トランスは PT 、OT 共に MercuryMagnetcis
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Side, GAMPS Single Jingle |
真空管は6L6GC x 1本( 5881 も使用可能 ) と 12AX7 x1本を使用したシングル・アンプです。
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Control Panel, GAMPS Single Jingle |
Volume pot は PEC 製、トーンポットは CTS 製、ジャックは switchcraft
【アンプのスペック】
パワーアンプ回路方式 : Class A Single ended.
バイアス方式: Cathode Bias ( Self Bias =バイアス自動調整 )
パワーチューブ: 6L6GC x 1 (推奨メーカー JJ, Tungsol reissue, ElectroHarmonics )
( 5881 も使用可能 )
プリアンプチューブ : 12AX7 x 1 ( 推奨メーカー JJ, Tungsol reissue, ElectroHarmonics, Mullard)
コントロール
Volume x1 ( PEC 製 1MΩ)
Tone x1(CTS 製 1MΩ)
Input Jack x1 ( Switch Craft )
電源スイッチ x1 (パイロットランプ内臓、両切り)
スタンバイスイッチx1 ( 両切り )
トランス
PT トランス : Mercury Magnetcis製 FTCP59/100 AC100V対応
OT トランス : Mercury Magnetics製 FTW-CHMP-OS ( 8Ω Over Sized )
キャビネット
Made in U.S.A 5F1 クローン、ソリッドパイン材
スピーカー
スピーカー: Eminence Alnico 10"
スピーカーケーブル: AIW 製 WE 復刻版
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回路と真空管 |
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OT : FTW-CHMP-OS, PT :FTCP59/100 |
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Control Parts |
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Eminence Speaker & AIW Speaker Cable |
【開発コンセプト】
今回の開発コンセプトは「新しいギターを買いたいと思うとき、ギターショップに持ち運びができて、ギターの試奏に使えるアンプ」です。
ギターは決して安い買い物ではありません。高額なお金を払うのですから、じっくり試奏し納得して買うものだと思っています。
ところが、
① お店によって置いてあるアンプの種類が異なることで、試奏時のギターの出音の印象が大きく異なってしまいます。欲しい候補となるギターが A 店と B店にあるとき。A 店のアンプは Marshall の Head に 1960Aキャビネット。かたや B店では Fenderの Blues Jr.という場合。
最低でも、同じメーカーのアンプで試奏したい、最低でもコンボタイプの同程度の真空管アンプで試奏したいといつも思っています。
②試奏に使えるアンプではギターの特性や微妙なニュアンスを出し切れないときがある。
Marshall で試奏させてもらえる場合、Handwired シリーズや 1987X を使わせてくれるところはほとんどなく、JVM のようにつまみがたくさん付いているハイゲイン・アンプであることが多い。クリーン音は汚く、硬く、細く、ドライブチャンネルにしてようやく聞ける状態。でもギターの良し悪しはドライブチャンネルの音ではわかりずらいのです。
Fender が置いてあるとはいっても、Reissueのツインリバーブやデラリバ、Hot Rod や Super Sonic などのアンプが多い。同じプリント基板を使っているアンプの中で最もクリーン音の美しい、ブラウンフェースリイシューの Vibroverbならいいのに、廃番となっており、もうどこにもおいてません。
てなわけで、持ち運び可能なクリーン音が美しいハンドワイアード・アンプの開発を思い立ちました。
A) 軽くて持ち運びしやすいこと。第一の目標
手で持って駅へ行き、新快速に乗り大阪へ、梅田で地下鉄に乗り換えて心斎橋で下車、途中休憩無しで徒歩でアメリカ村まで運んでもくたびれない重量を目安としました。大阪からの帰り、京都駅で降り、そこから地下鉄に乗り、竹田で下車し、徒歩で EVG へという行程を追加しても疲れにくいことも必要です。
B) ヘッドルームが広く、歪みはじめるのは遅め、でもボリュームを12時よりも右に上げれば軽くクランチもする。試奏するギターの特性が素直に聴こえること。第二の目標
持ち運びの観点から、本体の大きさと重さは、ツイードチャンプしかありません。これ以上大きいと A) の行程で歩くのは至難の業です。ところが、ツイードチャンプそのもののデッドコピーですと、少しボリュームを上げただけですぐに歪みはじめます。内部のパワーアンプの電圧が低いことと、プリアンプの動作点を決める回路定数の設定による特性です。ギターの特性を聞き分けるには、アンプの歪みは遅いのが有効。かといって、ブラックフェースのチャンプのコピーでは中域・低域の音圧が足りません。なんとなくパワーチューブ一本しか使わないシングルアンプの限界がこの辺にあるのかなーとあきらめている人も多いかもしれません。かといってパワーチューブ 2本のプッシュプルにするとトランスの重さが一気に上がり、持ち運びに悪影響を与えてしまいます。
A) と B) は相反するところがあります。
そこが今回の開発のポイントです。パワーチューブは一本のシングルエンデド ( Sengle Ended )にこだわり、持ち運びやすさを追求します。それに加えてチャンプの音質の欠点を克服し、歪みはじめが遅く、ギターのピッキングには早く追従し、高域から中域・低域まで十分な音圧を持ったアンプを作ろう、というのが今回のテーマです。
スピーカーは 8インチよりも大きい口径にする。
パワーチューブは 6V6GT ではなく 6L6GC 系にする。(今回は 5881 を使用 )
パワーチューブにかかるプレート電圧を高くする。
ということが主な改良ポイントです。
【1】5F1 キャビネットに 10インチ・スピーカーを装着
ツイード・チャンプ 5F1 には 8インチサイズのスピーカーが定番です。様々なメーカーの 8インチを購入し試してみたものの、口径の小ささから、中・低域が物足りません。
今回のプロジェクトの前に 12インチスピーカーのチャンプを製作しています。GAMPS Triumph Uno といいます。キャビネットは Blues Jr. のものを流用して作りました。ねらいどおり口径の大きなスピーカーとシングルアンプとの相性はとても良かった。その経験から、スピーカーの径は 8インチよりも大きいのが今回の目的にかないます。しかし、この 5F1 キャビネットに 12インチスピーカーはどう逆立ちしても収まりません。
