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2022年10月2日日曜日

Crate VC508 single ended guitar amp

 Crate VC 508

動画 MOD 後のサウンド

プリント基板を使い、プリアンプ一部が IC回路のアンプは
常にディストーションつなぎっぱなしのような音でした。

これをハンドワイアードのオールチューブ回路にMOD したら、
どんな音になったのでしょう ? 

動画を作製してみました。ご覧ください。



本文

さあてと、次の仕事にとりかかろうと思った矢先、「私自身がギターを練習するための、アンプが一台も無い !!!」ということに気づきました。

2021年 6月20日に Fender Super Champ をブログ掲載しました。
アンプのプリアンプ感度設定が良く、オーバードライブ機能を使わずともストラトやテレキャス等のシングルコイルギターでも簡単にクランチ・サウンドが出せ、いつまでも弾いていたくなり、練習用アンプとしては最適でした。しばらくは手元にいてくれることを願いながら丹念に1か月半の月日を費やして製作しました。ところが願いもむなしく、早々に売れてしまい、手元にはありません。中古在庫も無し。

Fender vibro champ を mod しPrinceton の回路に改造した Champrinも手元に残っていません。(中古在庫にあと一台 Vibro Champは有ります。将来製作予定)

Browny G3 も SingleJingle も自分の練習にも使える設計をしたはずなのに手元にはもうありません。(新品キャビネットの在庫無し、トランス在庫も無し)

新しいオリジナルアンプ2510の製作に専念するにあたり、作業のかたわら、休憩時間にギター演奏してリフレッシュすることが私の精神衛生上大切です。そのための練習用アンプが必要です。

在庫しているヴィンテージアンプ置き場をしばらく眺めることに。数台の Fender シルバーフェースに混じってひっそりと隠れている小さなアンプを見っけ。これこれ。こいつならキャビネットが小さく、仕事場で場所をとらない。自分が練習に使うという目的に合いそうです。ただし元々のサウンドは貧弱。大幅なレストアとMOD が必要です。

front view of Crate VC508 amplifier

90年代後半に買った Crate VC508 
オールチューブのシングルアンプという宣伝文句と値段の安さが売りのアンプだったと記憶しています。
何故かエフェクターの歪みサウンドが支配的な音でした。ゲインを最小にしても歪んでおり、オールチューブというにはあまりにお粗末なクリーン音です。チープ( Cheap 安っぽい)としか表現しようのない音質に購入後3日ほどで飽き、20年以上埃をかぶって寝ていたアンプです。

Crate VC508 Schematic diagram, marked up
回路図を見ると、
ギター信号入力直後にオペアンプICで構成される回路、いわゆるエフェクターのオーバードライブ回路(回路図の赤い囲い) があり、ここで歪み音を作りゲインのつまみを経てから、 12AX7(回路図の緑の囲い) に信号が送られ、トーンコントロールとボリュームの後にEL84 パワーアンプヘ行き、OT を介してスピーカー出力している。
つまりアンプの中にオーバードライブ・エフェクター( オペアンプ )を内臓しているアンプということがわかります。
注: オペアンプとはトランジスターを使った増幅素子が2個内臓された IC のこと
input jack, gain, tone, volume
コントロールパネルは左から
Input, Gain, Tone, Volume, Line out, Pilot lamp, Power Switch

Back panel removed to expose internal circuit
バックパネル を外すと、当然のごとく PCB プリントサーキット基板が使われています。よく観察してみると
・基板へのシャーシー取り付け
・基板直付けの真空管ソケットのハンダ付け
・配線の太さ
・使われている抵抗とコンデンサーの品質
は、アンプの新品価格の安さにしては意外としっかりとしています。少なくとも もっと価格の高いMesaBoogie よりは信頼性が高そうでFender のリイシューシリーズや Twin Amp よりは少しだけ劣るかもという感じの基板が付いています。少し驚きました。

しかし、プリントサーキット(PCB) の音の特性から逃れることはできず、ハンドワイアード回路の音の繊細さや音の太さとダイナミックさは出せるわけもありません。低価格なアンプゆえ当然といえば当然です。

