Phase Inverter circuit    3.Bias Circuit

4. Filter cap の交換

電源を担うフィルターキャップ( Filter capacitor) はボックス型の
アルミ電解コンデンサー Mallory 製が使われています。

幸いなことに、CE Manufacturing という会社が当時の Mallory と
同じ製造工程で同じコンデンサーを作ってくれています。

つまり寿命の長持ちする新品のコンデンサーに交換しつつ
音質を損ねることなく、ノイズ低減し、音圧を大きくし、
信頼性も向上できるということです。

このコンデンサーは少し高価(約7,000円)です。
加えて、
コテ先の大きい、温度調節可能な特別なハンダゴテを使い、
時間と手間が必要となる作業が必要です。

交換できない楽器店や、交換をためらう修理店があるようです。

私が過去に修理担当した固体はいづれも、
オリジナルコンデンサーが交換されておらず、
寿命が過ぎ、音圧が弱く、ノイズの多い、固体ばかりでした。


あとコンデンサーにハンダ付けされているデカップリング抵抗も
必ず交換します。オリジナルはカーボンコンポジットの1W 耐圧。
このカーボンコンポジット抵抗を
電源回路に使うことには、あまり意味はありません。
高電圧回路に使われていることによる発熱で劣化が進行します。
そのため、金属皮膜抵抗やセラミックコンポジション抵抗に
交換すると寿命が稼げると同時にノイズ発生を抑えられます。


before and and after replacing
フィルターキャップの交換

5. 電源コードの交換

電気安全の観点から交換します。

6.1 リバーブ回路のオーバーホール

カーボン・コンポジット抵抗x 1
フィルムコンデンサー x2
交換しない部品のも含め全ての接点の再ハンダ
リバーブトランス配線、真空管ソケット配線は
経年による熱ストレスでハンダ内部クラックが
起きやすく、入念にハンダ付けします。
before and after the replacement
5.電源コード交換    6.1リバーブ回路

6.2 Lead ドライブ回路

Super Champ の Lead Drive 信号は、
リバーブ・スプリングを揺らすための
リバーブ・トランスへの入力信号を、
プリアンプに戻して使います。

このアイデアは Boost 付きのシルバーフェースのプリンストンや
デラックスリバーブと同じ発想です。

電気ストレスにより劣化しやすい抵抗とコンデンサーを交換します。
抵抗 x1
フィルムコンデンサー x1

7.1 プリアンプの増幅回路のオーバーホール


カーボン・コンポジット抵抗 x5
アルミ電解コンデンサー x3

すこし大きめのアルミ電解コンデンサーはプリアンプの電源用の
フィルターキャップで、 4.7μF 450V 耐圧です。
この耐圧を450V より大きいものに交換することは問題ありません。
高い耐圧のアルミ電解コンデンサーを使うと壊れにくくなります。

しかし、値の4.7μF は必ずその値を守ってください。
フィルターキャップの値を大きくするとギター信号のダイナミクス、
迫力や色気が損なわれていきます。
実験して音の違いを比べてみることをお勧めします。

一方で
4.7μF で耐圧 450V のアルミ電解コンデンサーは市販で入手困難です。
そこでギャンプスは SOLEN のフィルムコンデンサー4.7μF 耐圧600V
を使っています。 音質は損なわず、信頼性向上します。

フィルムコンデンサーは容量が大きくなると容積が大きくなります。

アルミ電解コンデンサーが重宝されて使われるのは、小型の容積で
大容量のコンデンサーを作れるからです。

下の写真で 4.7μFの SOLEN フィルムコンデンサーの容積がとても
大きいことがわかると思います。
4.7μF という容量だからこそ、フィルムコンデンサーで代用できる
ギリギリのサイズということもできます。

フィルターキャップの全てをアルミ電解でなくフィルムに置き換え
ることができたら、音質は損なわずにアンプの信頼性を上げること
ができます。しかし、コンデンサーの大きさがバカでかくなり、
シャーシーに納まらなくなります。
そのため、いまだにアルミ電解が使われ続けているのです。
Before andf after the replacement
6.2 Lead Drive  7.1 Preamplifier

