GAMPS logo

GAMPS logo
ギャンプスのロゴです。

2016年12月6日火曜日

Princeton Reverb Restoration Part 2.

この投稿は 11月初旬に掲載したプリンストンリバーブのその後の作業に
ついて記載しています。
タイトルがオーバーホールではなくレストアとなっているのはそれだけ作業量が大量だったことを意味します。

プリンストン・リバーブの受け入れ検査の様子はこちら。

【スピーカーの状態】
 スピーカーはオリジナルながら、コーン紙の破れは無く、まだ使えます。
スピーカーのコーン紙の状態
【1】スピーカーケーブル交換
お客さまのご要望によりスピーカーケーブルを交換しました。
特に銘柄指定の無い場合は WE 復刻版ケーブルを使います。
スピーカーケーブル交換前

古いスピーカーケーブルを外したところ

新しい WE 復刻版ケーブルを使いスピーカーケーブルを作製しました

新しいスピーカーケーブルを取付けて完了
【2】. シャーシーから部品を外す

Dismounting PT from the chassis
2次電圧が275V しかないブラジル製の電源トランスをディスマウント

after dismounting PT
ボックス・タイプのアルミ電解コンデンサーを外します。
1本の中に通常のアルミ電解コンデンサー4本分が収められています。
オリジナルのまま40年経過していて、容量抜けし、使い物になりません。

dismounting electrolytic capacitor 
トランスとコンデンサーを外した後に反対側から見たところ

Bottom view of the chassis
電源トランスのマウント用穴は、ブラジル製トランスを載せるときに加工されています。
新しいMercury の電源トランスはなんとか載りそうです。

Chassis hole for PT
次に回路ボードを撤去。
Circuit Board
回路ボードを取り去ったところ
removed the board
ここでシャーシーをクリーニング。
接点復活剤やら埃やらでシャーシー金属は汚れていました。
cleaning has been done
7本ある真空管ソケットもクリーニングしました。
こちらも接点復活剤と埃で汚れていました。
Tube socket cleaning
【3】 グラウンド・バスバーの取付け
Fender のアンプはポットの裏に薄いブラス板が敷かれておりグラウンド・バスの役目を果たしています。ブラスとグラウンド配線はハンダ付けでつながれています。
このグラウンドバス上の接続の良し悪しにより、何も弾かないときのバックグラウンド・ノイズの大きさが変わります。
ブラスと配線材は元来ハンダがつきにくい。加えて何十年も経過したブラスは腐食と汚れでハンダがさらにつきにくくなっています。過去の経験から再ハンダ付けをして劣化したハンダを回復するよりも新たに銅平棒のグラウンドバスを敷設する方がバックグラウンド・ノイズは確実に低くなることが分かっています。
お客さまと相談し、銅平棒のグラウンド・バスを敷設しました。このバスバーにはしっかりとネジ留めしたグラウンド端子を取り付け、このグラウンド端子にハンダ付けすることにより、強固なハンダ付けが可能となります。

Copper ground bus bar
【4】 V1 真空管ソケットの交換

V1 の真空管ソケットだけはクリーニングしても汚れが取れません。
Tube Sockets from right to left V1, V2, V3
そこでソケットを外してみると、オイルが凝固したような汚れが付いています。
Oil stained socket
新しい MT 9 ピンのソケットに交換しました。
Replaced V1 socket with new one
【5】 パワーチューブ・ソケットの交換と真空管リテイナーの取付け

下の写真のように整流管のソケット(左端)には真空管の抜け防止のためのリテイナーが付いています。しかし、パワーチューブのソケットには付いていません。リテイナーが付いていなくてもソケットのピンの締りが良く、しっかりとパワーチューブをホールドしてくれる場合にはリテイナーは不要です。しかし、このアンプのパワーチューブのソケットのピンは緩んでいます。絶縁部(茶色の部分)の劣化が激しい状態です。
From right to left V5, V6, V7. V5 and V6 does not have a retainer
高電圧に強いセラミック製のソケットに交換すると同時にリテイナーを取付けました。
New ceramic socket and retainer for power tubes
【6】フィルターキャップの取付け

Mounting filter cap
プリンストン・リバーブのフィルターキャップ(電源用のアルミ電解コンデンサー)は円筒形をした筒の中に4個のアルミ電解コンデンサーが入っています。これを使うことで、小さいシャーシースペースの有効利用ができます。現在全く同じ形式のものを生産しているのは CE Manufacturing というアメリカの会社だけです。(オリジナルはMallory製)
このコンデンサーは他の円筒形のコンデンサーと異なり、筒の先端にある爪をシャーシーに直接ハンダ付けすることでシャーシーに固定されます。 この爪の部分がマイナス端子の役目も果たします。
このコンデンサーと同じタイプのものを使うアンプは他にBF Champ, SF Champ, BF Princeton, と Super Champ, ChampⅡ等です。比較的小型のアンプです。
Soldering nails of the cap
大き目のコテ先の付いた温度調節式ハンダで確実にハンダ付けします。単に固定するだけでは意味がなく、しっかりとシャーシー・グランド配線の導通を完成させるためのハンダ付けです。

Soldering finished
シャーシー裏側、銀色の筒が新しく取り付けたフィルターキャップ。
Bottom view of the CAP
【7】電源スイッチとスタンバイスイッチの取付け
Holes of back panel
当アンプの電源スイッチは使い物になりません。
接点復活剤で絶縁の劣化した危険な電源スイッチ

電源スイッチを新しくするついでにスタンバイスイッチも増設しました。
電源電圧の選択切替スイッチが付けられていた丸い穴は塞いでおきます。
安全のために電源スイッチは片切り(SPST)ではなく両切り(DPST) にしました。