このプリント基板のままオーバーホールして使うことは選択肢としてはあり得ません。
ハンドワイアード化が必要です。
オールチューブの持つ美しいクリーンが出てくれないと楽しく練習できません。
エフェクターの歪みは、早いパッセージが楽に弾け、かっこいい感じはするけど誰が弾いても同じ音がしてしまうところが嫌なのです。

単純にハンドワイアードにするだけではなく、新しく回路設計をやり直し、新たなレイアウト設計も同時に行い配線をする必要があります。
close up of the inner parts

セレッションの 8 インチスピーカーはこのまま流用します。完成後に試奏してあまりにもお粗末な音であれば手持ちのストックと交換します。
8 inch Celestion Speaker is mounted

キャビネットに付いているハンドルは柔らかく、持つとグニュッとスポンジーな感触がします。細かい部分ながら、この違和感がとても嫌いです。普通のハンドルは中に金属の板を入れ、剛性と耐久性を高めているものです。このハンドルは中に金属板が入っておらず、ゴムだけなのでグニャグニャです。もっと剛性感のあるしっかりと持てるハンドル(在庫)と交換しておきます。
Replaced with more stable one


シャーシーの外観、搭載パーツは左から 
PT ( 電源トランス ) , EL84 power Tube, 
12AX7 pre tube, OT ( 出力トランス )

トランスはこのまま流用します。
どうしても音にならないときにだけ交換します。

プリ・アンプのゲインを上げるため12AX7 を一本追加する必要があり、それに伴い、真空管レイアウトも変更します。
From left to right,  PT, EL84, 12AX7, OT

1. シャーシーから基板を外して
removing Printed Circuit Board

2. 新しく回路設計をします
元の回路とは全く異なる新規の回路図を製作します。
(トランスは流用)
designing new all tube circuit for VC508

3. 回路図を元にレイアウト設計
新規に作図した回路図を元に、適正な部品配置の検討を何度も重ねレイアウト設計を実施
designing parts layout based on the new circuit diagram

4. 回路部品を載せるボードを製作
レイアウト設計に基づきボードを製作し、
a) アイレット用の穴あけ
b) アイレットの打ち込み
c) グラウンド母線の製作と取り付け
d) 真空管ソケットの取り付け
を行いました。

VC508 のキャビネットは限界ギリギリまで小さく、余裕がありません。シャーシー上の真空管を取り付ける空間も限られています。シャーシー上の好きなところに真空管を取り付けることはできません。元の真空管取り付け場所を踏襲し、回路ボードに真空管ソケットを取り付けています。
eyelet hole, ground bass and tube socket has been installed

5. 回路ボードにパワーアンプ周りの部品搭載
installing cathode bias and drivers energy cap

6. パワーアンプ・ドライバー回路の部品搭載
installing power amp driver elements

7. プリアンプ回路の部品搭載とハンドワイアード
installing pre amp elements

8. 回路ボードをシャーシーにマウントし、各種ポットとハンドワイアードする
Hand wired circuit board has been mounted on chassis and hand wired to several pots

9. 電源回路ボードのシャーシーマウントとハンドワイアード
写真の上部、大きめのアルミ電解コンデンサーが載ったボードが電源回路ボード
Rectifier Board has been monted

作業前と後の比較

真空管のレイアウト変更
コントロール・ノブの変更
amp chassis before and after the rework

これで完成です。
写真は取り外した基板と完成したアンプの内部回路
new circuit board and removed P.C.B

新しくなったアンプのコントロールパネル
左から
Input , Gain, Tone, Middle, Master
from left to right, input, gain, tone, middle and master

Gain :プリアンプ初段のボリューム
Tone :2連ポットでTrebleとBassを連動させています。
センター(12時の位置)で Treble =5, Bass =5の状態、
そこから右に回すと Treble 増、Bass 減、
左に回すと Treble 減、Bass 増。
Middle だけ独立させ、操作性を向上。
Master は 10 の位置でマスター無しと同じ音圧。

使いやすいアンプに仕上がりました。

2022年1月23日日曜日

Original Guitar Amplifier Model-2510 Part 2.