7.2 プリアンプのトーンスタック


トーンスタックとは、Treble, Bass, Middle, Volume の各つまみで
調節可能な信号を作る回路のことです。
Treble, Bass, Middle 用に各々フィルムコンデンサーが対応します。
カーボン・コンポジット抵抗x 2
フィルムコンデンサー x4
交換しない部品のも含め全ての接点の再ハンダ

8. 確認テスト

ここまでの作業で
◎ バリバリという不快なノイズは無くなりました
◎ ハムノイズも大幅に低減し、演奏しないときは静かになりました。

しかし、まだ問題が2つ見つかりました。作業を続けます。
before and after the replacement
Tone Stack のオーバーホールと確認テスト


9. パワー管のソケット交換

試奏テスト時に少し強めに弦をはじくと、音が揺れる。
トレモロほど揺れないものの、音がふらつくような感じです。
アンプ内部を総点検すると、パワー管のソケットピンのひとつ、
3番ピンが折れかかり、わずかな振動でフワフワ動いていました。

ソケットを交換し、音の揺れは無くなりました。
before and the after
9.チューブソケット交換


10.  パワーチューブの新品への交換


さらに試奏テストを続けると、高域の歪みの多さが気になります。
倍音が多いとも言えるものの、明らかに高域が歪みすぎです。
ディストーションやオーバードライブを常に使っていると、こうした
音の濁りに気づけないのかもしれません。
これで良しとしていたのかもしれません。

Fender アンプの持つ倍音豊かな本来のクリーン音は迫力があり、
クリーンなのに色気のある音のことを言います。

アンプに悪いところはないはずです。
唯一あるのはパワーチューブ 6V6GT が左右不揃いのものが刺さって
いるということだけ。

そこで現状の真空管のままバイアス計測してみました。
理想値 30mA のところ、片方が 35mA、もう片方が20mA です。
なんと左右で 15mA も電流値が異なる不揃いな特性でした。

新品の Electroharmonics の6V6GT を入れて計測すると
左右共に 30mA ぴったりとななります。

試奏してみるとチープな高域歪みは消え、暖かく迫力があり、
中域の色気を感じるサウンドが蘇りました。

before and after
10. パワーチューブの交換

ようやく完成しました。

音のよくなったアンプと共に交換したパーツを
オウナー様にお返ししました。
replaced parts are ruturned to the owner
11.アンプ以外の返送品