Power switch and standby switch installed
【8】電源コードの取付け
電源コードを新しくしたいというお客さまののご要望もあり、新しい電源コードを取付けました。
power cord hole
新しいコードの芯線の太さはAWG 16、ソケットは3芯です。
power cord installed
電源コードの配線は電気安全に準拠して配線してあります。
power cord wiring
【9】バックバネルの端子のクリーニングと錆び落とし
写真左からメインスピーカー端子、エクストラスピーカー端子、Vibrato Foot Switch, Reverb Foot switch, Reverb output, Reverb input です。全ての端子が汚れている上に錆びが出ています。
Connectors on back panel 
端子を分解しクリーニングした上で錆びを落としました。
Connectors rust removed
このアンプは名の通った大手楽器店で販売されていたのをお客さまが購入なさいました。
しかし直ぐに不具合が発生し楽器店に戻され修理もされました。楽器店では2度もメンテナンスのチャンスがあったということが言えます。例え回路のことは不慣れでここに述べた作業全ては無理だとしても、上で述べた作業【9】端子クリーニングと錆び落としぐらいは簡単にできるし、実施するのが当然だと思うのです。戻された不具合は ReverbとVibrato だったのだから、なおさらのことでしょう。そう思う私はおかしいのでしょうか ?

【10】Intensity ポット交換
ポットの点検を行なっている最中に Intensity ポットの抵抗値不足を発見しました。
本来250KΩのポットであるべきところ抵抗値が 187KΩしかありません。
Intensity Pot is only 187KΩ which should be 250KΩ
ポットをシャーシーから外してみると絶縁部に接点復活材のオイルが染み付いています。ポットに記載されている標記には250KΩという記述があります。しかし 187KΩしか無いということは、内部で絶縁不良を起こしています。
Oil stained pot
新しい250KΩ のポットを取付けました。
Installed new 250KΩ POT
【11】Bias 回路のオーバーホール
プリンストン・リバーブは固定バイアスです。しかし、バイアス調整用のポットは付いていません。文字通り固定です。
一方でプリンストン・リバーブのヴィブラート(トレモロ) は Bias Modulation Tremolo です。平たくいうと発振器で作った揺れ信号をIntsnsity から直接パワーチューブのバイアス電圧に注ぎ込みます。
バイアス電圧を揺らしてやることであのダイナミックなトレモロにしています。
しかし、Intensity を上げてトレモロの効き具合をかなり大きくするとバイアスが浅くなりすぎ、パワーチューブの疲労を早めることがあります。バイアス調整が可能の回路であれば、バイアス電圧を補正してやり、パワーチューブの疲労を軽減できます。
バイアス回路のオーバーホールに際してバイアス調整可能な MOD をしました。

Bias circuit
はじめにポットを設置します。
newly installed bias adjust pot 
続いてバイアス回路の部品をオーバーホールしつつ、バイアス調整可能な回路に変更しました。
バイアス回路で作ったマイナス40V 近辺のバイアス電圧は Intensity Pot につながれます。Intensity ポットのワイパーはパワーチューブの Grid Leak 抵抗につながり、バイアスを供給します。Intensity ポットの右側端子がトレモロ発信器の出力に繋がります
bias circuit overhauling completed
【12】電源トランス PT の取付け
このアンプの電源トランスは WILLKASON というブラジルのオーディメーカーの物で、2次電圧は275V しかありません。本来は340V 必要
当アンプに取り付けられていたWILLKASON 製の電源トランス

Before installing PT
新しい MercuryMagnetics 製の電源トランスを取付けました。
シャーシーの裏側から見るとこんな感じ
after installing PT
回路側から見ると
before installing PT, Circuit side view
電源トランスを取付けた直後は配線材がこんな感じです。
PT wires 
配線材をていねいに撚って(Strand して)電源トランスの配線を行います。この撚りを怠ったり、配線材が不必要に長いままだとアンプはノイズの山と化します。とても大切な作業です。
時々趣味で自作なされたアンプを拝見することがあります。電源トランス配線の取り回しが超いいかげんなものがほとんどで、ノイズが多いアンプがほとんどです。
PT wires stranded and connected
作業【1】から【12】までを行なって、ようやく肝心の回路レストアに移ることができます。
これらの12個の作業のどれかひとつでも手を抜くと、あとで変なノイズや発振に悩まされたり、欲しい倍音豊かなサウンドが手に入らなかったりします。丹精込めて行なうとても重要な作業はGAMPS のポリシーです。

【13】回路ボードの設計・製作

ポットの位置、グラウンドバスとの距離、真空管ソケットとの位置関係を念頭に入れ、回路図を元に最適な部品レイアウト設計をします。配線が長すぎて高域のヒスをおこしたり、発振に寄生されたりしないことを考えて一つ一つの抵抗・コンデンサー部品の位置を決めます。
グラウンド配線は非常にデリケートでノイズを極力減らすには細心の設計が必要です。