 オリジナル・アンプ Model 2510 Part-2 回路設計・製作


GAMPS 2510-OD all tube hand wired guitar amplifier
#GAMPS #ギャンプス #ギターアンプ

2. 回路設計・製作

Part 1でキャビネットを製作しました。
こちらはアンプの回路部分の設計と製作をします。
front view of 2510 OD
2510 OD のフロントビュー

アンプの構想

どんなアンプにするのか、半年かけて構想を練りました。
構想と書くとカッコイイですね。しかし実態は「どんなアンプ作ろうかっなー、こんなんにしたら楽しいかな ?  こんなアンプにしたらユニークかな?  色はこんな色にしよかなー ? キャビネットの形はツイードのそれかな? スピーカーは何インチにしようかな? 」なんてーことをね、飽きもせずに考えてただけです。 

<例えば過去のアンプの構想> 
Single Jingle (シングルジングル) の場合、楽器屋さんに持ち運んで買いたいギターの試奏に使う。ライブハウスでも使える音圧も持ち合わせている。すぐに歪み始めるチャンプではなく、クリーン音の大きいアンプなのに、シングル・アンプ( パワー真空管 1本だけでパワーアンプを構成する)にして軽量化する。機能は超シンプルに Volume と Tone の2つにするというコンセプトでした。これ結構うけたみたいで、いまでも欲しいという人はおられます。気まぐれでゴメンなさい、また作るかも、作らないかも。

Browny G3( ブラウニー G3 ) は Fender のブラウン・フェース・デラックスの回路を基に、暖かい音質を継承しつつ、ヘッドルームをかせぐ工夫をし、ブラウンフェース特有の温かみのあるサウンドを持ちつつジャズにも使えるアンプにすること、というコンセプトでした。ブラックフェースのデラリバはよくあるけれどブラウンフェース・デラックスはなかなか世に(日本に)出回っていないというのも作ろうと思った理由のひとつです。もっと作っても良いモデルかもしれません。でも、新しいアンプ作りのほうに時間を使いたいと思い、今はお休み。

上の2機種は共にキャビネット専門家に作ってもらったグリーンのトーレックス貼りのキャビネットを使っていました。

今回は、
キャビネットは自作です。
加えて、機能に少し工夫をこらしたいと考えました。
自分なりに盛り込む機能を考えました。しかし、どんな機能が必要とされているのか他の人の意見をもらうことも大切だと思いました。
私は自分の考えをどんどん推し進めていくところがあり、カミさんに良く注意されます。「それはあなたの意見であって、他人はそんな風に考えて行動したり感じたりしないかも」と……一方で、単純に「どんなアンプが欲しいですか」とオープンに人に尋ねたとします。聞かれた側はどんどん夢を膨らませ、とてもじゃないけど私が実現不可能な要望も出てきてしまいます。
現実的な要望を上手に教えてもらう方法はないだろうかと考えました。
その結果、私が良かれと思う機能を持たせた実物のアンプを試作し、それを触り使いながら意見を出してもらうと良いのではないかというアイデアを思いつきました。

プロト・タイプのアンプをこの目的のために新規に製作する必要があり、早速製作しました。演奏現場でしばらく使用してもらい、その後にご意見とフィードバックを得ることにしました。プロトタイプ製作をし、実際に使ってもらい、フィードバックをもらうまでに、構想をスタートしてから一年かかりました。

実際にご意見やフィードバックを得てみると、自分が使えると思っていた機能が不要であったり、自分が不要だと思っていた機能が必要であったりし、目から鱗でした。プロトタイプを作って大正解でした。

