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2016年8月3日水曜日

Deluxe Reverb 65年製のオーバーホール終了

6月19日(日) から 65年製のデラックスリバーブのオーバーホールをスタートし、7月31日にお客さまへ出荷しました。
試奏テストの様子
Reissue ではなく本物の65年製です。
福島県にお住まいの A 様ご所有のギターアンプです。

2013年に東京のショップでご購入。
半年後に Vibrato のトントン・ノイズが大きくなり、2015年に修理屋さんに出したものの症状の改善はなし。このとき Normal チャンネルにリバーブのかかる MOD を取りつけなさいました。

今回のご要望は「いかんせん50年前のものですので、部分的やっつけ仕事ではなく、それ相応のオーバーホールをしっかり行なわないとだめなんだろうな、と思います。初期性能を出せるように一連のオーバーホールおよび不具合点の修理をして頂き、あと10年位は、たのしませてもらいたいと考えております」とのことです。

Front view of 65 deluxe Reverb
ブラックフェースとしてはフェースプレートの痛みは極力少なく外観はとてもきれいです。ポットのノブは全て交換されています。
受け入れ検査:サウンドテストの実施
まずはサウンドテストを行いました。その結果

① ノイズ・レベルが大きい
パワーオンし、スタンバイを上げ、全てのポットノブを最小の位置にした状態でノイズレベルが既に大きい。2種類のノイズが混在して鳴っています。一つ目は約120HZでワンワンワンと繰り返すハムノイズ。もうひとつは不規則な周期で繰り返すガサゴソ・ノイズです。どちらも耳を澄ませば聴こえる小ささではなく、もう少し耳につくレベル。しかし、ギターを弾くと、ギター音にかき消されます。そのため、こんなものと思われているケースが多いようです。ハムノイズの大きさは整流回路からフィルターキャップ、バイアス回路も含むいわゆる電源回路の問題(部品劣化やハンダ付け劣化)です。ガサゴソ・ノイズは電源回路の問題に加え、プリアンプ回路の劣化したプレート抵抗やプリ管・パワー管を問わず真空管の劣化によることもあります。

② Vibrato をオンするとギターを鳴らしていない状態でトントントンというノイズが健全な状態よりも少し大きめに聴こえます。これは Vibrato の揺れを作る V5 真空管まわりの配線材や Intensity, Speed ポットの配線材が劣化したり絶縁低下したとき、もしくはボードの絶縁低下、などでおきやすくなります。

③ギターサウンドは硬く痛い
低域は少なく、中域のへこみが大きく、ドンシャリなんですが、高域が耳に痛い。
冷たく硬い感じのする'65 Reissue の硬さとは少し異なり、「高域はギャンギャン出ている、しかし、もっと中・低域があるはずなのに何処行ったの?」という感じです。
どうも前回の修理もしくはそれ以前の修理で使われた部品とAB763回路との相性に問題がありそうです。

続いて目視検査を実施しました。
電源コードは交換されています。
a) 電源コードが交換されています。しかし、細い、あまりにも細い。2芯の電化製品用のものが使われています。USA製の3芯タイプの太いものに交換します。これは音の迫力や音質を語る以前の問題です。

使われている真空管の Inventry を行いました。
50年も経過していることから当然の事ながらオリジナルの真空管は一本も刺さっておらず、いつかの時点で交換されています。
プリ管右から V1,V2,V3,V4,V5,V6
6本のプリ管のインベントリーは
V1 は SOVTEK の 12AX7WA 2006年製
V2 も SOVTEK の 12AX7WA 2006年製
V3 は Fender の 12AT7 1980年製 
V4 は SOVTEK の 12AX7WA 2006年製
V5 はメーカー名・製造年不明の 12AX7A ( 内部の構造物形状から中国製であることは確か) 
V6 は ElectroHarmonics 製の 12ATEH 2006年製
でした。 

パワー管と整流管、右から V7, V8, V9
パワー管と整流管のインベントリーは
V7 は JAN Philips の 6V6GT いわゆる NOS。
V8 も JAN Philips の 6V6GT NOS。
V9 の整流管は SOVTEK の 5AR4 2003年製。
でした。

内部金属が白く劣化している V3 12AT7
真空管の Inventry をしていて不良管を 1 本発見しました。

b) V3 の 12AT7 の劣化
内部の金属が白く変色しています。これは高熱による金属疲労を示します。放置すれば確実に壊れ音が出なくまります。サウンドテスト時点でのガサゴソ・ノイズの原因がこの真空管です。お客さまには交換の必要がある旨お伝えしました。

