SOLD thank you
1998年5月にノースカロライナのシャーロットに出張していた時、
休日に出かけた楽器屋さん、確か Music Go Roundという名前、
で買ったものです。
中古で購入した後、30年以上経過し、回路部品の寿命も尽き、
オーバーホールして新品当時の音を蘇らせることにしました。
Fender Bassman silverface |
完成後のサウンドクリップ追加 ( 2022 APR )
1. Grill cloth の交換
グリルクロスはわずかな切り傷があると次第に傷口が広がります。張り替えることにしました。
グリクロスをリムーブ |
ブラックフェースに使われているクロスの色合いに近いものにして
みました。クロスを変えるだけで、落ち着いた雰囲気になります。
クロス張替え前後 |
2. フィルターキャップのオーバーホール
30年前、購入した時点で、フィルターキャップのアルミ電解コンデンサーは既に交換されて
いました。それから30年経ち、もうとっくに寿命を迎えています。
新しいコンデンサーに総交換しました。
同一メーカーで揃えずに、 3つのメーカーのコンデンサーを
ミックスして使います。音質と信頼性の両立にはこれが良い。
デカップリング抵抗はセラミックコンポジション抵抗に交換し、
音質は変えず、耐久性を向上します。
高電圧のかかる( 300V 超 ) 配線材は耐圧1000V のベルデンに交換し
漏電の危険性を低減しました。
アンプの増幅回路に電源供給するフィルターキャップ部分を
徹底的に強化することで、低ノイズで、迫力のある良い音を
長く保てることを目的としています。
フィルターキャップのオーバーホール |
3. 整流回路のオーバーホール
ベースマンは整流管ではなくダイオード整流です。6本あるダイオードのうちの 1本に高圧放電の変色がみられます。
この付近に絶縁不良があり、放電したかもしれません。
残りの5本は痕跡がなく音も出ていました。
音に迫力が掛けていた要因の一つです。
Charned diode |
整流回路部品を一旦全て取り払い、回路ボードを洗浄した後、
整流回路用 Diode x 6,Bias 回路用 Diode x1,抵抗 x1,アルミ電解x1
を交換しました。
絶縁不良を取り除き、部品を新しくし、安定稼働させます。
同時にバイアス回路は バイアスの深さ調節が行えるように
回路変更しました。
整流回路のオーバーホール |
4. 増幅回路全体のオーバーホール
ギター信号の入力から プリアンプ、トーンスタックを通り再増幅してフェーズインバーターに入りパワーアンプに到達する
一連の増幅回路のオーバーホールを行いました。(写真参照)
フィルム・コンデンサーは主にオレンジドロップに交換
カーボンコンポジット抵抗は新品に交換しています。
増幅回路のカーボン・コンポジット抵抗を異なるタイプ
( 金属皮膜、酸化金属皮膜、カーボンフィルム等)に変更すると
音質は激変してしまいます。
金属皮膜にすると変に固く、高域寄りの音になる。
カーボン・フィルム抵抗にすると、迫力の欠けた感じがします。
同じカーボンだからいいじゃないかと思われるかもしれませんが
やってみると如実に音が変わります。
増幅回路に使う
カーボン・コンポジット抵抗の音の感じは他の抵抗では出せません。
一方で、電源回路の抵抗は
カーボンコンポジットで無い方が信頼性が高まり、音質は変わりません。
この違いを実験したり、経験積んで体感すると面白いです。
実験をするということは、
結果には自分で責任を持つ。自分でする行動なのだから。
人のモノマネをしたり、パクリをせず、自分の考えで行動する。
人の考えはあくまで参考とする。
失敗したら、良い結果になるまで、あきらめず作業し直す。
常に論理的思考と自由な発想とを組合わせる。
やってることが論理的に合致しているかを自分で考える。
豊かな発想を心がけ、頭が固くならないようにしておく。
と常々思っています。
増幅回路のオーバーホール |
グラウンド母線
板厚 2mm 幅10mm の銅の板を使い、グラウンド母線を敷設しました。
Fender アンプはシャーシー全体をグラウンドとみなす多点接地です。
アンプが古くなり接合部やハンダ付け部が古くなると、
シャーシーグラウンドの導通が悪くなり、
ノイズが出やすくなります。
グラウンドは ゼロ電位です。このゼロ電位をきちっと 0 V に保つため
導電体の質量が多めの銅板を使います。
アンプは、低ノイズとなり、美しいクリーンサウンドがさらに際立ち、
楽しむことができます。
楽しむことができます。
グラウンド母線を敷設しノイズ低減 |
Fender アンプのパワーチューブの真空管ソケットには以下の2種類の
抵抗が接続されています。
5番ピンに、 1500Ω 1/2W のグリッドストッピング抵抗。
4番ピンには 470Ω 1W のSG ストッピング抵抗。
この 2種類の抵抗は寄生発振の抑止が目的で取り付けられています。
この抵抗とソケットピンとの接続方法は
真空管ソケットの空きピンである 1番ピンと 6番ピンを使い、
真空管の底面に対して抵抗の筐体が水平になるようにハンダ付け
されているのがオリジナルの方法です。
このハンダ付方法を止めにし、
新たにラグ端子を使い、
真空管底面に対して抵抗が垂直に立つ形に配線しておきます。
この垂直接続は寄生発振をさらに起こりにくくします。
垂直にストッパー抵抗を取り付け |
完成しました。
新しいパワーチューブに交換し、バイアス調整をし、
テスト試奏しました。
完成 |
音質は、
ギターを使用した場合、
・迫力があり、張りと艶のあるクリーンが美しい。
・ピッキングの動作で敏感に出音が反応する。
・ギターのボリュームコントロールを駆使してソロ・ギターが可能
・Noramal Channelでも Bass Channel でも使用可能
・Bass Channel はプリアンプ増幅段が一個多い分、深みが加わります。
ベースを使用した場合、
・暖かいベースの音が出しやすい。
・真空管ならではの音の輪郭があり暖かい。
・分厚く分離感がある音です。
・アコースティックベースやホローボディーとの相性抜群です。
・Deep スイッチは中域がバタつく時や出すぎるときにオンすると
すっきりした音にできる便利スイッチです。
今回MOD した回路について
当アンプを初めにオーバーホールした当初は AA864という回路図に基づいてオーバーホールとブラックフェーシングをしました。(1964年のプロトタイプ時点での回路) しかし、試奏を続け弾きこんでいくと、低域の暴れが出たり、中域の癖が耳につきました。
1964年のすぐ一年後に回路図変更されているのは、やはりプロトタイプの音がよろしくなかったということです。
何度か試行錯誤を重ね、最終的に、AB165 回路にMOD しなおました。
Fender AB165 schematic |
#FenderBassman #Bassman #真空管ベースアンプ
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