今回のプロトタイプの評価はプロミュージシャンの田井さんに多大なご協力をいただきました。


Front view of 2510 Proto type
2510 プロトタイプ

rear view with back panel removed
2510 プロトタイプの回路

ちなみにプロトタイプのアンプはこんな音でした。
田井さんの動画を貼りました。


プロトタイプで得たフィードバックと私が作りたいと思うアンプのイメージをマッチさせ、今回のアンプのコンセプトが決まりました。

GAMPS Model 2510-OD のコンセプト

1. トーンコントロールはトレブル、バスだけでなくミドルも付ける
2. リバーブ機能は付けない
3. OD 回路を付ける ( 70's Dumble ODの回路を参考)
4. ノーマルとOD との切り替えはフットスイッチにする
5. ノーマルとODの切り替えノイズが出ないようにする
6. マスター・ボリュームをつける
   ( プリアンプのゲイン高くしても音量を抑えることができる)
7. オールチューブの持つ暖かいサウンドは今までどおり大切に
8. ブルースやロックにも使えるしジャズにも使えること
9. ワット数は25W近辺。音の抜けが良くライブで使えること
10. 手で持ち運べる重さをキープする(疲れない重さ)

以上のコンセプトを基に、数ヶ月かけ、回路図を設計しました。

回路設計

回路図を描いていきます。
抵抗はギザギザ、コンデンサーは二本の線で抽象的に表した絵です。

概念としては、入力されたギターの電気信号を複数回増幅する間にどのような増幅の色付けをして最後にスピーカー出力するのかを表したものです。
パワーアンプの増幅段はひとつで、プリアンプの増幅段は複数あるのが普通です。プリアンプの増幅段が多いほど倍音は多く付加されます。多すぎると原音から離れていきますし、少なすぎると無機質な音になります。各増幅段に使う抵抗やコンデンサーの値も含めて、良いころ合い加減に落とし込む匙加減(さじかげん)を考えることが楽しい作業です。

もっと細かい匙加減の話をします。
カーボン・コンポジット抵抗は 10% のバラツキがあります。仮に100KΩの抵抗を100本ほど購入すると90KΩから110KΩの間でバラツイテいます。回路図で100KΩと書いておくものの、製作時には 110KΩ 寄りの少し高い値を使ってゲインを上げ気味にしたり、90KΩ寄りの低い値を使ってゲインを抑えてくっきりとした音質寄りにしたりと微妙に調整することも可能です。製作時点、回路ボードに抵抗をハンダ付する時点で抵抗値を実測し、その値を回路図に書き足しておきます。こうすることで2台目以降を作る際の音の再現性を確保します。

ちょっと待って、少しエエカッコしてしまいました。この匙加減は万人がちょこっと聴くだけでわかるほど大きなサウンドの差がつくものではありません。微妙なものです。私自身の自己満足が大きいです。

匙加減を考えながら回路図を描いているのは、この時間が私にとって最も楽しい時間だから。妄想に胸躍らせる対象がアンプの抵抗値とコンデンサーの材質と配線材の被膜や芯線の材質や構造なんです。若い頃はもっと異なるものが妄想対象でした。
自己満足ですね。ゴメンナサイ。

参考:
1960年代から1980年代ごろまでの Fender のアンプには印刷された回路図が添付されていました。「ユーザーがメンテナンスするときに参照できるよう」にという DIY の考えの進んだ古き良きアメリカ企業としての責任感とユーザーへの配慮ですね。
Circuit diagram is written using PC
PC を使い回路図面製作

レイアウト設計

回路図を描き終わったら今度は実際に回路部品をどういう風にボード上に並べて配線するのかを示すレイアウト図面を描きます。

レイアウト設計についての詳しい解説は レイアウト設計の記事 を参照してください。

簡単に言うと部品と部品との位置関係、距離、並べる方向によって、変なノイズが出たり、発振して汚い音になったりしてしまうという事実があります。電気的に結合( 電磁誘導etc )することで起こります。そうならないように部品の配置を考えて設計することです。

ギターアンプのレイアウトはキャビネット内のスピーカーとトランス、回路、との位置関係や、複数あるトランスとトランスの向きや距離の関係、そして抵抗・コンデンサー・配線・ポット・真空管ソケット相互の位置関係の全てに当てはまります。

Picture of 2510 layout schematics
回路図(左) を レイアウト図に落とし込む

この回路レイアウト図、つまり抵抗・コンデンサー・ポットの位置関係と配線の繋がりを描いたレイアウト図も Fender アンプは公開しています。ブラックフェース期、シルバーフェース期のアンプを買うとアンプ中に回路図と一緒にレイアウト図も添付されていました。
下の添付参照
Fender Bandmaster のレイアウト図