V2 と V3 の真空管のソケットには接点復活剤の痕跡があります。オイルがソケットの黒い絶縁体に付着しています。
左V2 と右V3 のソケット 接点復活剤のオイルが付着
おそらく、上述 V3の12AT7の調子が悪いからといって修理の時点で接点復活剤を噴射されたものかと推測します。真空管の劣化は接点復活剤の噴射では絶対に治りません。むしろソケットの絶縁性能を低下させ、真空管を壊す方向にしかいきません。全てのソケットをクリーニングする必要があります。

続いてフィルターキャップの検査をしました。電源回路を構成する直流電圧のタンクとなるアルミ電解コンデンサー群のことです。
フィルターキャップ
c) アルミ電解コンデンサーは全て過去に交換されています。しかし、耐久性と音質の観点で問題があります。

韓国製のコンデンサーが使われており、耐圧と容量は全て 450V 耐圧、22μF です。

オリジナルから交換するときは耐圧は500V にして耐久性を向上するのが一般的です。
また、オリジナルと全く同じスペックのものにする場合でも耐圧は最低限 475V 必要です。
今使われている 450V 耐圧は低すぎます。信頼性に欠けます。

音質の観点からは、全てを22μにすると音の色気が少なくなります。プリ部の容量は大きくしすぎてはいけないのです。プリ部の容量を大きくしていいのはオーディオ用真空管アンプだけです。デラリバらしい音質の確保のためこの容量も吟味してオーバーホールする必要があります。 
450V 耐圧 22μFの韓国製アルミ電解コンデンサー
アルミ電解コンデンサーは残念ながら過去に交換されたものを全数交換する必要があります。

既に一度、修理してあるヴィンテージ・アンプに出会うと、いつも「きちんとアルミ電解コンデンサーのオーバーホールだけでもされていると納期が少しは短くなる」という淡い期待をしています。
私の期待はいつも裏切られ続けます。


次に回路の検査をしました。
d) 結論からいうとフルオーバーホールが必要です。
Deluxe Reverb 65年製の回路部分
 下の写真はバイアス回路です。アルミ電解コンデンサーだけ過去に交換され、ダイオードと1W抵抗はそのままです。過去に交換されたアルミ電解コンデンサーも含め全て交換が必要です。
バイアス回路
下の写真はパワーチューブのソケットまわりです。
セカンダリーグリッドのストッピング抵抗 460Ωは白いセメント抵抗に交換されています。ソケット中央に見えるグリッド・ストッピング抵抗 1500Ωはオリジナルのままで劣化しています。劣化していれば抵抗値が1500Ωよりも高くなっています。抵抗の本来の目的である発振を抑えるためには抵抗値が高い方が好都合です。しかし、もともとのアンプの実力の音質をある程度削ってしまいます。ここは新しい1500Ω抵抗に交換します。
6V6GT パワーチューブのソケット、SG Stopping 抵抗と Grid Stopping 抵抗 
下の写真はフェーズインバーター回路です。
カップリングコンデンサー .1μF が茶色のものに交換されています。これは TK です。
プレート・ロード抵抗 100KΩと 82KΩが 1W の酸化金属抵抗に交換されています。
中低域の迫力が落ちている感じがするのはこの部品達の音へ影響です。約50%の影響。
残りの50% はプリアンプに使われているプレート・ロード抵抗による影響です。

アンプはプレート・ロード抵抗の材質で音質が変化します。
Fender にはカーボン・コンポジットが合います。Marshall には金属皮膜が合います。

フェーズインバーター回路
プリアンプ回路はカップリング・コンデンサーはオリジナルのままで、プレート・ロード抵抗とバイパス・コンデンサーが交換されています。
中・低域の音質が物足らない原因の50% はこの部分です。
プリアンプ回路
少しだけ水平方向にカメラを傾けて写真をとると、回路を覆うカビが良くわかります。
本来黒色である回路部品を載せているボードの上に白く砂のような粒子が付いているのがわかります。これは砂や埃ではなく、カビです。