ギャンプスは過去に多くの Fender アンプのオーバーホールをしました。
最終試奏のときに素晴らしい出音が得られたときの喜びが原動力です。


#SuperChamp #6C10 #6C10Tube #アンプ修理

2018年1月10日水曜日

2018 greetings

 2018年、本年もよろしくお願い申し上げます。

年明けから多くのお問合せを賜り誠にありがとうございます。

2018年にお引受けすることのできる仕事につきご説明申し上げます。
2018 Gamps オリジナルアンプ  Green Reverb
 
お客さまのアンプをお預かりして修理する場合、

お客さまにとって、ひとつのリスクが生じます。

それは、私の体調不良などにより作業継続できなくなり、
 
お客さまの大切なアンプを正常な状態で返却できない事態が

起こるかもしれないというリスクです。

 
昨年10月に体調を崩したときは、運良く回復し、

お預かりしていたアンプは全て修理を完成した状態でお返しました。

 
しかしながら、現在も薬の服用と通院を続けており、
 
リスクはなくなっておりません。


当分の間、

「お客さまのアンプをお預かりする」必要のある

修理・オーバーホールは受付停止させていただきます。


お引受けいたしますのは
 
「新規のアンプを作成し、お客様に提供する」仕事や、
 
「在庫の中古アンプをオーバーホールしてお客様に提供する」仕事

に限らせていただきます。
 
料金後払いで、お客さまのリスクは一切ございません。
 

当ギャンプスの修理にご期待くださいますお客さまには

お引き受けできず、誠に申し訳ありません。

悪しからずご了承くださいますようにお願い申し上げます。


1999 Twin amp mod

良きギターライフをお過しください。
2001 GAMPS オリジナルアンプ The Rural
 

2017年10月20日金曜日

緊急入院と修理予約のキャンセルについて

私事で誠に恐縮ながら、

2017年10月11日から19日での間、緊急入院いたしました。

病名は心筋梗塞です。心筋への血流が滞り心臓発作を起こしました。

心臓のカテーテル手術を受け ICU で過ごした後、

再度、カテーテル手術を受けました。

現在は退院いたしております。

しかし、心臓発作の原因となった体質改善、リハビリに多くの時間を割く必要が出てきました。

それを怠りますと再発の危険性がございます。

心臓発作で入院


一方で、ギターアンプのオーバーホールは2018年9月までご予約済となっています。

体が万全で無い状態のままご予約を保ち続けると、万一再入院となった場合、たちまちお客さまにご迷惑をおかけしてしまいます。

【2018年のご予約キャンセルのお願い】

つきましては 2018年に作業する予定で承りましたご予約は一旦全てキャンセルさせていただきます。

体調が回復いたしましたら、改めてご案内差し上げます。

お客さまには個別にご案内を差し上げますが、万一ゆき違いになりましたら、ご容赦くださいませ。

勝手を申し、誠に申し訳ありません。悪しからずご了承ください。


尚、既に当ギャンプスで保管中の2017年納期のアンプにつきましては、納期遵守いたします。



2017年1月8日日曜日

A Happy New Year 2017JAN

新年あけまして、おめでとうございます。
ギャンプスの徳田でございます。

平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます。
みなさまにとって素晴らしい一年となりますように祈念いたしております。

さて、
年末・年始に多くのお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。

2017年1月現在、
ギターアンプのオーバーホールは、来年2018年の3月末までご予約済みとなってしまいました。

気軽に「来月お願い」「了解」というふうにはいかなくなってしまい誠に申し訳ありません。

驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

その理由は、
ギャンプスは品質第一で自営いたしておるところにあります。
一台あたりにじっくりと時間をかけて作業し、テストし、私自身が音質に納得し、耐久性を確認したうえでお客さまにお返ししております。
ちゃっちゃっと済ませて台数をこなせばお待たせすることも減り、利益も出るのでしょうが、そのために起業したわけではございません。

万一、起業の理念に反し、何らかの理由で、品質が低下することがあれば、それはもはや廃業の時期と考えています。私自身、いつまでも若くはございません。自分自身の作業の品質を常に客観的にモニターしております。

一人で作業しておる都合上、一台あたり約1ヶ月の期間が必要です。
そのため、一年間にお引き受けできるアンプの数が限られてしまいます。

既にオーバーホールのご予約をなさったお客さま、
長らくお待たせし誠に恐縮です。作業予定の前月になりましたら、
順次、ご案内を差し上げております。いましばらくお待ちください。

このような状況で、
1年先の2018年のご予約を受け付けるのはしのびないです。
新規にオーバーホールご希望のお客さまにおかれましては、
誠に恐縮ながら、まずは他の工房にお問い合わせください。
万一2018年でも良いので予約したいというご希望がございます場合、
恐縮ながら、本年の秋以降にお問い合わせくださいますと幸いです。

勝手を申し上げ誠に申し訳ございません。
よろしくご理解のほどをお願い申し上げます。

では良きギターライフをお過ごしください。

2016年10月27日木曜日

GAMPS guitar amplifier sound philosophy

はやいもので、2016年6月をもって、GAMPS の起業から 10年が経ちました。

創業当時、GAMPS のロゴを考え商標登録したり、経済産業省に事業の届出をしたり、警察署に古物商の届出をしたり、ホームページを立ち上げたり、オリジナルアンプの設計をはじめたりと、多忙な毎日を過ごしておりました。

起業するきっかけや動機はホームページに記載のとおり、ギタリストの立場にたち、ギター・アンプ・サウンドを追求し、ギターアンプを製作したり、ヴィナンテージ・アンプの回路と音を誠実に蘇らせることです。この10年を振り返り、あの頃抱いていた思い、精神は今も脈々と、ギターアンプ開発とオーバーホールの仕事に生かしているつもりです。