Fender が公開しているレイアウト図や取り外したボードのデッドコピーをすれば良いと思われるかもしれません。しかし、あのレイアウトには最適ではない部分があります。特にグラウンド接続部分で何箇所か修正が必要です。ここまでしても効果はわずかで、いつもアンプを触っている人間であれば聞き取れるノイズ・レベルの差です。しかし、ボードを新しくするのであれば、出来上がった時点での私自身の満足のためにもここはゆずれない作業です。
designing circuit board template
レイアウト設計作業の結果としてダンボールでテンプレートを作ります。このテンプレートの下にボードの素材を置き部品をハンダ付けするアイレット用の穴をドリルで開けます。
Drilling board using the template
穴あけが全て終わり、テンプレートを外した回路ボードです
Drilling done
ドリルで開けた穴にアイレットと呼ばれるハトメを打ち込んでいきます。このハトメの部分に抵抗やコンデンサーをハンダ付けします。
eyelets mounted
【14】回路ボードへの部品の搭載
プリアンプからパワーアンプ・ドライバーまでのアンプの回路を抵抗・コンデンサー部品を取り付けながら構築していきます。今回はどんな部品にしようかと試行錯誤しながら部品を決めています。
今回もトレモロの揺れのスピードを少しゆっくりにします。
Circuit parts mounted and soldered
古い回路ボードとの比較です。
Comparison with the original board
古いボードはシルバーフェースのため裏側配線は全くありません。新しく作った方は発振に寄生されやすい配線は裏側を這わせています。
Comparison with the original board rear side

【15】回路ボードのシャーシーへの組み込み
作業【14】で作った回路ボードと、ポット、真空管ソケット、フィルターキャップ、トランスをつなぎシャーシーに組み込みました。
Circuit Board mounted on the chassis
【16】バイアス調整とテスト試奏

バイアス調整を行い、テスト試奏を行いました。
bias adjust
テスト試奏の結果


音圧は回復しました。
リバーブは正常に効きます
トレモロも正常に効きます。従来よりもゆったりとしたスピードで鳴らすことができます。
×  トレモロの Intenisty をゼロにしてもトレモロのゆれに呼応したノイズが出ます。
   回路に問題はなく、トレモロの揺れを作り出している真空管 V4 の故障です。
× Reverb のポットにガリが出ています。クリーニングでは直らずポット交換が必要です。
 △ あと少しサウンドに改善の余地があります。カップリング・コンデンサーを変えてみます。

上記の×と△についてさらに作業が必要です。


【17】V4 真空管の交換
Intensity をゼロにしても聴こえる揺れに呼応したノイズの原因は V4 真空管 12AX7 の不良でした。
12AX7 は一つの管に増幅素子が2つ入っています。2つある増幅素子のうち片方はフェーズインバーターとして使われ、もう片方が Tremolo の揺れを作り出す発振回路として使われます。
このトレモロ側の素子不良です。
RUBY の 12AX7 を 耐久性で定評のある JJ 製の ECC83MG に交換しました。
V4 tube replaced from Rubby to JJ 
【18】Reverb ポットの交換
古いポットを取り除き新しいポットにしてガリが解消しました。
Reverb Pot replaced
【19】3個のカップリングコンデンサーの交換

私自身が納得しないとこのアンプはお客さまのところに返せません。
普通にいい音なんです。でも、いまひとつ腑におちません。

今から40年以上前のこと、若かりし頃、大津で開催された手作りのロックフェス、ギター抱えてステージに上げてもらい、準備されていた Fender アンプを借りてシールドつないでジャラーンと鳴らした瞬間の音を今でも体中が覚えています。首筋のあたりにつたわる振動感覚、アンプのボリューム6ぐらいにしといて、ギター・ボリューム7ぐらいのメリハリがありつつもおちついたバキングで光る音、ギターボリューム10にしたときのギターソロで使えるゲイン感と高域の倍音。

市販されているコンデンサーの材質と耐圧はプリンストンとデラリバでは異なるものをつかわないと厳密に当時の音にはならないということなのか。今回は考えるところがあってデラリバでよく使う部品を搭載してみました。だって昔の Fender ではデラリバもプリンストンも同じ部品使っていたから。しかし、それが良くなかったようです。現代では通用しない。現在入手できる市販のコンデンサーの癖というか部品の持つ音というか、それが当時と全く同じではないことは理解していたはずでした。ある組み合わせが全てオールマイティーではないということなんです。

2年前にプリンストン・リバーブのオーバーホールをしたときに使ったコンデンサーの組み合わせに変更してみました。大正解でした。プリンストンはこの組み合わせでプリンストンの音になるのですね。自分で独りで納得しました。オタッキーでアホな私です。

Three coupling caps has been replaced for tonality
【20】プリンストン・リバーブ・レストアの完成
Completion of restoring
再度試奏を行いました。一日あけて試奏、翌日も試奏。
全く問題のないことを確認し、お客さまに発送しました。
Front view
アンプの背面です。この後バックパネルを取付けて発送しました。
rear view before attaching back panel 

11月はこの仕事にかかりっきりでした。疲れもうした。

2016年11月17日木曜日

Capacitors and resistors ギターアンプに使うコンデンサーと抵抗について

ギターアンプの製作と修理に使うコンデンサーと抵抗について過去に書いたウェブサイトの内容やブログの内容を以下に抜粋掲載してまとめました。

【カップリング・コンデンサーについて】

増幅回路と増幅回路をつなぐコンデンサーのことを
Coupling ( カップリング ) コンデンサーといいます。

一番目の増幅回路から出力された信号はコンデンサーを通過し、
通過した信号だけが2番目の増幅段に送られます。
この時コンデンサーはふたつの仕事をします。
一つ目は、直流電圧をシャットアウトし、交流電圧(増幅されたギター信号) だけを通過させる。
二つ目の仕事は、交流電圧(ギター信号) のうちコンデンサーの値に見合った周波数だけを通過させ、その値からはみ出る周波数は通過させません。
高域の周波数が優先的に通過します。どこまでの低域を通過させるかはコンデンサーの値(μF)の大きさで決まり、値の大きいほど低い周波数を通過させます。