カビで覆われている回路ボード、フェーズインバーター付近
このカビは一部だけではなく回路ボード全域に亘っています。
下の写真はプリアンプ付近です。

カビで覆われている回路ボード、プリアンプ付近
e) 過去の回路のMOD 
プリアンプに改造があります。下の写真の青色のワイアーと青色のセラミック・コンデンサー x1 と1/4Wカーボン皮膜抵抗 470KΩx2 です。
これはNormal チャンネルにもリバーブを効かせようと試みた MOD です。
「試みた」と書いたのは、この方法ではリバーブドライバーに Normal チャンネルの信号は送れるものの、リバーブミキサーで Normal チャンネルの信号はミックスされません。
フェーズインバーターの入力でミキシングされることになります。しかし、位相が合っておらず、変なリバーブ音となります。最も信頼性のおける手法は Normal チャンネルの2段目の増幅回路と Vibrato チャンネルの2段目の増幅回路を Tweed Mixer という回路方式にして繋ぐ手法です。
ユーザー様に確認したところ、現在の MOD は取り外す方向で作業します。

以上が受け入れ検査の結果です。この結果を踏まえて作業を進めていきます。
現状の MOD

【作業 1.】真空管ソケットのクリーニング
過去に真空管は何度も交換されています。プロショップでの真空管交換の時点、あるいは、当アンプが販売されていた時点で真空管ソケットのクリーニングはショップで実施されているはずと思っていました。

ところが、接点復活剤のオイルの付着が受け入れ検査で見つかりました。しかもそのオイルはかなり古いものです。過去にクリーニングされていないかもしれないと思い、V2 と V3 だけでなく、全ての真空管ソケットのクリーニングを行いました。
真空管ソケットのクリーニング V8 パワーチューブ用ソケット
案の定、やはり真空管ソケットのクリーニングは3年以上行なわれていないようでした。

下の写真の綿棒の先端を見てください。2つある綿棒の上側が未使用の綿棒です。下側の綿棒はパワーチューブ用のソケット1個だけをクリーニングした直後です。茶色い汚れと黒いカーボン汚れが付きました。

真空管のピンには高電圧・高電流が流れます。真空管ピンとソケットのピンの接点でカーボン汚れを誘発します。
真空管を交換するときには、必ず同時にソケットのクリーニングを行なわれることを推奨します。

ソケット・ピンの付着していた汚れ
【作業 2.】電源コードの交換

以前の修理で電源コードを交換なさったとのことです。しかし、交換されたコードは2芯の家電向けで芯線は細いものです。音圧に期待できないのとグラウンド配線が付いておらず、安全の観点やノイズの観点から問題があります。ソケット部も組み立て式の古いソケットで、万一足で踏みつけると壊れてしまいます。

電源コード交換前
3芯のグラウンド付きの電源コードに交換しました。芯線はAWG16 と太く、十分な音圧が見込めます。またソケット部はモールド式で頑丈です。安全面・耐久性・音質の3つの観点から合格となりました。

電源コード交換後
【作業3. グランド・バスバーの敷設】
Fender のアンプの接地方式 ( Grounding ) は「多点接地」です。鉄製シャーシー全体を回路グラウンドとみなし、回路のマイナス側を近場のシャーシー金属に直接ハンダ接続することによりグラウンドを形成します。Fender は少し工夫を凝らしており、ブラス製の薄板をポットの裏側に付けて、回路のグラウンドをこのブラス板にハンダ付けしています。アンプが作られて年数がたっていないときは問題はありません。しかし、当アンプのようにシャーシー内部にカビが発生している場合、50年もの年月経過とあわせて、シャーシー金属表面の汚れや錆びが酷くなってきます。当然ブラス製の薄板も劣化しています。グラウンドのハンダ付けも劣化しています。デジボルの読みで回路のマイナス端子とシャーシー間の抵抗値は本来は 0 Ωです。ところがこの値が0.5Ω以上になってくるとアンプのノイズが大きくなります。過去の経験では5Ωにもなっていたアンプもあります。
その場合の解決策はシャーシーのグラウンド接続のハンダを一度溶かして取り去り、再度ハンダ付けすることになります。しかし、ブラスの薄板金属表面の汚れにより再ハンダしても不十分な接合になってしまうことがあります。
この問題を解決するため、安定的なグラウンド接続をするためにブラスの薄板とは別にバス・バーを敷設します。
バス・バー( Bus bar ) には幅10mm x 厚さ2mm の銅の板を使います。ブラスよりも抵抗値が低くノイズ低減に効果的です。ハンダ付けの経年変化による接触不良を防ぐためにシャーシーとバス・バーはしっかりとボルト締めします。ボルトの下にはグラウンドのハンダ付け専用の端子の付いたの歯付きワッシャーをはさんでおきます。回路のグラウンドはこの専用端子にハンダ付けすることによってハンダ付けしやすく、且つハンダの経年変化による劣化は少なくなります。
複数の回路グラウンドは導電率の高い銅板上で結ばれることになり、ノイズが大幅に低減できます。また経年変化によるグラウンド接続の劣化を極力抑えることができます。