ヴィンテージ・ギターアンプを問題ない状態にするに留まらず、音をさらに良くし、いつまでも弾いていたいとおもうような状態にオーバーホールしてさしあげるには、作業時間を十分にとり、隅々まで行き届いた仕事をする必要があります。作業できるのは平均すると一ヶ月に一台のペースとなり、ご依頼の全てをすばやく処理はできず、ご予約制となり、1年待ちという状態になってしまいました。

一方でオリジナルアンプの開発とオーバーホール済みの「使えるヴィンテージ・アンプの販売」は、なおざりになっていました。
今後は力を入れていこうと考えております。
オリジナルアンプ Browny G3

販売用ヴィンテーイジアンプのストック
オリジナルアンプやヴィンテージアンプはそれなりの値段がします。

買っていただいて後悔をしてほしくありません。

その思いから、ここでは以下の疑問にお応えいたしておきます。

【ギャンプス・オリジナル・アンプはいったいどんな人に使ってほしいのでしょうか ?】

・ギターが上手い人、下手な人、関係ありません。

・プロの人、アマチュアの人、関係ありません。

・今のご自身のギター・サウンド(ギターアンプのサウンド)に不満がある人です。

・ギターアンプを変えたら今よりも個性的に弾けるんではないかと思っておられる方にも適します。

使い方はご自由です。しかし、これだけは覚えておいてください。

・ 「ギターとシールドで作るクリーン音が基本」

・ 「エフェクターを使ったとしても鳴らしっぱなしではなく、一曲中の要の部分だけ踏む」

というようなお方のお気に召すようにギャンプス・オリジナル・アンプは製作しています。

あなたのギターのピックアップから出力される倍音を極力削らず、弾きやすく、心が弾むようなクリーン・サウンドがギターとシールドだけで出せる音がギャンプスのサウンド・ポリシーです。


ディレイ、コーラス、デジタルリバーブ等の空間系エフェクターがあります。

私も過去に散々使用してきました。

高価なスイッチング・ボードを使ったり、ラックマウント式のステレオ出力タイプに2台のパワーアンプをつないだりと、プロの使うような機材も持っていました。

これらは魔法の箱です。

ギターが下手でもピッキングの荒さや押弦の雑さを覆い隠してくれます。

アルペジオのピッキングむらもエフェクト効果で覆い隠してくれます。

スタジオやライブで自分のアンプを使えないとき、エフェクターの効果で異なるアンプでも同じような音が出せ、とても重宝します。

エフェクターという魔法の箱はあなたを虜にし、依存症のように手放せない状態にします。

反面、エフェクトによる音色加工の個性が強く、誰が弾いても同系統の音に聴こえてしまうという欠点があります。

押弦したときの微妙なニュアンスはエフェクトされた音に隠されてしまうという欠点があります。

結果、魔法の箱はあなたから「あなたの音(クリーン音)」という個性を奪っていきます。

どれだけ凝ったプログラミングをしたり機材にお金をかけて音作りをしても、所詮プログラミング、誰かが同じプログラミングをして、すぐにあなただけの音ではなくなってしまいます。

凝ったエフェクトを複数かけて個性的と思われる音色で演奏すると観客にはうけます。

「すげー」って。

でもよく考えてみると、

「今ギター弾いている人がすごいの?」

「弾いてる旋律はそんなにすごくはないかも」

私の場合、答えは「エフェクトがすごいね」でした。


ギャンプスのオリジナル・ギターアンプはギターとシールドだけで十分に音楽的なクリーン・サウンドの出るアンプです。  

エフェクターを否定するのではありません。

曲の一部分、ここぞというタイミングでエフェクターを踏めば常に踏んでいるときよりもドラマチックさが加わるという考えです。

アンプとシールドケーブルだけの構成で弾くとき、ギターを持ち替えるとギターの差による音の違いが最もよくわかります。

新作ギターのデモ演奏をプロの方がなさる動画を目にします。
常にコーラスやディレーがかかりっぱなしの音源が良くあります。
その動画からはギター本来の個性的な音は判別しづらいと感じています。