インプット・ジャックから入った信号を初段の増幅回路で増幅し、
次の増幅段に送るために 仮に0.02μF のコンデンサーを使うとします。
耐圧を600V を使います。この耐圧は一番目の仕事であるシャットアウトする直流電圧の大きさに比例して決めます。ギターアンプの場合、およそ400V の直流電圧がかかっています。余裕を見て600V 耐圧を使うのです。

この時に、どのタイプのコンデンサーにするかで音質、つまりコンデンサーを通過するギター信号の倍音が変化します。

(1) コンデンサーに使われている誘電体による違い
  a)ポリエステル・フィルム ---迫力のある中に低域がプリッと締まります。
  b)ポリプロピレン・フィルム---全帯域にわたり Hi-Fi です。
  d) セラミックディスク --- 高域の倍音が少し歪む感じがします。

(2) メーカーとそのメーカーの品種による違い
  下の写真の左から
 イ) Jupiter RedAstron
  ロ) SOZO BlueMolded
  ハ) SOZO YellowMastered
  ニ)150M Mallory 
  ホ)SBE OrangeDrop 716P
  ヘ) CDE OrangeDrop PS
 ト) セラミックディスク 3社 

この音の違い、つまりギター信号の倍音の出方の差というのは「交流電圧のうちコンデンサーの値に見合った周波数だけを通過させ、その値からはみ出る周波数は通過させません」という性質が各々の銘柄により少しづつ個性をもっていることによる差です。つまり同じ0.02μF でもギター信号を通過させるときの周波数に癖があるというかムラがあり、それがコンデンサーの違いによる音の違いとなって出てくるのです。

ホ)オレンジドロップの716Pの誘電体はポリプロピレンです。 715P もポリプロピレンで、音は716P と同じです。715P の容量値のバラツキを抑えたものが716Pで基本的には同じ物です。
ヘ)オレンジドロップのPS の誘電体はポリエステルです。715Pや716P と明確に音が違います。
イ) Jupiter や ロ)SOZO や ニ) 150M Mallory はポリエステルです。

誘電体がどうだからとか値段が高いからとかで一概にこれが良いというもの
ではありません。生かすも殺すもどの回路の部位に使うかで決まります。

一般的に以下のようなことが言われています。

・誘電体がポリエステルの物は50年代から60年代のアンプに合う。
 ( Fender でいうとツイードからブラックフェース)に使われた。
・SOZO の Yellow Mastered は  Marshall や VOX の回路と相性が良い。
・ Fender には Orange Drop が相性が良い。
などです。

しかし、これはあくまで一般論です。信じて疑わず、全てのコンデンサーをある一つの銘柄やひとつの誘電体のものにしても、当時のヴィンテージの音は再現できません。なぜなら現在販売されているどんなコンデンサーも決して昔のコンデンサーと全く同じ癖を持っていないからです。

Hi-Fi なポリプロピレンはカップリング・コンデンサーとしての性能が
良いと考えられます。Hi-Fi ということは癖が少なく周波数特性が均一であるということです。
いろんなコンデンサー・メーカーがこぞって生産しています。
ちなみにオーディオ・アンプ用の部品屋さんが売っているコンデンサーの主流はポレプロピレンです。

セラミックディスクは60年代に Fender で使われていました。
特にブラウンフェースやブラックフェースには必ず、
肝心かなめの一箇所にだけ使われていました。
他の大部分は Blue Molded なのにその部分だけはセラミックです。
Leo Fender はコンデンサーの誘電体の違いによる音質の違いを
使い分けていたということですね。

どの部位に使うかによりその才能の発揮の仕方が異なる良い例です。

写真のコンデンサーはどれを使ってもそれなりの良い音がするものだけを
集めています。
同じ値0.02μのコンデンサー各種
【エレキギターのコンデンサーは音を通すのではなく音を削っている】
少しアンプの話から脱線します。

エレキギターのトーンコントロールにもコンデンサーが使われています。
ギター回路の概略図が下です。ピックアップの出力は赤色で直接ボリューム
に入り、シールドへ送られます。同時にトーンコントロールに繋がっています。
トーンコントロールに付いているコンデンサーはグラウンドに繋がっています。

楽器屋さんのギター解説記事を読んでいると、
ピックアップの出力がコンデンサーを通過してから出力されるような表現をよくみかけます。つまりカップリング・コンデンサーであるような書き方です。あれは厳密には間違いです。
Electric Guitar circuit concept diagram
ギターの場合、ジャックから出力される信号はコンデンサーを通過していません。下の図で、左端のカールした模様のような記号はピックアップのコイルを表し、右向きの赤い矢印の先にボリュームとジャックがあります。
ピックアップの信号は右向きの矢印の方向に流れていきボリュームヘ向かいます。
そのときトーンコントロール(R と書いたギサギザ) のポットの先に付いているコンデンサーから少しだけ音を削っています。つまりギターのコンデンサーを通過した音は全部捨てられるのです。ギタリストが効いているサウンドはコンデンサーを通過しなかった(削られなかった)音です。(赤色矢印)

full up the tone control
トーンを上げたときはコンデンサーへの抵抗値が高く、コンデンサーで
削られる音の量は極小です。全く削られないのではなく、
ごくわずか削られます。そしてコンデンサーを通過しなかった音がアンプへ
出力されます。(赤い矢印の方向)

トーンを絞ると、削られる音の量は増えます。緑の矢印が削られる音です。高域ほどたくさん削られます。中・低域の削られる量は小なめでコンデンサーの大きさが大きいほど削られる低域の周波が低くなってきます。トーンを絞るとコンデンサーで削る音の量が増えモコモコとして高域の少ない音になります。

