GAMPS project #2 は、
Gibson LesPaul Faded 2017 にトレモロを付けることです。
Stetsbar Tremolo before and after |
【トレモロの候補選択】
Les Paul のボディーに付けるトレモロとして最もポピュラーなのは Bigsby でしょう。
Stop Tail piece の部分にバネ式の機構を取り付け、弦を揺らします。 Tune O matic ブリッジはそのまま使うという構造上、ブリッジのスタッド部分と支柱の間に摩擦が生じブリッジがぐらついてくるという懸念があります。Bigsby そのもののの重量は重く、ギターが重くなります。
この重量増加によるサウンドの変化が好みの方もおられます。
Dusenberg のトレモロはストップテールピースをバネで動くタイプに交換するものです。
原理は Bigsby と同じです。重量も大きく増えないので、これにするか悩みました。可動部がベアリングでないことと、既存ブリッジへの負担がありそうなので、断念しました。
ジャズマスターのフローティングトレモロも Bigsby と同じくブリッジへの負担が大きくなることと、新たな取り付け穴とザグリが必要なことから除外。
ストラトのようなシンクロナイズドトレモロはバネを張るための大きなザグリ穴をボディー裏に開ける必要があります。あのザグリによってギターの音が随分とスポイルされてしまうと考えています。
よってこれも除外
はじめは Kahller のロックナット無しのタイプも検討していました。しかし、ボディーに少しだけれどザグリが必要なことが判明し除外しました。
シャーラーの Tune O Matic ブリッジの代わりに可動式ブリッジを取り付けるタイプもあります。値段も安く、簡単な構造のため、はじめはこれにしようかと迷いました。しかし、可動部がベアリングではなく、バネ式のため、やめにしました。
色々悩みつつもネット検索をして、ついに見つけました。
Stetsbar トレモロです。
【 Stetsbar トレモロに決定】
金属板の上にテイルピースとブリッジが一体化したトレモロです。ブリッジは Tune-O-Matic と同じ形状のものが乗っています。トレモロはブリッジをスライドさせることで実現します。ブリッジの可動部は水平のベアリングに乗っかっている構造でブリッジ本体が前後にスムースに動きます。
アームとブリッジの関係 |
取り付けには、ギターのボディー加工が一切不要です。穴あけもザグリも不要と書いてあります。
内心、本当だろうか思いつつ、万一木工加工が必要なら、すればいい、とにかくやってみようと思いました。
取り付け後のサウンドを YouTubeで確認すると、なんともなめらかなトレモロサウンドです。
トレモロ後のチューニングの狂いも極小とのこと。(ナット部のすべりを良くすることは必須)
日本ではいくつか取り扱いがあるものの、品切れの店が多い。
海外直送ながら、クレジットカードを使わず、日本の銀行口座への振り込みで対応してくれる T.C.T ギターパーツさんから購入することに決定し、さっそくオーダーしました。
振り込み完了し、ちょうど7日後に US から Stets bar が到着しました。
Stetsbar arrived from T.C.T guitar parts |
きちんと衝撃吸収材の入ったパッケージで、輸送中ダメージの心配は無し。
Stetsbar Package |
【Stetsbar の取り付け】
Gibson LesPaul Faded 2017 に取り付けます。
Before the installation |
弦を緩めて取り外した後に、
ストップテールピースを取り外します。
Removing stop tail piece |
ストップテールピースのボルトを外します。
ブリッジとブリッジの高さ調整ボルトを外します。
Removed bridge |
パッケージから Stetsbar を取り出し、ボディーに載せます。
Mounting stetsbar |
Stetsbar に付属しているボルトとプラスチックナットで Stetsbar を固定します。
ストップテールピースのネジ穴をそのまま利用して支給されたボルトを締めるだけです。
( Stetsbar にはインチネジとミリネジの両方のボルトが付属しており、取り付けるギターによってボルトを選びます。Gibson にはインチネジのボルトを使います)
Attaching bolts |
付属のレンチでボルトを締めます。きつく締める必要はなく、指で動かない程度( Finger tighten )に締めます。
Tightening bolts |
取り付けはここまでで完了。
次は調整です。
【弦を張り、ブリッジを調整】
まずはそのまま弦を張ります。
Stringing |
弦を張り、弦高調整とオクターブ調整を済ませます。
普通のギブソンのブリッジと同じものが付いていますから、弦高調整もオクターブ調整も普通どおりにできます。
【Stetsbar の Zero Point 調整】
この調整が Stetsbar を安定して稼働させるためのキモです。
テンション・アジャスターという2本のビスを 6角レンチで少しずつ締めていき、
Tension adjust |
この平行の状態を Zero point と呼んでいます。
Zero point |
再度チューニングして
Re-tuning |
完了です。
Installation completed |
なんとも滑らかでスムーズなアームタッチです。
大胆な揺れも繊細な揺れも自在。
アーミング後のチューニングの狂いも少ない。
シンクロナイズドトレモロやモズライト・トレモロよりも優秀と感じました。
やはりそのスムースさの秘訣はこのトレモロの構造だと思います。
ベアリングの上に載っているブリッジそのものが前後する構造です。
ブリッジそのものが前後する構造 |
現状のセットアップではアームダウンとアームアップの両方ができます。
この状態で弦が一本切れるとギター全体のチューニングは変わります。
アーム・アップをやめるように設定するには下の写真の矢印のスクリューを締めてアームが付いている可動部を後ろに後退しないようにします。
ダウンオンリーになる代わり、弦が切れてもチューニングは保持されます。
後退防止ネジ |
今まで抱いていた疑問
「レスポールのようなストップテールピースタイプのギターに私が良いと思うトレモロはどれなのか?」
について「恐らく Stetsbar ではないだろうか」という想像でしかなかったことの答が今回、明らかとなりました。
Stetsbar は素晴らしいと思いました。
動作がスムースなことに加え、ギターの木部に一切の加工は不要というところも魅力です。
さあトレモロが付きました。次は回路の改善・補強とピックアップ交換です。
Stetsbar tremoloをネットで知って欲しい、と思いましたが決心できずにいました。じかい、特注のSGコピーを注文する際に取り付けます。参考になりました。ありがとうございます
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