今回は持ち運びが第一目標です。Blues Jr. キャビネットではなく、コンパクトな 5F1 のキャビにしたい。そこで思いついたのが 5F1 のキャビネットに 10インチスヒーカーを取り付けることです。
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バッフルボードの取り外し |
新品の5F1 キャビネットのバッフルボードを取り外します。
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バッフルボード |
グリルクロスを留めているステープルを外し、バッフルボードからグリルクロスを外します。
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バッフルボードからグリルクロスをはがしたところ |
スピーカー固定用のビスを打ち直して 10インチが見事に収まりました。スピーカーは Eminence のアルニコ 10インチです。少し下につけることで、シャーシーとスピーカーのリムとの干渉を避けています。
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Eminence Alnico 10" |
【2】アルミシャーシーの加工
鉄製のシャーシーであれば、加工することなく、トランスの穴あき済みのものが市販で手にはいります。しかし、鉄製のシャーシーは重い。今回のテーマである持ち運びしやすくするためにはアルミ製のシャーシーが最も軽く最適です。市販の穴あき済みシャーシーの場合、既存の穴に合わせて部品配置せざるをえず、部品のレイウトの自由度は全くなくなります。アルミの無垢のシャーシーですと、ノイズの少ない、発振の起こりにくい部品レイアウトを作ることが可能になるというメリットもあります。
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シャーシーの仮止め |
穴開け加工をする前にキャビネットに仮止めし、スイッチやコントロールノプの位置を、ノイズや発振が少ない最適な場所に決定します。
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シャーシーの仮止め裏側 |
このシャーシーは市販のシャーシーの中から5F1 のトランスと回路を収めるのに最適なサイズを探し出しました。ひところ前にはこういう直方体の細長いサイズのシャーシーはなかなか見つかりませんでした。オーディオ・アンプ用の平べったいものしかなかった気がします。
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無垢のシャーシー |
ドリル、シャーシー・パンチ、リーマー、ハンドニプラーを使い手作業で穴あけをします。
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穴あけ加工の済んだシャーシー |
シャーシーに開けた穴に部品を搭載していきます。下の写真。きちんと取り付くかどうか。部品間の距離がきちんと保たれていて、電磁誘導の影響を受けにくい位置にいるかどうか、を実物の部品を搭載して検証します。
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部品を搭載したシャーシー |
トランスは Mercury を使用。PT は元々余裕があり、 6L6をパワーチューブにしても全く問題なし。OTはオーバーサイズド( OS : Over Sized ) を使用。
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MercuryMagnetics の OT と PT |
【3】回路の部品のレイアウト設計とボードの製作
回路図とシャーシーの部品レイアウトをにらめっこしながら、最適な抵抗・コンデンサーの位置関係を考えて部品レイアウト図を作ります。
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部品レイアウト図面の作製 |
上で作製したレイアウト図面に基づいてボードにドリルをし、部品をハンダ付けするハトメ( eyelet ) を打ち込んで作ります。
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回路ボードの作製 |
【4】回路ボードへの部品取り付け
出来上がった回路ボードに抵抗とコンデンサー部品を取り付け、配線材と共にハンダ付けします。
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回路ボードへの部品の取り付け |
【5】 Final Assembly 最終組み立て
上で出来上がった回路ボードをシャーシーに取り付けます。
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回路ボードのシャーシーへの取り付け |
トランスの配線をし、スイッチ、ポット、ジャックを上面パネルに取り付けます。
下面パネルには電源インレット、ヒューズボックス、ボックス型アルミ電解コンデンサー、パワーチューブソケット、プリチューブソケット、スピーカージャックを取り付け、配線します。
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シャーシーへの部品取り付け |
スピーカー・ジャックの隣に付けたスイッチはテスト用で製品版にはありません。
さて、出来上がったアンプを試奏してみると、
Volume と Tone のノブを10時方向(目盛りがあれば3ぐらい)にした状態で、フルアコースティックをつなぐと、箱鳴りとおんなじ音が拡声されて出てきます。ギター側のボリュームは7ぐらいとまだ余裕があります。
Volume と Tone ノブを12時方向(目盛り5ぐらい)にした状態で、ツイード・チャンプよりもはるかに音圧があるにもかかわらず、歪みはまだ出ていません。フルアコの箱鳴りにゲインが加わり、音が太くなります。
Volume を12時を過ぎ1時(目盛り6から7) ぐらいにしたころからP-90 ピックアップのギターでは、パワーチューブのクランチが出始めます。クランチの出方はお使いになるギターのピックアップにもより異なります。ハンバッカーはもう少し早め、ストラトのシングルコイルはさらに遅めです。
かなり音圧が高く、中・低域も分厚くなります。ギターボリュームを上げるとフルアコではハウリングします。
フルアコのギターを買いにいくときは Volume 10時方向(目盛り3) で十分に試奏が楽しめそうです。これ以上 Volume を上げるとお店の迷惑にもなるでしょう。
Youtube に音をアップできましたら、またご報告します。
では良きギターライフを
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GAMPS Single Jingle |
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