コンデンサーを通過した音(緑の矢印) は捨てられます。


コンデンサーとしての性能が優秀なもの、例えば誘電体がポリプロピレンのものを使うと、忠実に音をたくさん捨てることになります。
zero down the tone control

オイル・ペーパー・コンデンサーは通過させる周波数にムラが出ます。つまり、Hi-Fi なポリプロピレンに比べると癖があるといえます。なにせオイルという液状のものを染みこませた紙が誘電体に使われているのだから、感覚的に捕らえやすいでしょう。
オイル・ペーパー・コンデンサーはポリプロピレンに比べ、捨てる周波数にムラがあり、性能の良いコンデンサーであれば忠実に捨てられてしまう周波数の音が削られずに残されてジャックから出てくるということなんです。バンブルビーも同じです。セラミックディスクも癖があります。

そろそろ言いたいことを書きましょう。コンデンサーとして性能の良いコンデンサーはギターのトーン・コントロールに使うと、音が削られすぎて曇った音になります。コンデンサーとしての性能がいまいちのコンデンサーほど忠実に音を削らないので、巷で言われる「良い音」がするのです。

では、安いギターに付いている小さくて黄色いコンデンサーの音が悪いのは?
あれは性能の悪いコンデンサーではないの ?
いえいえ、耐圧が低いので小さい。耐圧の低いコンデンサーは安価で製造できてしまい、値段が安いだけなのです。
耐圧の低いコンデンサーはギターのピックアップのように低い電圧( 1V にも満たない電圧)で使うと、高性能を発揮します。耐圧を高くするための工夫が不要なため、コンデンサー本来の性能が低い電圧のときにに発揮しやすいのです。それでトーン回路に使うと忠実に音を削る。そうです。低い電圧のときに高性能を発揮するコンデンサーだからギターのトーンに使うと音が悪い。

パラドックスですね。

じゃあ、コンデンサー無しにしてピックアップの音を全く削らないとどうなるのか。
今度は音圧はあり、元気であるものの電気的で少し無骨な音になってしまいます。
やはり何らかの周波数は削ってほしい。でもその削り方に個性がほしいということですね。

オイルコンデンサーやバンブルビーは超高値で売られています。コンデンサーとしての性能が良いから高いのではなくて、コンデンサーとしての性質に癖があってその癖にお金を払っているのですね。
よく楽器屋さんでオレンジドロップのコンデンサーも高値で売られています。オレンジドロップがギタリストの間で有名になり、ギターのトーンに使う人がたくさん買うようになり需要があるから売っている。

一方で、ギターアンプのカップリング・コンデンサーとしてオレンジドロップがよく使われるのは、コンデンサーとしての性能が良いからなんです。つまり、信号が通過するとき、変な癖があまり出ず素直に信号を通過させてくれる。715P や 716P ほどこの性能が良いコンデンサーです。美しいクリーンを信条とする Fender アンプと相性が良い。繰り返しますが、だからといってアンプの回路の全てのカップリング・コンデンサーを 715P や 716Pにすると音に色気がなくなってしまいます。特定の回路部分に使うのが正解です。
どの部分に使うと良いのかは、アンプのコンデンサーを色々変えてサウンドを試す実験をしてみればすぐに身に付きます。人にこうだと言われた知識と異なり、実験して得た知識が技術となります。 

脱線終わり。

3種類に絞り込んだ後で、容量の実測も参考にし決定します。

【抵抗について】
抵抗もカーボン・コンポジット抵抗、カーボン・皮膜抵抗、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、セラミックコンポジション抵抗とさまざまな種類があります。
用途、つまりとどの部分に使うとよいのかが決まります。またメーカーによっても特性の差があります。
Fender アンプの信号回路にはカーボン・コンポジットが良いと感じています。
カーボン皮膜抵抗はMarshall の回路には合います。しかし、 Fenderに使うと音が薄っぺらく迫力が少ないと感じます。
金属皮膜抵抗や酸化金属抵抗を信号回路に使う場合、チャンネル切替のあるハイゲイン回路の付いているアンプには合います。Marshall や Fender では高域にキンキンと癖が出ると感じています。これはあくまで信号回路に限ったことです。また信号回路の中でも、どんな材質の抵抗でも音はあまり変化しない部分もあります。

電源回路になると事情が変わります。Fenderのヴィンテージではカーボンコンポジットの 1W が使われていた部分 ではセラミック抵抗が良い音がするように思います。 カーボン・コンポジットの 1W でも音質は良いものの、耐久性に問題が出ます。カーボン・コンポジットは高い電圧の場所に使うと経年変化で抵抗値が高くなっていくという性質があるからです。
金属抵抗や酸化金属でも音質がキープでき、耐久性はカーボン・コンポジツトより勝ります。

信号回路に使うカーボン・コンポジット抵抗を使う上での注意点は使う場所と、その抵抗の値です。
5% から 10% のバラツキがあります。たとえば5% 誤差の 220KΩの抵抗を購入すると209KΩ~231KΩの間でバラツイテいます。ピッタリ 220KΩだけを使うのではありません。
回路のある場所には高めを使い、ある場所には低めを使うということで目指す音質により近づけることが可能です。私はカーボン・コンポジット抵抗を仕入れるたびに抵抗の値を元に選別し、保管しています。

カーボン・コンポジット抵抗の抵抗値を実測し選別しているところ

上段: 購入した時点の抵抗の接続リード
下段: 酸化物を取り除いた接続リード  
抵抗を測定し、選別し、いよいよアンプの回路にハンダ付けするとき、そのままハンダ付けしていませんか? 上の写真の抵抗の足(リード)に注目してみてください。分かりやすいように拡大した写真が下の写真です。