当グラウンド母線の敷設は回路内部のカビがひどい場合の対策です。回路内にカビの発生が無く、シャーシー金属のサビやブラス薄板のサビの程度が軽い場合は再ハンダで対処できます。

まずグラウンド接続のハンダを溶かした後、シャーシーをクリーニングします。
バスバー敷設用のシャーシー領域
クリーニングしたシャーシーにバスバーを敷設します。
このバスバーに付けたグラウンド専用の端子と回路のグラウンドをハンダ付けします。
バスバーをボルトで固定しグラウンド専用端子を取り付け
【作業4. フィルターキャップのオーバーホール】
以下の部品をオーバーホールしました。
・アルミ電解コンデンサー x 4 個 を Sprague x 3, F&T x2 に
・デカップリング抵抗 x2 を Ohmite のセラミック・コンポジット抵抗 1W 耐圧 x2に
・配線材 x10本 をベルデンの耐圧1000V に

オーバーホール後のフィルターキャップ
【作業5. バイアス回路のオーバーホール】
耐圧の向上したアルミ電解コンデンサー、耐圧向上した抵抗、新しいダイオードの3つに交換

バイアス回路オーバーホール後
過去の修理で使われていたコンデンサーは耐圧50V で耐圧不足でした。
オーバーホールでは耐圧100V にするのが良識ある日米のアンプテクの間の常識となっています。

上:耐圧50V 下:耐圧100V
【作業6. 高電圧部分の配線材】
400V の高い電圧を扱う電源回路の配線材は耐圧1000V のベルデン配線材にします。
こうすることで、アンプ内部での放電を防ぎ、全ての部品の寿命を守ります。
オーバーホール作業と同時進行の形で回路ボードに付着していたカビのクリーニングも行なっています。

高電圧のかかる配線材: Red, Orange, Yellow
【作業7. 整流管まわりの配線材】
交流320V を直流400V に変換する整流管に接続されている配線材(ワイアー)は電源トランス(PT)からの配線で、交換はできません。現状はこれらの配線材にカビと汚れが付着しており、絶縁性が低下しています。赤色の2本= 交流320V、黄色の2本=交流5V のヒーター線(整流管を暖めるための配線)
カビが付着し絶縁性の低下したトランス配線
トランス配線の皮膜をきれいにクリーニングした後、絶縁強化し整流管ソケットに再ハンダ付けしました。

絶縁強化した整流管の配線まわり
【作業8. パワーチューブのソケット上の抵抗】
パワーチューブにはセカンダリー・グリッド・ストッパー抵抗1W 470Ωとグリッドストッパー抵抗 1/2W 1500Ωの2種類がハンダ付けされています。これらを新しくしました。

オーバーホール後のパワーチューブソケット
【作業9.フェーズインバーター回路のオーバーホール 】
ブラックフェイス回路の音質を決定づけるのがこの回路です。部品選択には細心の注意を払い、オリジナルの Fender サウンドを再現する必要があります。適材・適所の部品を使い、オーバーホールしました。抵抗 x 11, カップリング・コンデンサーx 4, 配線材 x 12

オーバーホール後のフェーズインバーター
【作業10. ヴィブラート回路のオーバーホール】
「プタプタというノイズが耳につく」というお客さまのコメントがあった部分です。ヴィブラート回路のプタプタというノイズはV5 チューブや IntensityとSpeed ポットの配線の取り回しの悪さもしくは絶縁皮膜の劣化により起きやすくなります。全ての回路部品を新しくするとともにノイズ低減する配線とりまわしを行ないました。抵抗 x7, コンデンサー x4, アルミ電解コンデンサー x2, 配線材 x11