ギャンプス 2510のレイアウト図としてはFender と同じような図面も書きました。しかし、それとは別に、大きめの画用紙を使い、主にトランス、真空管ソケット、スイッチやポット類の正確な位置関係を実寸で描いています。この実寸レイアウト図をシャーシーに転写し、正確な位置にシャーシーの穴あけをするのに使用します。

この実寸レイアウト図面を作っていなかったときは、
回路ボード取り付けのネジ穴をあけようとしたら、裏側のトランスが邪魔で穴があけられなかったり、ポットを最後にとりつけようとしたら、ポットの厚みを計算していなくて回路ボードの部品にあたってポットが付けられなかったりという基本的なミスを経験しました。

回路図に比べレイアウト図を書く作業はそんなに楽しくありません。
妄想する部分は一切なく、位置関係を正確に表すことが求められるから。
Pot layout and transformer layout on the chassis
2510 layout 

シャーシーに穴あけしてしまう前にレイアウト図を使って問題がないかの検証を入念に行います。
スイッチ、ポット、ソケット部品等は実物を使い、トランスは切り抜き型を使い、レイアウト図面上に並べ、不要な重なりがないか、干渉しあわないか、を物理的観点と電磁的結合の観点の両面から検証し(ああでもないこうでもないと空想すること)、必要であればレイアウト図を書き直しつつレイアウト図を完成させていきます。
過去に何回もの失敗があり現在に至っています。

物理的観点の例: アンプ部をキャビネットにネジ留めしようとすると出力トランスがスピーカーのマグネットにあたって取り付けられない経験もありました。

電磁結合の例: テストで音出しをすると低音弦で変なビビリ音が出ました。色々な原因を探り約一週間悩みました。結果、スピーカーの端子と電源トランス間の距離が近すぎて、電磁結合していました。距離を離して解決しました。
実際の部品やトランス切り抜き型を使いレイアウト図の検証をしている
レイアウト図の検証

回路ボードの製作

回路ボード用のレイアウト図をフェノール樹脂の板に直接貼り付けます。部品のハンダ付けのためのアイレットを打ち込む場所をドリルで穴あけします。穴あけが済んだらレイアウトを切り離し、アイレットを穴に打ち込みます。こうして回路ボードを製作していきます。
Drilling circuit board for eyelet holes
回路ボードのドリル穴開け

2510 OD はノーマルとブーストの切り替えにフットスイッチで作動するリレーを使います。リレー用のソケットを組み込んだ回路ボードを今回は製作しました。
small circuit board
5V リレー用のボード

シャーシーの穴あけ

シャーシーは厚さ 1.5mm のアルミニュウム製を使います。
鉄製のシャーシーにすると剛性が高くしっかりとする長所の反面、
重量がかさみます。
アルミにすると軽くできると共にシールド性能は鉄よりも優れます。
また鉄よりも加工しやすく、穴あけも楽にできます。
欠点としては鉄よりも華奢で変形しやすく、
搭載できるトランスの重さに限度があることです。

金属は一旦穴をあけてしまうと補正がききません。
慎重に作成したレイアウト図面はこのためにも必要です。
シャーシーに穴あけ中
シャーシーへの穴あけの様子

トランス、ソケット、ポット、スイッチのシャーシーへの取り付け

軽い部品から取り付けていき、重量のあるトランスは最後に取り付けます。始めにトランスを取り付けてしまうとシャーシーの取り回しがつらくなります。
トランス、ボックスコンデンサー、真空管ソケットを取り付けたところ
シャーシーへの部品取り付け

回路ボードへの部品のハンダ付

回路ボードの穴にアイレット( eylet ) 金具を打ち付けます。アイレット(eyelet) はブラス金属(真鍮)で出来ている穴のあいたリベットで、ハンダの乗りを良くするメッキがされています。アイレット(eyelet) に抵抗やコンデンサーの端子と配線材の端を入れてハンダ付けすることで回路の配線をしていきます。
Resistors, capacitors and wires are soldered on the eyelets of the board
回路ボード上に部品を載せてアイレット部分でハンダ付