抵抗のリードの拡大写真
購入した時点ではリード線に酸化物が付着しています。酸化物とは、リード線の金属の一部が酸化したもの。酸化とは金属の元素と酸素とが結合してできる不純物。酸素があるところでは必ず発生します。人間が生きていける場所では金属は必ず酸化し、劣化していく宿命です。
まして高温の状態では酸化は加速されます。

ハンダ付けのときハンダにはフラックスが含まれています。このフラックスには酸化物を除去する働きがあります。しかし、完全に酸化物を除去するハンダ付けをマスターするには時間がかかります。マスターしていても、毎回毎回、アンプ一台で数百箇所に及ぶハンダ箇所全てに酸化物の残留はないと言い切れるでしょうか。
フラックス溶剤で除去できるとはいえ、もしも酸化物が残留したままハンダ付けされてしまったらどうなるでしょうか。ハンダ付けの内部、つまり部品A の接点と部品Bの接点の間に酸化物が混入してしまうと、ハンダ付けした時点ではなんの問題もなく電気的な抵抗はゼロです。
しかし、経年変化、つまり時間が経過すると混入した酸化物のまわりに電気がよく流れる部分と流れにくい部分の差が広がり、最終的にはその部分の発熱が大きくなり、ハンダ付け部分の接触不良を起こしてしまいます。

このような長期にわたる信頼性の観点から、念のために新品部品のリード線は全て酸化物を取り除いてからハンダ付けしています。
抵抗だけでなく、コンデンサーのリード線も、ポットの端子もジャックの端子も全てです。
写真の下側のリード線が酸化物除去の工程の後のリード線です。ピカピカにしています。

この工程は何百個という部品のリード線全てについて実施します。

コンデンサーと抵抗についてのお話でした。
良きギターライフを。

2016年11月10日木曜日

Princeton Reverb restoration Part 1.

【受け入れ検査】
2016年11月のご予約作業は愛知県 S 様ご所有の
シルバーフェース プリンストンリバーブ のオーバーホールです。
予想をはるかに上回る作業が必要のためオーバーホールよりも
レストアと言ったほうが正確です。

ご依頼の内容は
a) 中古で購入なさった後、リバーブが鳴らなくなり、
  修理に出されたところ、ヴィブラートが鳴らなくなり、
  リバーブもかかりが浅くなって帰ってきたそうです。
b) 音圧が小さい
  一生ものにしたくて購入したのに本来の実力が出ていません。
  信頼性を上げ、定期的な手入れをしてずっと愛用していきたい。
というものです。

シルバーフェースのフェースプレートは中古としては、とてもきれいな
部類です。
Fender Princeton Reverb front view
アンプの背面にもパイロットランプが付いています。
もちろんオリジナルには付いておらず、後付で付けられたものです。

Fender Princeton Reverb rear view
下の写真のように、パワーオンしてしばらくすると、光ります。
時間が経過すると音が途切れる症状がでています。
音が出ないとき、このランプも消えているそうです。

CT light
リアビューには、あと二つ不可思議な光景があります。
1. コンセントの電圧にあわせて切り替えるスイッチが付いています。
  95V, 115V, 127V, 185V, 220V と切り替えられます。
  形状・タイプも Fender のオリジナルのスイッチではありません。
2. 電源トランス。外観はオリジナルを装ってはいますが、違います

アンプのシャーシーを取り外し内部回路を見たらどういうことか判明しました。

Voltage selection switch and PT
アンプのシャーシーを外し下側から見た写真が下の写真
Bottom view of the chassis
電源トランス PT の刻印は WILLKASON 7087 です。
過去の修理で電源トランスが交換されています。
しかし、このWILLKASON をネット検索するとブラジルのサンパウロにある
オーディオ用アンプメーカーらしいことがわかりました。

Manufacture ID mark on top of the PT
PT の内側配線部を見ると、明らかにオーディオ用のPTです。
しかも、2次巻線のメイン電圧は 275V-0-275V  しかありません。

これは車に例えると、1500cc の普通車に軽四の660ccエンジンを載せた
ようなパワー不足となります。 致命的です。
wire side of the PT
シャーシーのサイドには過去に修理した人が書いたと思われるメモ書きが
あります。1990年の2月にPT が交換されたことがわかります。
memo written at past repair by changing the PT
下の回路図のように
Princeton Reverb は340V-0-340Vの2次電圧の電源トランスが必要です。
ブラックフェース、シルバーフェース、リイシュー共通してこの値です。

回路のオーバーホールと共に、電源トランス交換をしないとプリンストンの
本来の音圧と音色は取り戻せません。
Partial schematic of Fender Prinstone Reverb PT


パワーチューブのすぐ隣に過去に追加されたパイロットランプがあります。
トランスからの一本の配線がランプのホットにつながれ、ランプのコールド
はシャーシーに落とされています。
another pilot lamp on the chassis 
このランプの正体が判明しました。
電源トランス(PT) のセンタータップ(CT)につながれており、電源トランスの
電流の流れで光らせています。
センタータップは直接グラウンドにつながないとギター音質が荒れて、
きれいなクリーンにはなりません。
さらに、ただでさえ真空管の発する熱でシャーシー下側の温度が高い上に
ランプの発熱も加わり、トランス、真空管、コンデンサー部品の劣化を促進
してしまいます。

アイデアとしてはおもしろいものの、真空管ゲインをフルに使うギターアンプ
には無用の長物です。

Pilot Lamp is fed by CT of PT
下の写真は回路の全体です。
Circuit overview
元々付いているフィルターキャップはシャーシーの下側に伸びる筒型の
ボックス・アルミ電解コンデンサーです。これとは別に後付で赤色のアルミ
電解コンデンサーが継ぎ足されています。