ギターとシールドとアンプというシンプルな構成で弾くとき、わずかなビブラートも独特の弦のタッチもピッハキングのニュアンスも如実に表現されます。
それがあなたの個性となり、あなたの音となると考えます。

ここに述べた概念があくまで正しいなどと申しあげるつもりはありません。
このような考えに共鳴なさる方に GAMPS のオリジナル・アンプが合うのではないかと思うのです。

coming soon GAMPS Green Reverb
【ギャンプスが販売するギターアンプの特徴】
これについては、ホームページにも記載いたしました。ご参照ください

ホームページで述べたとおり、ギャンプスのオリジナルアンプは量産化するつもりはございません。
精神を集中して一台のアンプを製作し終わると、とても疲れます。精神集中して製作できるアンプの数には限りがあります。

疲れないように、考えなくて済むように、集中しなくても作業できるように流れ作業にしたとすると、どこかでサウンドの品質にほころびが出てしまいます。

量産化して収益を上げることよりも、一台ずつに精魂込め、完成したときの喜びに幸せを感じたいと思っているのです。


良きギターライフを

2016年6月16日木曜日

Master Volume の免許皆伝

昨日から今日にかけて弟子の桑元ヒカル君にアンプのマスターボリュームの種類によって異なるアンプの音の差を体感してもらっています。代表的なものは 3種類あります。

1. 普通のマスターボリューム
 Phase inverter の入力に取りつけるタイプ。Marshall や Fenderに付いているオーソドックスなもの

2. Matchless タイプ
 Phase inverter の出力に取り付ける。マスターを絞ると位相の違う 2つの信号が互いに打ち消し合って音が小さくなる仕組みを使います。低いレベルから上げていくとある部分から唐突に音圧が立ち上がるという癖があります。スイッチ付きポットを使うと、マスターボリューム無しの音に切り替えが可能。

3. PPIMV Type 2
 Phase Inverter の出力に取り付けます。2連のポットを使い、パワーアンプに行く位相の異なる2つの信号を2連のポットに振り分けて調整する仕組み。マイナスのバイアス電圧を2連ポットまで引いたり、パワーチューブのグリッドリーク抵抗に手を加えたりと改造の手間が最もかかると同時に技術力が必要となります。
マスターボリュームの中で最も自然に効くため、海外でも評価の高い方式です。
PPIMV とは Post Phase Inverter Master Volume のことです。
手間がかかる分、音質は3つの中で最も良いです。

PPIMV の出来栄えを試奏中
JCM800 2203 を使い、ひとつひとつのマスターボリュームの音の違いを確かめてもらい、その使い勝手や音の差を体感してもらうことで、個性の異なるプロのプレイアーに合った Matser Volume に変更できる実力を養ってもらいました。

タイトルどおり、免許皆伝。桑本君は、一人でどんなマスターボリュームも取り付けられるようになりました。

以後、お客さまから寄せられる「 マスターボリューム取りつけMOD」 のご依頼は桑元ヒカル君に直接ご依頼くださいますようにお願いするつもりです。

2016年6月14日火曜日

弟子来たりて Part 2. 今回はJCM800 なり

6月14日から弟子の桑元ヒカルさんが2度目の修行に来ました。

今回は彼の所有する Marshall JCM800 モデル 2203が教材です。
EL34 真空管の故障でヒューズが飛んでいたのを EL34 交換により直した状態で持ち込まれました。

修理やMOD にとりかかる前に、
二人でしばらく試奏していると、途中で電源が落ち、上がらなくなりました。
今回はヒューズは飛んでおらず、彼が自宅で直してきたのとは別の問題です。
2203 の電源回路の修理中
電源インレットから電源スイッチに向かうケーブルを前所有者が再ハンダ付けしていましたが、その部分のイモハンダが判明。電源ケーブルも内部での断線が判明。
「えっ? こんなはずじゃ」と予期しなかったトラブルが出て彼の良い経験になると共に、プログレスが予定より少し遅れたのを取り戻すべく必死に作業中です。