オーバーホール後のヴィブラート回路
【作業11. 真空管ソケット交換】
接点復活剤のオイルが絶縁部分に付着し、ピン間の絶縁不良となっていた真空管ソケット V3 ポジションを新しいソケットに交換しました。
新しい真空管ソケット V3(写真左)
【作業12. リバーブ回路のオーバーホール】
リバーブ・ドライバーとリバーブミキサーの回路をオーバーホールしました。
抵抗 x7, カップリングコンデンサー x1, アルミ電解コンデンサー x1
( セラミックディスク・コンデンサー x2は、まだ使えるためそのまま使用 )
今回は Normal チャンネルにもリバーブとトレモロを効かす MOD を入れるため、当回路を Normal チャンネルと Vibrato チャンネル両方の信号が通過します。
オーバーホール後のリバーブミキサーとリバーブドライバー回路
【作業13. プリアンプ回路のオーバーホール】
インプット・ジャックから入ったギター信号をまず、1次増幅し、Treble, Middle , Bass の3つカップリングコンデンサーに振り分け、トーンポット(Treble と Bass ) に送り出し、ボリュームポット経由で戻って来た信号を2次増幅した後、リバーブ・ドライバーとリバーブミキサーに信号を送り出す回路です。Normal チャンネルと Vibrato チャンネルの回路でコンデンサーの種類を変え、サウンドに少し変化
付くようにしています。
2次増幅の時点で Normal チャンネルと Vibrato チャンネルをミキシングする「ツイードミキサー」という回路概念を使い、両チャンネルにリバーブが効くように MOD しています。
オーバーホール後のプリアンプ回路



【テスト試奏】
作業13.が終わった時点でバイアス調整をし、テスト試奏しました。
① ノイズは激減し、とても静かになりました。
② リバーブとヴィブラートの全ての機能がNormalチャンネルでも効くようになりました。
  またVibrato のフットスイッチをオンしたときのトントンノイズ(プタプタノイズ) も耳障りではなくなりました。
③ 硬かったサウンドはブラックフェースらしく、中・低域も含みふくよかになりました。また極端に小さなボリュームでも歪んでいた状態から、ある程度音量をあげたときから自然に歪むように再現できました。

しかし、まだもう少し改善の余地が残されています。
△ ボリュームポットの効き具合がNormal チャンネルと Vibrato チャンネルでバラツキがあります。
△ あとわずかに音圧が欲しいところ、ほんの少しだけ弱い感じがします。この音圧で問題はありません。しかし、一ヶ月以上作業してきたアンプには愛着が沸き、完璧に仕上げたいと思ってしまいます。
仮組みの状態でテスト試奏
【作業14.ボリュームポットの交換】
ボリュームポットは過去に交換されています。このとき Normal チャンネルと Vibrato チャンネルで異なるメーカーのものに交換され、結果としてポットのカーブにバラツキが生じています。
症状としては Normal チャンネルは目盛り3で唐突に音圧が大きくなるのに反して、Vibrato チャンネルは目盛り7でようやく大きくなってきます。

両チャンネルのボリュームを CTS 製の新品と交換しました。
Vibrato チャンネルのボリュームポット交換後
Normal チャネルのボリュームポット交換後
【作業15. スピーカーケーブルとフォンプラグの交換】
スピーカーケーブルも過去に交換されています。このときシルバーフェースと同じケーブルが使われているようです。フォンプラグは錆びが出ており好ましいとは言いかねます。音はちゃんと出るし、ケーブルが劣化して音圧が極端に低いわけではありません。
現状のスピーカーケーブル
ここは奮発してAIW 製の WE 復刻版ケーブルを使い、フォンプラグと F-Cap も新品を使い、スピーカーケーブルを一新することにしました。見積もり時点ではお客さまにこの交換を提示しておりません。また、現状は壊れているわけではなく、音も出ています。交換による効果は劇的ではなく、あくまでアンプの微細な音の変化を聞き分けることのできる私の自己満足に近い。そんな作業には追加料金は請求できません。無料サービスとしました。

AIW 社製 WE 復刻版ケーブルと新しいフォンプラグ、F-Cap
【作業16. 真空管の交換】
V3 のリバーブドライバーは受け入れ検査の時点で内部金属の表面が白くなっており、予定どおり交換しました。

わずかに音圧の低い要因が真空管にも無いか、残りの真空管をひとつずつ新しいものにして検討してみました。全ての真空管の劣化度合いを検査したところ、最終的にV4 を新しくするとわずかながら音圧が上がりました。
よって V4 を TAD の7025 の新品に交換することにしました。これでようやく私の満足感が得られました。
これも交換による効果は劇的ではなく、あくまでアンプの微細な音の変化を聞き分けることのできるひとにしかわからない。見積もり段階でお客さまにはお知らせしていませんでした。
スピーカーケーブルと同じく追加料金は請求できません。したがって V4 の交換も無料サービスとしました。
左:V4 真空管 TAD に交換  右:V3 真空管 JJ に交換
作業16でようやく出荷可能となりました。
しばらくテストを行い、不具合の出ないこと、音質がブラックフェースであることを確認した後に 7/31 に出荷しました。













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