オリジナルのコンデンサーが容量抜けを起こしたときに、本来であれば交換
するのが正しいところ、ずぼらをして後付けしたものと推測します。
オリジナルのマロリーの筒型コンデンサーは70年代のもので古く劣化して
いて交換が必要です。現在では CE Manufacturing が Fender ギターアンプ
のリプレースメント用に製造してくれています。

このコンデンサーの交換を躊躇する修理屋さんや楽器屋さんが多いのは、
交換用の CE Manufacturing 製のコンデンサーが高価なため、ならびに
交換のためのハンダ外しとハンダ付けに手間がかかるためでしょう。
ギャンプスでは常に在庫しており交換します。

Filter cap --- Original made by Mallory
added filter cap
回路部品の搭載されている回路ボードを見ていて、「あっまたか」と思わず
声を上げてしまいました。過去に大量に噴射された接点復活剤が凝固して
ボードの上で固まっています。

カメラのフラッシュをたいて撮影するとギラギラしている部分です。
接点復活剤の油が付着したボード
下の写真は電源スイッチを取り外したところです。油でべちょべちょに
なっています。
接点復活剤で汚され絶縁低下した電源スイッチ
電気回路は大雑把な表現をすると
「電気をとてもよく通す部分」と
「絶対に電気を通してはいけない部分」が存在し、
その両者のおかげで健康に作動します。
  ( この表現をすると、うちの家内でも理解することができました)

「絶対に電気をとおしてはいけない部分」は回路部品を搭載している黒色の
ボードであり、電源スイッチの黒いモールド(プラスチック)部分です。
絶縁体と呼びます。

接点復活剤はどんなものも電気を通しやすくする剤です。
それを絶縁体に付着させると絶縁低下を起こします。

絶対に電気を通さない性質が少しは電気を通す性質に変更されるのです。
そうすると発煙や漏電による感電という大きな問題を引き起こします。
そのような大きな問題になる前段階として、信号と信号が干渉して
音が小さくなったり、部品が故障したりします。

回路ボードをくまなく検査したところ、ボードをクリーニングするだけでは
本来の絶縁を取り戻せない深刻な状況でした。

このアンプは電源トランス交換に加え、
回路ボードの交換も必要ということが
受け入れ検査で判明しました。

以下 Part 2 に続く




2016年10月27日木曜日

GAMPS guitar amplifier sound philosophy

はやいもので、2016年6月をもって、GAMPS の起業から 10年が経ちました。

創業当時、GAMPS のロゴを考え商標登録したり、経済産業省に事業の届出をしたり、警察署に古物商の届出をしたり、ホームページを立ち上げたり、オリジナルアンプの設計をはじめたりと、多忙な毎日を過ごしておりました。

起業するきっかけや動機はホームページに記載のとおり、ギタリストの立場にたち、ギター・アンプ・サウンドを追求し、ギターアンプを製作したり、ヴィナンテージ・アンプの回路と音を誠実に蘇らせることです。この10年を振り返り、あの頃抱いていた思い、精神は今も脈々と、ギターアンプ開発とオーバーホールの仕事に生かしているつもりです。

ヴィンテージ・ギターアンプを問題ない状態にするに留まらず、音をさらに良くし、いつまでも弾いていたいとおもうような状態にオーバーホールしてさしあげるには、作業時間を十分にとり、隅々まで行き届いた仕事をする必要があります。作業できるのは平均すると一ヶ月に一台のペースとなり、ご依頼の全てをすばやく処理はできず、ご予約制となり、1年待ちという状態になってしまいました。

一方でオリジナルアンプの開発とオーバーホール済みの「使えるヴィンテージ・アンプの販売」は、なおざりになっていました。
今後は力を入れていこうと考えております。
オリジナルアンプ Browny G3

販売用ヴィンテーイジアンプのストック
オリジナルアンプやヴィンテージアンプはそれなりの値段がします。

買っていただいて後悔をしてほしくありません。

その思いから、ここでは以下の疑問にお応えいたしておきます。

【ギャンプス・オリジナル・アンプはいったいどんな人に使ってほしいのでしょうか ?】

・ギターが上手い人、下手な人、関係ありません。

・プロの人、アマチュアの人、関係ありません。

・今のご自身のギター・サウンド(ギターアンプのサウンド)に不満がある人です。

・ギターアンプを変えたら今よりも個性的に弾けるんではないかと思っておられる方にも適します。

使い方はご自由です。しかし、これだけは覚えておいてください。

・ 「ギターとシールドで作るクリーン音が基本」

・ 「エフェクターを使ったとしても鳴らしっぱなしではなく、一曲中の要の部分だけ踏む」

というようなお方のお気に召すようにギャンプス・オリジナル・アンプは製作しています。

あなたのギターのピックアップから出力される倍音を極力削らず、弾きやすく、心が弾むようなクリーン・サウンドがギターとシールドだけで出せる音がギャンプスのサウンド・ポリシーです。