予期していなかった問題を解決した後、現在はアルミ電解コンデンサーのオーバーホール中。
マーシャル固有のグラウンド配線のまずさの適正化も同時に進行中。

いつものとおり礼儀正しく仕事熱心なヒカル君です。

この分でいくと、マーシャルの修理は信頼を持って彼にお墨付きをあげらます。
GAMPS へ来るマーシャルの依頼はヒカル君にお願いできる日も間近です。楽しみ。

2016年5月20日金曜日

弟子来たりて……

5月16日から4日間の日程で、桑元ヒカルさんが我が家にやってきました。

彼の仕事はプロミュージシャンのローディー( roadie )です。音楽設備・楽器のテクニシャンとしてライブやレコーディングなどの現場で音響機器の運搬・設営、楽器の調整、修理などをしています。真空管ギターアンプの回路修理もできるようになりたいと常々思っておられ、独学で色々学んでおられました。 しかし、本を読むだけではなかなか力がつかず、ぜひ私のところに来て学びたいという主旨のメールを送ってこられたのが3月の終わりでした。

こちらとしても、修理の予約のバックログを抱えているうえに、GAMPS 起業10周年企画のアンプ製作もあり、はじめのうちはどうしようかと迷っていました。しかし、ヒカル君の情熱、勉強熱心さ、礼儀正しさにキラリとヒカルものが伺え、お引き受けした次第です。

ローディーという職業は U.S. などでは広く認知されているし、人々は正しく理解しています。しかし、日本国内ではまだまだ正しく理解されてはいないようで、人に、これこれこういう仕事をしていますと説明してもいまいちな反応しか返ってこないそうです。そこは私とて全く同じです。「今何の仕事をしている」のと聞かれ、「ギターアンプの修理をしたり、製作したりしてるねん。」と応えると、「ああそう、すごいね。」の後に何も続かなかったり「ああアンプね、レコードの音をスピーカから出すやつね。」というような反応。彼と共通する境遇でもあります。

【講義の内容】は、
ギターの信号がシールドから入力された後、複数ある増幅段の経路をとおり、最終的にスピーカーから音として出力されるまでを回路図上で読み取れるようになるための知識。
何段かあるプリアンプの増幅回路の増幅ゲインを決定する電気回路の仕組み。
パワーアンプの増幅の仕組み。
それらの仕組みを理解したうえで、どの抵抗を大きくしたり小さくしたりするとゲインを上げたり下げたりできるか。過去に失敗した例や私が実験した音質を変化させる事例などをお話しました。

ねらいは、回路図を理解したうえで、自分の頭の中で抵抗値やコンデンサー値を動かすとサウンドはこういう方向に行くという正しい感覚に変換して、実物のアンプに適用できる力を養うことです。

トランスの仕組みや電源回路の構成方法、グラウンドの考え方をお話した上で、ノイズに強いアンプにするにはどうすればよいかを自分の頭の中で考えられる力をつけることもねらいとしました。

私がノウハウとして持っている抵抗やコンデンサーの種類に応じてサウンドに及ぼす効果がどのように違うのかも包み隠さずお話しました。

交流に対する抵抗であるインピーダンスについては既に十分な経験と知識がおありでした。その部分のアンプの回路配線への応用の話はとてもスムーズに済みました。

【実習の内容】は
今回はヴィンテージのツインリバーブを実習機として使いました。いくつか候補はあるものの、Fender の中ではミュージシャンが使う頻度が多いだろうということで、ツインリバーブにしました。
回路図を眺めながら実機で信号の流れを確認してもらいました。
回路図に照らして信号の流れを TwinReverb の実機で確認中

 日頃ホームページやブログで私が何度も書いている、「ポットのガリはコンデンサーの DC リークが原因であることが多い」という事実については、コンデンサーの交換前、交換後の音を聞き比べながら作業してもらいました。彼も DC リークというコンデンサー故障については半信半疑だったようで、実際にガリが激減する様を自分で確認してはじめて「なるほどー」と言っていました。さらに Normal チャンネルと Vibrato チャンネルの間でコンデンサーの値を少し変え、コンデンサーの値によるプリアンプ・サウンドの変化も体感してもらいました。
作業は全て桑元さんに自分で実施して体験してもらいました。
ヒカル君自ら交換さしたトーンスタックコンデンサー