ギャンプスのオリジナル・アンプの全てのモデルの回路ボードには、厚さ1mm幅10mmの銅の平棒をグラウンド・バスとして搭載しています。
ギターアンプのハムノイズの大きさは回路のグラウンド配線の良し悪しで決まります。厚く幅の広い銅の平棒を使うのは安定したグラウンド配線のための自分なりの工夫です。

部品のハンダ付けを済ませた回路ボードをシャーシーに取り付けます。
シャーシーに回路ボードを載せたところ
回路ボードをシャーシーに取り付け

回路ボードとポット、真空管ソケットとの接続

回路ボードとポットとの間、回路ボードと真空管ソケットの間を配線材で接続していきます。

配線材の被膜の材質の違い、芯線の太さ、単芯か撚り線かの芯線のタイプ、芯線のメッキのタイプ、によってさまざまな配線材が存在します。またオーディオ屋さんたちの間ではしきりに Western Electric ( WE ) のヴィンテージワイアーの音が良いという話がされています。自分の中ではこれをここに使うという内々の決まり、規則みたいなものがあることはあります。
しかし、昨日まで「この部分の配線材はこれに限る。この配線の音が一番」と思っていても、たまたま異なる配線材を試すチャンスがあり、その配線材が一番になってしまうということがよく起こります。そういう意味では「日々研究中で結論は出ていません」というのがここでは正しい。配線材にも自己満足の世界が広がっています。
ポットと回路ボードとの接続
ポットと回路ボードの接続作業

配線の完成したシャーシー
配線完了したシャーシー

フットスイッチの製作

ノーマル回路とブースト(OD) 回路のスイッチング用のフットスイツチを作製します。アルミダイキャストにあなを開け、フットスイッチを取り付け配線材を取り付けます。このフットスイッチに使う配線材は細いけど切れにくいものを使います。
フットスイッチの組み立て
フットスイッチの部品

フットスイッチの配線完了
フットスイッチの配線

スピーカーのキャビネットへ搭載とスピーカーケーブルの取り付け

2510 は 10インチスピーカーをメインに据え、Jensen JCH10/70 を搭載します。
写真の 2インチと 4インチの小型スピーカーは Eminence 製で、アッテネート時に鳴らします。
写真に写っている小さいアルミ箱にはトグルスイッチが付いています。このスイッチを右に倒しておくと通常モードで右の10インチが鳴ります。自宅で練習するときに、うるさいと言われたくないようなときはスイッチを左に倒します。小型スピーカー・モードになり、これで練習します。スピーカーの口径を小さくするとうるささは半減します。しかもサウンドはクリアでアッテネーターだけを使ったときのような音の濁りはなく、アンプのボリュームを絞っても満足な明良感が残ります。
キャビネットにスピーカーを取り付け
スピーカー、スピーカーケーブル、トグルスイッチ

バイアス調整と微調整

アンプの回路に真空管を入れてバイアス調整しています。
真空管を入れてバイアス調整
真空管を入れてバイアス調整
シャーシーをキャビネットに取り付け、テスト試奏を繰り返し、詳細に微調整( 抵抗の値の増減やトリムポット調整等) をして完成です。

GAMPS 2510-OD のスペック(仕様)

GAMPS 2510-OD の仕様は以下のようになっています
1) All tube hand wired circuit ハンドワイアード真空管アンプ
2) 真空管タイプと回路形式(タイプ)
 パワーアンプ: 6V6GT x2  ( 固定バイアス、プッシュプル )
 フェーズインバーター: 12AX7  ( Cathodyne 方式 )          
   OD ブースター : 12AU7  (70 Dumble OD タイプ )         
 プリアンプ : 12AX7 ( Fender タイプ )     
3) ダイオード整流
4) スピーカー 
 10インチ x1  Jensen JCH 10 /70  メイン・スピーカー
    4インチ x1 Eminence アッテネート時に使用
    2インチ x1 Eminence アッテネート時に使用
2510-OD のバックパネルを外してた写真
2510-OD の回路、真空管、スピーカー