ディレイ、コーラス、デジタルリバーブ等の空間系エフェクターがあります。

私も過去に散々使用してきました。

高価なスイッチング・ボードを使ったり、ラックマウント式のステレオ出力タイプに2台のパワーアンプをつないだりと、プロの使うような機材も持っていました。

これらは魔法の箱です。

ギターが下手でもピッキングの荒さや押弦の雑さを覆い隠してくれます。

アルペジオのピッキングむらもエフェクト効果で覆い隠してくれます。

スタジオやライブで自分のアンプを使えないとき、エフェクターの効果で異なるアンプでも同じような音が出せ、とても重宝します。

エフェクターという魔法の箱はあなたを虜にし、依存症のように手放せない状態にします。

反面、エフェクトによる音色加工の個性が強く、誰が弾いても同系統の音に聴こえてしまうという欠点があります。

押弦したときの微妙なニュアンスはエフェクトされた音に隠されてしまうという欠点があります。

結果、魔法の箱はあなたから「あなたの音(クリーン音)」という個性を奪っていきます。

どれだけ凝ったプログラミングをしたり機材にお金をかけて音作りをしても、所詮プログラミング、誰かが同じプログラミングをして、すぐにあなただけの音ではなくなってしまいます。

凝ったエフェクトを複数かけて個性的と思われる音色で演奏すると観客にはうけます。

「すげー」って。

でもよく考えてみると、

「今ギター弾いている人がすごいの?」

「弾いてる旋律はそんなにすごくはないかも」

私の場合、答えは「エフェクトがすごいね」でした。


ギャンプスのオリジナル・ギターアンプはギターとシールドだけで十分に音楽的なクリーン・サウンドの出るアンプです。  

エフェクターを否定するのではありません。

曲の一部分、ここぞというタイミングでエフェクターを踏めば常に踏んでいるときよりもドラマチックさが加わるという考えです。

アンプとシールドケーブルだけの構成で弾くとき、ギターを持ち替えるとギターの差による音の違いが最もよくわかります。

新作ギターのデモ演奏をプロの方がなさる動画を目にします。
常にコーラスやディレーがかかりっぱなしの音源が良くあります。
その動画からはギター本来の個性的な音は判別しづらいと感じています。

ギターとシールドとアンプというシンプルな構成で弾くとき、わずかなビブラートも独特の弦のタッチもピッハキングのニュアンスも如実に表現されます。
それがあなたの個性となり、あなたの音となると考えます。

ここに述べた概念があくまで正しいなどと申しあげるつもりはありません。
このような考えに共鳴なさる方に GAMPS のオリジナル・アンプが合うのではないかと思うのです。

coming soon GAMPS Green Reverb
【ギャンプスが販売するギターアンプの特徴】
これについては、ホームページにも記載いたしました。ご参照ください

ホームページで述べたとおり、ギャンプスのオリジナルアンプは量産化するつもりはございません。
精神を集中して一台のアンプを製作し終わると、とても疲れます。精神集中して製作できるアンプの数には限りがあります。

疲れないように、考えなくて済むように、集中しなくても作業できるように流れ作業にしたとすると、どこかでサウンドの品質にほころびが出てしまいます。

量産化して収益を上げることよりも、一台ずつに精魂込め、完成したときの喜びに幸せを感じたいと思っているのです。


良きギターライフを

2016年10月25日火曜日

Deluxe Reverb '73 Overhauling

10月は73年製シルバーフェースの Deluxe Reverb のオーバーホールをしました。
千葉のMさまご所有です。
お電話でご要望をお伺いしているときに、大事になさっているアンプということで、こちらから SKB のアンプ・ケースの話をしましたところ、早速サウンドハウスでお客さまご自身が購入なさり、ケースに入れて送付くださいました。
このSKB ケースは12インチ・スピーカー1個を搭載したアンプならどれでも入るケースです。
ギャンプスも所有しています。機能は Matchless DC30 のプログで述べたとおり、内部でアンプをベルト固定し、外装が強い衝撃を受けてもアンプへの被害が無い優れものです。重量は他のどのアンプケースよりも軽い。大きさは少し大きめですが 2x12 用よりははるかにコンパクトです。
SKB ギターアンプ・ケース 1x12 専用
送られてきたアンプはフェースプレートの痛みがほとんどなく、とてもきれいな状態でした。中の回路部分にカビが生えているということもなく、大切に保管されていました。

Deluxe Reverb
ただ過去に一度もアルミ電解コンデンサーの交換はなされておらず、キャップ・パンの中は電解液が噴出していました。

電解液が噴出して固まった痕跡
噴出した電解液は電源配線にもこびりついていました。配線ワイアーが絶縁低下しているため、配線ごとオーバーホールしました。

電解液が付着した配線材
ご要望によりオーバーホールをしつつブラックフェーシングの MOD を同時適用しました。オーバーホールと手間は同じため追加料金無し。

ブラックフェーシングとオーバーホール
このアンプはSpeed を1にしても ヴィブラートの揺れが早すぎました。理由は Speed Pot の値が本来 3MΩRA であるべきところ、 2MΩしかありませんでした。これを交換して通常の Fender と同じ Speed にはなりました。
オーバーホール時に揺れのスピードを決定づけるコンデンサーの値を調整し、通常の Fenderよりもさらにゆっくりと揺れる MOD を入れておきました。 追加料金不要。

ビブラート回路のスピードを遅くするMODとオーバーホール
プリアンプのオーバーホールでは Normal チャンネルと Vibrato チャンネルの両方にリバーブとヴィブラートを掛けられる MOD を同時適用しました。この MOD もオーバーホールと手間は同じのため追加料金不要です。

両チャンネル共にリバーブのかかる MODとオーバーホール
その他オーバーホールの内容は他のアンプと同じのため、ここでは省略概略にとどめます。
過去のブログを参照ください。

オーバーホール概略
真空管はノイズ・レベルの高かった V4 の12AX7 一本を交換しました。

バイアス調整とテスト
お客さまには下の写真のように詳細な写真入りレポートをお送りしました。

お客さまにお送りした修理レポート
以上 10月のお仕事でした。

良きギターライフを