アルミ電解コンデンサーは「年数が経つと交換すべき」との私の持論についても、交換前と交換後の音質の劇的な変化にびっくりされていました。音が際立ち、音の元気さと音の繊細さが蘇るのをご自分でコンデンサー交換なさり体験していただきました。
ヒカル君みずから交換したアルミ電解コンデンサー Filter Cap
作業の質は素晴らしく、私の手直しは全く不要でした。

驚いたのは桑元さんの勉強熱心さです。講義と実習は朝の10時にスタートし、夕方5時に終わるというスケジュールです。彼はきっちり朝10時に一分たりとも遅れることなくホテルからやってきました。こちらの書棚にあったいくつかの参考書を指差して「これを借りて帰ってもよいですか」と言われ、貸し出しすると、ホテルに持ち帰り、毎日最低一冊は読破してきました。おそらく5時以降はホテルに帰り、ひたすら読書していたのでしよう。

作業をしている最中はとても集中なさり、合間の休憩時間にはギターサウンドについてお互いの談義がつきませんでした。

英語の勉強とギターアンプの知識の補強をかねて Gerald Weber の本を一冊差し上げたところ、とても喜んでくれました。

彼にとっては充実した4日間になったと思います。しかし、知識や技能・経験を戦力として使えるものにするには時間をかけて自分の頭の中に整理し定着させる必要があるのも事実。こちらが言わずとも、既にご存知でした。帰ったら一ヶ月間自分なりに色々試してみて、疑問点や質問項目をまとめて6月に再度来たいとのことです。

もちろん私も大歓迎。彼が来ている間は自分の時間が取れないという不便はあるものの、ひたむきで知識欲旺盛で礼儀正しい若者との時間は私にとってもかけがえのない時間でした。私のところへ修理の依頼をなさるお客さまに、私が自信を持って「桑元さんのところなら安心ですからそちらへどうぞ」とご紹介できる日が将来やってくるといいなと思っています。

彼のコミュニケーション能力は研修の講師としてコミュニケーション講座をお教えする必要が全く無いレベルの状態にまで優れているということも一つの要因です。いろいろな体験をなさり、社会的・人間的な経験を積まれておられることが彼の強みです。

弟子きたりて教えられ……でした。



2016年1月10日日曜日

近況

本日、和歌山にお住まいの T さまが奥さまとお二人で我が家にお越しくださいました。所有なさっている 68年製のデラックスリバーブを孫の代になっても使えるような信頼性の高いアンプにしたいとのお考えでオーバーホールのためにアンプを運んできてくださいました。

T さまから最初にお電話を頂戴したのが昨年の7月のことです。それから 6ヶ月間お待ちいただき、ようやく本日アンプをお預かりできた次第です。本当に申し訳ないことです。
お土産のお醤油とポン酢
お土産に湯浅醤油をくださいました。和歌山は醤油の発祥の地とのこと。この湯浅醤油はうちのかみさんによると旅行のときの観光スポットにもなっている有名なところなのだそうです。お待たせしていたにも関わらず、有難いお土産まで頂戴し、小汚い我が家に足をお運びくださいり、申し訳ない気持ちで一杯になりました。

昨年作業させていただきました Twin reverb 135W をご所有の富山の Dさまも奥さまとご一緒にお越しになり、そのときに鱒すしを頂戴いたしました。お心遣いくださり、全てのお客さまに感謝の気持ちで一杯です。

T さまから本日お預かりしたアンプ、いつもどおりながら精魂込めて作業させていただきます。素敵な色合いとしっかりとした仕上がりのアンプカバーがついています。カバーはなんとお母様の手作りだそうです。過去に一緒にバンド演奏していたベーシストは奥さま手作りのアンプカバーを持っていました。いいですね手作りカバー。誰か私用のアンプカバー作ってくれないかなー。
68 deluxe reverb
オーバーホール作業の詳細は当ブログにアップしていきます。