プリアンプの増幅回路について

プリアンプ回路は Fender のプリアンプ回路形式と似ています。
回路部分
2510-OD 回路
Middle ポットがあるため、BF Twin Reverb やポールリベラの設計した Concert II などのプリアンプ回路に似ています。デッドコピーではなく、少しずつ値や接続が独自です。ポットの値は Marshall 寄りで少し大きい値、増幅回路は Fender の回路寄り。

フェーズインバーター Phase Inverter 回路

フェーズインバーター回路は大きく2つの方式があります。
Long tail Pair という方式と Cathodyne という方式

デラックスリバーブ、ヴァイブロラックスリバーブ、ツインリバーブ等
は Long Tail Pair という方式で増幅素子2個を使います。
上の波形と下の波形で別々の独立した増幅素子でフェーズインバートします。この回路を通すと信号のゲインは約4割増加されます。

それに対し、プリンストンリバーブや 57 ツイン等は Cathodyne 方式。一つの増幅素子のプレート部分で上の波形、カソード部分で下の波形を作りフェーズインバートします。この回路を通しても信号のゲインはほとんど増えません。

ギャンプスの Browny G3 と Green Reverb は Long Tail Pair です。
今回 2510-ODは Cathodyne 方式を採用しました。
OD 回路でブーストしたときのトータルゲインが上がりすぎないようするため、ゲイン増加のほとんど無い Cathodyne にしています。

使用する真空管の銘柄

真空管は現在生産されている現行管です。
Electro-Harmonix 6V6GT = パワーアンプ
JJ ECC83MG = フェーズインバーター
Electro-Harmonix ECC82 = OD ブースト
Tung-sol 12AX7 = プリアンプ

私が思う適材適所です。これをお勧めするわけではありません。
私の自己満足と思ってください。
最低限度の品質は必要です。新品なのに真空管の足が金属のつるつる感が無くてガサガサ、ザラザラしているようなものを作るメーカーはお勧めしませんし、使いません。
RCA でも無いのに RCA のオレンジ色とはほど遠い真っ赤な刻印を使ってRCA と書いてあるものも使いませんし、使わないことをお勧めします。
2510-OD に使用する真空管の箱
2510-OD に使用する真空管の外箱

コントロール・パネル

左から Input ジャック、ボリューム、トレブル、ミドル、バス。次にフットスイッチ・ジャック、赤色OD インディケーターLED、OD レベル、マスターボリュームと並びます。右端上がスタンバイスイッチ、下がパワースイッチ兼パイロットランプ(グリーン)です。
Face Plate は無く、アルミシャーシーに文字を直接刻印しています。

Control Panel view
コントロールパネル、無垢のアルミに文字刻印

OD 回路

OD 回路は 70年代のDumble Overdrive のドライブ回路にヒントを得ています。一本のプリ管内の2個の増幅素子を使いブーストさせます。 Dumble は 12AX7 を使っていますが、2510-OD は 12AU7 を使っています。ゲインの大人しい管を使い、暴れない落ち着いたドライブ、いわゆるクリーンブーストを実現しています。
ブースト回路のオン・オフはオムロン5V リレーを使い、フットスイッチでオン・オフします。

ブースト回路の入り口と出口には信号の大きさを調節できるトリム・ポットを付けています。Dumble Overdrive と同じ仕様です。このトリムポットを上げ今よりもダーティーな激しい歪みにすることもできます。わずかな上げ下げで敏感にOD サウンドが変化し、精密な調整が必要です。出荷時点では私の好みのクリーンブーストにセッティングしてあります。
OD 用リレーと内部調整トリムポットの写真
OD のスイッチングリレーとトリムポット

2510-OD の正面写真
Front view of GAMPS 2510-OD all tube hand wired guitar amplifier

2510-OD の背面 バックパネル
Rear View of GAMPS 2510-OD all tube hand wired guitar amplifier

GAMPS 2510-OD all tube hand wired guitar amplifier
#GAMPS #ギャンプス #ギターアンプ

サウンド・サンプル

サウンド・サンプルとして田井さんによるデモを貼っておきます。


こちらはギャンプスのオリジナル・デモです。途中の OD 切り替え時に手でフットスイッチを押しています。足で踏んで切り替えが可能です。